
人間が「トゲウオ」と呼ばれる巨大なトカゲの襲撃を受けている世界。騎士見習いのシルッカは、後学のために軍に入れられた皇太子リンゼイ・ヴォーの相方となるが、苛烈な性格の皇子はシルッカにもだれにも心を開かず戦いに明け暮れる。そんなある日、トゲウオとの戦いの最中、不思議な小さなトカゲを拾ったシルッカは、帝国と世界をめぐる戦いにまきこまれていく――
世界観がよく練りこまれているファンタジー。
気弱な少年が期せずして世界の命運を握るところや、傲慢な皇子を襲う悲運など、ベースとなる物語展開やキャラの配置はベタベタなんだが、それだけに安定して楽しめるし、展開はやや遅いものの、要所要所で緩急がついて読者をひきこむように作られている。二人の先輩も少女マンガによくいるタイプの頼れる先輩の典型で脇役としてうまく固めているし、皇子がへたれたら急にかわいくなるなど、うまいこと読者のツボをついている。
海の上を走る波頭馬やそれらが水上につくる水道、帝国の作る万能燃料「式石」とそれを駆使した兵器など、世界観を彩る設定がこまかに作られていて、それが物語自体にうまく絡んでいるのが見事。
ただ、この作品は新人賞の受賞作品なので「一巻とついてはいるもののある程度はオチがついているんだろう」と思っていたら、後半になってやたら駆け足になったうえに、ものの見事に「おれたちの戦いはまだこれからだ!」で終わったので「え!?」となった。
いやまあ、続刊はすぐに出て完結してるんだから普通に続き物として読めばいいんだけど、ここまで露骨に「続く」で新人賞ってもらえるんだ、と変な感心をしてしまった。
全体の評価は完結まで読んでからと言う感じで。
世界観がよく練りこまれているファンタジー。
気弱な少年が期せずして世界の命運を握るところや、傲慢な皇子を襲う悲運など、ベースとなる物語展開やキャラの配置はベタベタなんだが、それだけに安定して楽しめるし、展開はやや遅いものの、要所要所で緩急がついて読者をひきこむように作られている。二人の先輩も少女マンガによくいるタイプの頼れる先輩の典型で脇役としてうまく固めているし、皇子がへたれたら急にかわいくなるなど、うまいこと読者のツボをついている。
海の上を走る波頭馬やそれらが水上につくる水道、帝国の作る万能燃料「式石」とそれを駆使した兵器など、世界観を彩る設定がこまかに作られていて、それが物語自体にうまく絡んでいるのが見事。
ただ、この作品は新人賞の受賞作品なので「一巻とついてはいるもののある程度はオチがついているんだろう」と思っていたら、後半になってやたら駆け足になったうえに、ものの見事に「おれたちの戦いはまだこれからだ!」で終わったので「え!?」となった。
いやまあ、続刊はすぐに出て完結してるんだから普通に続き物として読めばいいんだけど、ここまで露骨に「続く」で新人賞ってもらえるんだ、と変な感心をしてしまった。
全体の評価は完結まで読んでからと言う感じで。
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