芸能プロダクション社長、阿知波信介氏が亡くなった。5月4日鹿児島県霧島市犬飼の滝で投身自殺だったとのこと。阿知波信介氏は「ウルトラセブン」に登場するウルトラ警備隊のソガ隊員を演じた俳優でもあった。女優多岐川裕美の元夫で多岐川華子の父という報道が必ず付いて回っているけど、珍にとってのイメージはやはりウルトラセブンの「ソガ隊員」。
ウルトラ警備隊のソガ隊員は明るく一本気な熱血漢で好戦的な性格ながら、宇宙人との戦いに悩み、疲れるウルトラセブン=ダン隊員を時には励まし、時には慰め、時には叱咤するという役柄。最終回、度重なる宇宙人との戦いで肉体的に限界に達していたダン隊員が仕事で初歩的なミスを犯してしまう。それをソガ隊員は厳しく責めるものの、後にダン隊員がウルトラセブンであることがわかり、涙ながらに謝る(ボロボロになっても戦い続けるウルトラセブンに向かって)シーンが印象的。それ以降隊員は誰もがウルトラセブンのことをこれまでのように「セブン」とは呼ばずに「ダン」と呼ぶ。まさに特撮史上に残る名シーン。
「ウルトラセブン」は初放映から40年が経ったけど、珍の評価は日本特撮史上文句なしにナンバーワンでオンリーワン作品。子ども向け特撮ドラマとは思えぬ暗さ、哀しさ、空しさ、高度経済成長期の裏側を見事なまでに抉り出した風刺感覚、そしてダンとアンヌ隊員の(宇宙人と人間という)恋愛模様。平成になって新たなウルトラセブンが作られたけど、昭和のウルトラセブンは今観ても古臭さは微塵もない。
セブン関係者ではキリヤマ隊長役の中山昭二氏が平成10年12月70歳で病没されている。実相寺昭雄監督も昨年亡くなった。そんな「ウルトラセブン」の思い出がまた一つ消えていくというのは、時間の経過とともに仕方ないことではあるけど、自殺という幕引きだったことはあまりに悲しい。ソガ隊員は3年前に脳梗塞を患い、以来体力・気力の低下から鬱病だったとも伝えられている。そんなソガ隊員が最期の土地として選んだのは鹿児島。家族のコメントで「なぜ土地鑑のない鹿児島なのかわからない」というのを見たけど、アンヌ隊員役のひし美ゆり子が「鹿児島は、セブンのイベントが初めて行われたところ。だから、出演者全員にとって、忘れられない思い出があります」とコメントしていた。ソガ隊員が最期に選んだのはやはりセブンの思い出だったのかと思うと珍は涙が止まらない。
享年67歳。ご冥福をお祈りします。
いろいろ見ててもウルトラセブンの評価は高いっすね。初代ガンダムやEVAのように、世代にうける何かがあることと、色あせないところがポイントなんでしょうね。
ちなみに、第12話は一度の再放送の後、ある女子中学生の朝日新聞への投書(登場する宇宙人のデザインが被爆者への無配慮を想起させるといった内容)をきっかけに、円谷プロの過敏な反応により永久封印された曰く付きの名編。珍は観てるはずやけど記憶にない。ただし、内容は地球人と宇宙人の恋を扱った非常にシビアで重いものであり、被爆者がどうのこうのといった内容ではなかった。
ちなみに北斗の拳のDVD冒頭には、「このDVD映像には、一部残酷なシーン等がありますが、当時の時代背景の尊重と、原作を損なわないために、放映当時の映像をそのまま記録しています」というようなメッセージが出ていました。
まあ、見るほうの倫理観。ディクシーチックス然り、良いものは良い。作品自体を自然に評価してほいいですね。でないと、人間の感情の豊かさがどんどんなくなっていく気がします。
それが朝日ソノラマ(記憶が定かでない)の怪獣・宇宙人図鑑(雑誌の付録の図鑑だったかも)で「ひばくせいじん」と紹介されていたのが直接の原因。
なので本編には一切関係がない話。ストーリーも原爆ものではないしね。(他に原水爆を扱った話はある)
まあ、監修として円谷プロの名前が入っていたから責任を取ったんやろけど、当時あらゆる媒体にウルトラシリーズは登場していたから現実にはそこまでチェックが行き届かなかったってことでしょう。
本編見てないヤツが適当にサブネーミングしたんやろけど、センスないわな。
それに、当時言葉狩り的な風潮は出だしていたし、反原爆団体が組織的に媒体チェックをしていた形跡もある(事実円谷プロはこの件で何度も交渉しているらしい)。投稿者である「女子中学生」の実在自体疑われているという説もあることを申し添えておきます。