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語り得ぬ世界

現実逃避の発展場 Second Impact
since 2014, The First Departure:2005

東下りの回想

2020-07-11 07:26:59 | 湘南
昨日N市では新たな感染者の報告がありました。19例目です(退院済み16人)。じわじわ増えている傾向は続いています。東京都があれでは東下りがますます遠のきますな(涙)
そんな東下りの想い出のフォトグラフをどうぞ。たまたま写真ファイルをチェックしていたら見つけました。珍ブログに掲載したかどうか定かではありませんけども、検索したところ見当たらないのでたぶん使っていないと思います。



平成18(2006)年11月29日16:41撮影(デジイチ撮影)。七里ヶ浜から望む江ノ島です。ああ、懐かしい湘南…江ノ電。この頃はまだ江ノ電沿線にわんさか人が押し寄せるようなことがなかったですね。14年前。
それにしても、珍もこの頃はこんな写真を撮ってたんや…と今の余裕のなさも痛感させられます。新コロが収束すればすぐに東下りしたいものです。
本日珍は採用試験で出勤です。
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臨時ニュースです。【眞子さまご婚約へ】

2017-05-17 05:00:18 | 湘南
NHKのスクープですかね?眞子さまご婚約間近。
それにしても、カレシの写真を見てみんなが思ったでしょうな。

チャラいな、オマエ。

最近おきれいになってきた眞子さまだっただけに、コイツ…ってな感じですな。
なお、まだご婚約したわけではないので「おめでとうございます」とちゃいますわな。
DAIGOに似た公開写真から最近のビジュアルがどう劣化しているのか見てみないとわかりませんが、まさか佳子さま狙いだったんとちゃうやろな…。
ちなみに微かな記憶があったので珍ブログを検索したら…やはりありました。
OCNブログ人時代の古い記事なので写真が小さいですが、写真をクリックしてご覧ください。右端の雑魚ですな。

>>雑魚王子(H22.8.13)

以上臨時ニュースでした。
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湘南に似合わないモノ

2010-03-18 08:07:53 | 湘南

湘南海岸が禁煙に。

Syounan_b

神奈川県議会で条例が成立することになったらしいです(委員会で可決された)。開場時間中は喫煙場所を除いて禁煙となります。ちなみに同様の条例は静岡の熱海海岸、和歌山の白浜海岸などでも施行されています。いずれも市町村条例で、都道府県条例では初。

ただし罰則はなし。3年後の条例見直し(検証ということでしょう)の際に再検討されるとのこと。また、半開放型の海の家では吸えるようでして、まさか海の家で分煙にするとは思えないですから、嫌煙派にとっては実効性に疑問符を付けるかもしれません。

それでもあの湘南海岸が禁煙になることは、珍@湘南BOYにとっては喜ばしいことです。砂浜に捨てられた吸殻も興ざめですが、せっかくの潮の匂いにタバコの臭いが混じるのも嫌ですから。湘南はバドワイザーは似合っても紫煙はね…。まさみちゃんも喜んでるかな?

「もちろん。まさみはタバコの臭いがだめなの。珍之助は吸わないから、まさみはうれしいな。でも、珍之助ってぇ…タバコは吸わないけど…すぐまさみの指を吸うんだから。ダメだぞ。くっすぐったいんだからね…もぉ。うふふ」

ハイハイ(笑)

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湘南をわたる風_15.5

2006-12-17 17:52:50 | 湘南

「湘南をわたる風」はお楽しみいただけましたでしょうか。みなさんが湘南の旅を、また新幹線での小さな冒険を追体験していただくことで、束の間の現実逃避のお助けができれば幸いであります。

旅の反省点などは「湘南をわたる風_09」でも書いたけど、思い返すと旅の醍醐味の一つであるグルメ系が全然楽しめなかったのが極めて残念。珍ブログでもグルメレポートは欠かせない要素やしね。ガイドブックを見る限りでも鎌倉周辺や三浦半島側にはそれなりの店(鎌倉は高い店が多いけど)がけっこうある。洋食を食べたかったなぁ。

さて、湘南での自分へのお土産はこれ。江ノ電鎌倉駅構内にある江ノ電グッズの店で買った実にベタなキーホルダー(笑)

Enoden_key

どっちにしようか迷ったけど(1個500円もする)、結局両方買ってしまった。「七里ケ浜」は湘南の想い出に、「稲村ケ崎」は再訪問へのチケットってことで。「稲村ケ崎」って地名だけみたら和歌山あたりにもありそうやけど(笑)湘南の地域ブランド力をもってして実にいい響きに聞こえるのが不思議。

