goo blog サービス終了のお知らせ 

語り得ぬ世界

現実逃避の発展場 Second Impact
since 2014, The First Departure:2005

さらば、ソガ隊員

2007-05-08 08:44:32 | 特撮

芸能プロダクション社長、阿知波信介氏が亡くなった。5月4日鹿児島県霧島市犬飼の滝で投身自殺だったとのこと。阿知波信介氏は「ウルトラセブン」に登場するウルトラ警備隊のソガ隊員を演じた俳優でもあった。女優多岐川裕美の元夫で多岐川華子の父という報道が必ず付いて回っているけど、珍にとってのイメージはやはりウルトラセブンの「ソガ隊員」。

Soga

ウルトラ警備隊のソガ隊員は明るく一本気な熱血漢で好戦的な性格ながら、宇宙人との戦いに悩み、疲れるウルトラセブン=ダン隊員を時には励まし、時には慰め、時には叱咤するという役柄。最終回、度重なる宇宙人との戦いで肉体的に限界に達していたダン隊員が仕事で初歩的なミスを犯してしまう。それをソガ隊員は厳しく責めるものの、後にダン隊員がウルトラセブンであることがわかり、涙ながらに謝る(ボロボロになっても戦い続けるウルトラセブンに向かって)シーンが印象的。それ以降隊員は誰もがウルトラセブンのことをこれまでのように「セブン」とは呼ばずに「ダン」と呼ぶ。まさに特撮史上に残る名シーン。

U7

「ウルトラセブン」は初放映から40年が経ったけど、珍の評価は日本特撮史上文句なしにナンバーワンでオンリーワン作品。子ども向け特撮ドラマとは思えぬ暗さ、哀しさ、空しさ、高度経済成長期の裏側を見事なまでに抉り出した風刺感覚、そしてダンとアンヌ隊員の(宇宙人と人間という)恋愛模様。平成になって新たなウルトラセブンが作られたけど、昭和のウルトラセブンは今観ても古臭さは微塵もない。

セブン関係者ではキリヤマ隊長役の中山昭二氏が平成10年12月70歳で病没されている。実相寺昭雄監督も昨年亡くなった。そんな「ウルトラセブン」の思い出がまた一つ消えていくというのは、時間の経過とともに仕方ないことではあるけど、自殺という幕引きだったことはあまりに悲しい。ソガ隊員は3年前に脳梗塞を患い、以来体力・気力の低下から鬱病だったとも伝えられている。そんなソガ隊員が最期の土地として選んだのは鹿児島。家族のコメントで「なぜ土地鑑のない鹿児島なのかわからない」というのを見たけど、アンヌ隊員役のひし美ゆり子が「鹿児島は、セブンのイベントが初めて行われたところ。だから、出演者全員にとって、忘れられない思い出があります」とコメントしていた。ソガ隊員が最期に選んだのはやはりセブンの思い出だったのかと思うと珍は涙が止まらない。
享年67歳。ご冥福をお祈りします。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
« 色褪せた遊園地 | トップ | 5月のサクラ色 »
最新の画像もっと見る

4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
「昭和のウルトラセブンは今観ても古臭さは微塵も... (raul)
2007-05-09 00:25:26
「昭和のウルトラセブンは今観ても古臭さは微塵もない。」と「ソガ隊員」を見たいがため、今週末にTSUTAYAに走ります。
いろいろ見ててもウルトラセブンの評価は高いっすね。初代ガンダムやEVAのように、世代にうける何かがあることと、色あせないところがポイントなんでしょうね。
返信する
もちろん「時代」は感じさせるけど、アングルの斬... ()
2007-05-09 08:55:19
もちろん「時代」は感じさせるけど、アングルの斬新さや台詞の妙、メッセージ性を味わってほしいね。特に番組が子ども向け(しかも小学校低学年がメインターゲット)であるという前提に立てば、いかに「ウルトラセブン」にオリジナリティと前衛性があるのかがわかってもらえるはず。だから凄い。

ちなみに、第12話は一度の再放送の後、ある女子中学生の朝日新聞への投書(登場する宇宙人のデザインが被爆者への無配慮を想起させるといった内容)をきっかけに、円谷プロの過敏な反応により永久封印された曰く付きの名編。珍は観てるはずやけど記憶にない。ただし、内容は地球人と宇宙人の恋を扱った非常にシビアで重いものであり、被爆者がどうのこうのといった内容ではなかった。
返信する
12話については、話題性もあり、ネットに映像があ... (raul)
2007-05-09 22:59:02
12話については、話題性もあり、ネットに映像がありました。「ひばくせいじん」という表現があかんかった、と記載されてましたが、当時の時代背景と中身がどうか、が大きなポイントで、その後の時代背景で文句をつけるできではないと思います。ちなみに映像を見る限りでは、全体として被爆に無配慮であったとは感じませんでしたけどね。

ちなみに北斗の拳のDVD冒頭には、「このDVD映像には、一部残酷なシーン等がありますが、当時の時代背景の尊重と、原作を損なわないために、放映当時の映像をそのまま記録しています」というようなメッセージが出ていました。

まあ、見るほうの倫理観。ディクシーチックス然り、良いものは良い。作品自体を自然に評価してほいいですね。でないと、人間の感情の豊かさがどんどんなくなっていく気がします。
返信する
どのサイトを見られたのかわかりませんが、12話登... ()
2007-05-10 08:05:27
どのサイトを見られたのかわかりませんが、12話登場の宇宙人は確かドラマ本編では名前は登場せず、設定上「スペルマ星人」になっていただけのはず。
それが朝日ソノラマ(記憶が定かでない)の怪獣・宇宙人図鑑(雑誌の付録の図鑑だったかも)で「ひばくせいじん」と紹介されていたのが直接の原因。
なので本編には一切関係がない話。ストーリーも原爆ものではないしね。(他に原水爆を扱った話はある)

まあ、監修として円谷プロの名前が入っていたから責任を取ったんやろけど、当時あらゆる媒体にウルトラシリーズは登場していたから現実にはそこまでチェックが行き届かなかったってことでしょう。
本編見てないヤツが適当にサブネーミングしたんやろけど、センスないわな。

それに、当時言葉狩り的な風潮は出だしていたし、反原爆団体が組織的に媒体チェックをしていた形跡もある(事実円谷プロはこの件で何度も交渉しているらしい)。投稿者である「女子中学生」の実在自体疑われているという説もあることを申し添えておきます。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。