061129syounan104

湘南編の最後は松岡直也で締め括ろう。
“ A Farewell to the Seashore(午後の水平線)”切ないメロディが秋の湘南の浜辺に実によく合います。午後の由比ケ浜をご覧いただきながらお聴きください。

「A_Farewell_On_The_Saeshore.mp3」をダウンロード

5.4MB。よろしければ右クリック「対象を保存」でDLしてどうぞ。

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湘南をわたる風_15

2006-12-16 07:23:18 | 湘南

やがて、のぞみ155号は終着駅新大阪に向かって京都駅ホームを滑り出した。幸いにして尿意も空腹も臨界点には達していない。我慢できそうである。読書もやめて、彼女との最後の十数分を味わうことに専念することにした。彼女は暇そうに前方を見つめている。

そんな様子を見るにつけ、彼女もきっとオレと話をしたかったに違いないと確信した。ただ、オレと同様に話すきっかけを失っていただけなのだ。そうか、サヤカちゃん。そうだったのか。ごめんよ、珍がヘタレであったばかりに、そんな切ない思いをさせてしまって。

Nozomi09

悔恨の情が激烈に膨らむなか、のぞみ155号は定刻どおり22:49新大阪駅に到着した。気の早いエロリーマンがドアのところに群れている。余裕のないヤツは嫌だねぇ。サヤカちゃんは列車が止まるまで座っていた。そう、オレとの余韻をぎりぎりまで味わいたいのだ。オレもじっとしていた。

列車が止まり、ドアが開く。降車するエロリーマンは一様にエロい視線でサヤカちゃんを一瞥していく。どろどろに脂ぎった視線で天使が汚されるではないか。

彼女が立ち上がりコートを着た。そのときミニスカから伸びる美脚、ニットのセーターに覆われた胸の隆起が一瞬露になる。慌てて、オレも上着を着て荷物を手に取る。見とれていて彼女の真後ろというポールポジションをエロリーマンに取られてしまってはいけない。

ドアに向かう彼女の真後ろに付けた。目の前の手が届きそうなところに柔らかなブラウンに彩られた髪…。そのままホームに降り立ち、エスカレータも彼女の真後ろになった。最後まで彼女を護り抜くのだ。

オレは大阪駅経由環状線で京橋へ行くので、新大阪駅では東海道線ホームに向かうわけだが、大阪阿部野橋の定期券を持つ彼女も同様に環状線で天王寺まで行くだろう。ということは京橋まで一緒のはず。彼女もそれを期待しているはず。

Nozomi11

ところが、舞台は暗転した。
東海道線ホームに下りるエスカレータの手前で男がサヤカちゃんを待っていたのだ。サヤカちゃんは手を振りながらその男に近づき、手を握った。29歳の珍より見た目は明らかに年上。柄の悪い輩が着る黒地に黄色いラインの入った趣味の悪い服を着て、たばこのヤニで黄色く染まった歯を見せてにやける猿顔はオツムも弱そう。しかもドタマは薄いし、顔は脂ぎっている。こいつは新幹線の登場人物中もっともエロオヤジではないか!
オレの2時間半を返せや、コラ!
怒髪天を突き、尿意と空腹感が一気に屹立した。

サヤカちゃんが車内からメールを送信していたのはこいつだったのか。サヤカちゃん、目を覚ませ。キミは騙されている。

彼女はそのままヤツと手をつないで地下鉄乗り場の雑踏の中に消えていった。俺は立ち止まったまま呆然とそれを見送った。

やがてオレは重みを増した鞄を持ち直して東海道線ホームへ下り、姫路行き快速に乗り込んだ。大阪駅に降り立ったとき、湘南の旅のすべてが終わった。

神は天にいまし、すべて世はこともなし。
世の中平和やね。
(おわり)

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湘南をわたる風_14

2006-12-15 14:23:58 | 湘南

現在のコンディションは、空腹と尿意だけでなく、サヤカちゃんを狙うエロオヤジ対策も加わるので、最悪と言っていい。しかし、弱音を吐いている暇はない。ペットボトルのミネラル水の残りをぐいと飲み干し、残り1時間の戦いに備えた。

Nozomi08

再び「模倣犯」を読み始めたが、眠気が断続的に襲う。ここで眠ってしまっては、エロ車掌やエロリーマンの思う壺なのだが、睡魔はさらに上を行く。気がつくと、本を持ったままほんの少しだが眠っていたようだ。寝汗をかいていた。上着のポケットからハンドタオルを取り出し、汗を拭う。そういえば、今日はよく歩いたし、汗もかいた…ん?待てよ…汗臭くないか?オレ?しかも藤沢ではビールを飲んでいる。思えばサヤカちゃんの隣で缶ビールをプシュッと開けなくてよかったが(若い女の子にとって、これは最悪に嫌であろうし、身の危険をも感じるに違いない)、いずれにしても汗臭さと酒臭さが混じってホームレス臭をかもしていないか不安になってきた。

珍に物理的なオヤジ臭はないと思うが、汗と酒の臭いは確実に嫌がられてしまう。大阪の女の子だけに「クサッ」の一言で叩き斬られる可能性は十分にある。そこへもってきて尿意である。尿意を催すとなぜか汗ばむ。汗臭さが加速しないか?尿の臭いも混じって…。まさか膀胱から滲み出しているわけはないだろうからそれはありえないにしても、コンディションが悪いと思考もマイナス傾向になりがちだ。

さて、再びセンサー出力を上げて彼女の様子を窺った。起きているようだ。と、彼女がおもむろにケータイを手にしてメールを打ち始めた。

Nozomi10

トイレは我慢できないほどではないが、新大阪駅まで我慢するなら今行っておいたほうが無難である。が、それにはサヤカちゃんの前を通過しなければならない。東京駅を出発して1時間半以上経つが、状況が硬直してしまってアクションを起こし辛くなっている。しかも彼女はテーブルを引き起こしているのだ。それを畳ませることもしないといけない。あまつさえ通過時は最接近するというのに…今さら何と言えばいいのか。頭の中でシミュレートしてみた。

「すいません、通していただけますか」
これが最も無難である。しかしオチがない。もっと彼女の印象に残るような気の利いたセリフが必要だ。しかも、彼女がさっと立ち上がって、膝に当たるという特典がなくなる可能性大でもある。

「あの…オシッコ行きたいので」
だめだ。一発大逆転で爆笑を得る可能性もないではないが、清原の打率より低いだろう。セクハラで空気を凍らせる確率は松坂の勝率を上回る。

「…」黙って手で拝んで通る。
オヤジすぎる。彼女にしてみたら咄嗟のことでリアクションが鈍る間に、強引にオレがテーブルを持ち上げ、膝を擦るように彼女の前を横切れる確率はイチローの出塁率ぐらいはあるはず。しかし、まるでオレが怒っているみたいに受け取られないか。京都駅を過ぎてからの残り10分くらいでも、そんな品のないことはしたくない。

「ちょっといいですか」
宗教の勧誘みたいなのでこれもNG。それにナンパっぽく聞こえてしまう。それに「いいですか」とは何がいいのか?頼みながらも論理的に破綻しているではないか。オレはトイレに行きたいけど、このままでは通れないから通してほしいわけであるのに、次の言葉が足らない。この場合、依頼するのであるから本来トイレに行くという目的を述べる説明責任もあり、それで彼女を安心させるべきであるが…とここまで考えてみても明らかに論理が破綻してきた。

こうして考えるとどれも無理がある。やはり我慢するしかないのか。そういえば彼女もトイレに立たない。トイレに立つ=荷物を置いていく=隣の男(オレってことか)に何か盗られる=盗られないまでも鞄を開けられる=アニメ好きの変態は下着を盗るかもしれない=前の座席の下に小型カメラを仕込まれて盗撮される=トイレは我慢しよう。こういうロジックということか…。

違うよ、サヤカちゃん。オレはキミを護る騎士なのに。鞄はオレがエロリーマンやエロ車掌が触れないようこの珍之助が堅守するのに…。

しかしながらよくよく考えてみると、彼女がトイレに立った場合、通路を通って行くわけであるので、出張帰りのエロリーマンの群れに彼女の肢体を晒すことにもなる。昼寝しているハイエナの群れの中に足を痛めたインパラを放すようなもの。ここはトイレを我慢するという彼女の英断に賛同すべきであろう。

そうこうしているうちに早くも京都駅に到着した。もうあとわずか20分足らずで旅も終わる。サヤカちゃんとこのまま口も利かずに別れてしまうのか…。
(つづく)

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湘南をわたる風_13

2006-12-14 08:32:02 | 湘南

ドコモP901isはオレの右手の中で音もなく起動を始めた。草薙素子が現れた。サヤカちゃんがオレのケータイを凝視しているのが痛いほどわかる。もはやレーダーすら不要なほど…。そして2秒ほど置いて忍ちゃんが現れた。ケータイを凝視している彼女が固まり、すぐに目を背けたのがわかった。
ごめんよ、忍ちゃん。キミで誤解されてしまったようだ。

絶望の淵に飛び込んだオレは機械的にメールチェックを行い、『錦町のタコ公園内で、20~30歳位の男が、マイク付ビデオで児童たちを撮影していたとの通報がありました』というN市安心・安全メールを確認した。サヤカちゃん、本当のエロバカオタクとはこういう男のことを言うんだよ。

心なしか座席の彼女がオレとの間隔を広げたように感じる。オレは再び「模倣犯」第3巻を読み始めた。女性を拉致監禁して殺し続ける犯人がマスコミに登場する劇場型連続殺人事件を描いた小説。何を読んでいるかサヤカちゃんに知られるとヤバいってことに今さらながらに気がついたら、睡魔が襲ってきた。ほどなく本を置き、車体の振動に身を任せて目を閉じた。

Nozomi06

ふと目が覚めた。覚醒はいつも突然だ。どれほどの時間が経過したのかわからない。うとうとしながら頭を持ち上げ車窓の向こうの闇を見たが、どこか想像もつかない。腕時計を見たら定刻でいうと名古屋に近いようだ。そこで初めて気がついた。彼女もうとうとしており、オレの左腕と彼女の右腕が接触していたのだった。

意識するより先に脳幹の奥深い部分から一斉にスクランブル指令が出た。まず体勢の固定。次に体中の全感覚を左腕の接触部分に集中させ、ナノレベルでの情報収集・分析が始まった。他の器官を休止させるとともに(息をも止めた)、フェイズド・アレイ・レーダーを最大出力に上げ、アクティブ・ソナーでピングを連射した。もはや服を通しても彼女の右腕表面の素肌感覚すら感じ取れる。彼女の右腕のほぼ96%についてスキャンに成功した。いよいよ鎖骨から肩甲骨に至る右肩イメージの解析にかかるというところで、突然接触が途絶えた。彼女が座席のなかで小さな寝返りを打ったのだった。

それはあまりに唐突だった。調査の即時性からリソースを形状解析に優先させた結果、データの保存はできていなかった。彼女との接触を失うと同時に、右腕(腋の下含む)データのすべてを滅失した。振り出しに戻ってしまった。かろうじて接触部分の感覚だけは3Dデータで一時保存してあったので、それを繰り返し再生することで余韻に浸るだけであった。

名残惜しいが、騎士たる珍之助として、さすがにこちらから接触するような痴漢行為に及ぶわけにはいかない。そうした行為に及ぶエロオヤジ退治が騎士としての務めなのであるから。

目が冴えてしまったので再び「模倣犯」を手に取った。しかし読み始める寸前に再び気づいた。今度は彼女の両膝がコートからはみ出ていた。しかも両膝は左右に20cmほど開いている。珍の位置からは立体的な想像しかなし得ないが、われわれの左斜め前方に座するエロサラリーマンが振り向いたときは、彼女はかなり危険な状況である。

起きてくれ、頼む。声なき悲痛な叫び声を上げたが、彼女に思念が通じない。熟睡しているのか?そして恐れていることが始まった。くだんのエロリーマンがどうやら気づいたようである。ちらちらこちらを見ているのがオレの位置からはっきり見える。見るたびに視線で威嚇し、そのつど敵は視線を泳がしている。彼女を守るためにはやむを得ないが、情報収集ができない。膝がドンと出ているというのに…。

そうしたエロリーマンとの戦いが続いている最中、名古屋到着を予告するアナウンスが放送され、彼女が覚醒した。コートを掛け直したようだ。そのときコートは改めて胸から膝まですっぽり覆ってしまった。結局守護する騎士よりもコートのほうが効果は大きいというのか?エロリーマンから守りきったというのに、勝利の満足感はなく、虚脱感だけが寄せては返す波のようにオレの神経に押し寄せてきた。そして、のぞみ155号は名古屋駅ホームに滑り込んだ。

新大阪駅まであと1時間ほどか…。ひどく疲れた気がするが、エロ車掌、エロリーマンといった強敵が彼女を狙っているので気を引き締めなければいけない。

のぞみ155号は静かに名古屋駅を発車した。再び車窓が闇に覆われたとき空腹を感じた。そういえば藤沢駅前の小田急デパート7階の居酒屋では、生ビール1杯と瓶ビール1本に、生しらす、大根サラダ、厚揚げにつくねと串の焼きカキを食べただけであった。しかし、今さら彼女を横にして駅弁を食う勇気はない。確実にオヤジに見られてしまう。空腹だが我慢することにした。そういうときに限って車内販売が目に付く。さきほどから何度も往復している。売り切ろうということか。とにかく現状維持しかない。

Nozomi07

そして最も恐れているときが来た。尿意を催したのである。
(つづく)

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湘南をわたる風_12.5

2006-12-13 12:29:10 | 湘南

ここで臨時増刊。
湘南の旅から今日でちょうど2週間。湘南フォトアルバム完成しました。よかったら見てやってください。厳選した62枚があなたの郷愁を誘います。

湘南日和

湘南はもう一回行きたいね。江ノ電沿線では稲村ケ崎に途中下車できてないし、鎌倉周辺も手付かず。もちろん葉山も不十分。次回は2泊するで(笑)

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湘南をわたる風_12

2006-12-13 08:16:16 | 湘南

エロ車掌の魔の手がサヤカちゃんに及ぶ寸前、オレは手にしていた「模倣犯」第3巻を床に落とすと同時に咳払いをした。さすがにこれで起きるだろう。

すると、彼女は驚いた様子もまったく見せず、まるで起きていたかのようにさり気なく乗車券を示すことで検札に応じた。ん?起きていたかのように
って、起きてたんかい!

それともオレは試されていたのか…?アブナイアブナイ、もう少しでサヤカちゃんの奸計に陥って、痴漢の濡れ衣をかけられるところだった。でも、エロ車掌のエロ検札から身を挺して守ったオレは評価されこそすれ、あらぬ罪を被せられては居たたまれない。

エロ車掌は去った。彼女はこれを機に再びケータイを手に取りメールをしだした。エロ車掌のことを友人に報告しているに違いない。隣に控える正義の騎士についても報告してもらいたいものだね。

Nozomi05

のぞみ155号は予定どおり疾走しているようだ。意識を戻すと感じる絶え間ない小さな振動で座席は断続的に軋み、トンネルに入る瞬間の車体は小さな悲鳴をあげる。

ここで奇妙な沈黙に気づいた。今となってはサヤカちゃんに話しかけるきっかけもなく(勇気もないが)、こちらは読書を続けており、もちろんセンサー出力は最小限にしている。潜水艦のソナーでいうと微かな音を拾うことで目標を捉えるパッシブ・ソナーのみを稼働させている状態。こちらの気配は殺しているはず。ところが、彼女はケータイをテーブルに置いたものの、眠りに戻った気配はない。左半身のセンサー出力をやや上げてみると、何となく手持ち無沙汰といった感じである。しかも、首を動かしたりする拍子にこちらをちらちら窺っている。これってもしかして…いやいや早とちりは身を滅ぼす。ここは読書に徹している態勢を崩さず、慎重に情報収集・分析に努め、好感度アップをめざさなければならない。

大丈夫。珍之助はキミの騎士。エロバカモノどもからキミを守り抜いてみせる。だから信じてくれ。そんな思念を彼女に送った。もちろん、だからといって彼女が「よかったらいかがですか?」とキットカットを差し出すなんて期待はしていない。ひたすらストイックに守るのみ。

読書を続けているとさすがに目が疲れてきた。というか、本を読みながらフェイズド・アレイ・レーダーを作動させ情報分析を続けるマルチタスクにより、さすがの珍之助CPUも冷却が必要になってきた。一度本を畳む。

しかし、サヤカちゃんも手持ち無沙汰状態なのに、いきなり本を畳んでしまうと、変な誤解を与えかねない。そこで、オレはミネラル水をぐいっと飲み(あくまで品位を保つ飲み方で)、所在なさげにならないよう、さもこれはあらかじめ決まった行動であるということを示すように、窓枠の横にかけた上着のポケットから一連の動作の中で自身のケータイを開きメールをチェックしようとした。そして彼女がこちらのケータイが気になった気配をオレのレーダーがキャッチした。

そこで思い出した。電源を切っていたことを…。そう、珍ケータイ/ドコモP901isは購入1年で電池が一気にヘタり、今日も数通のメール送受信で由比ケ浜駅に着く頃には電池表示が半分になっていたため、ケータイカメラも使うことから、なるべくケータイは開けない、ブログチェックもしない、メールはまとめて見るなどを心がけていた(そういう日に限って着信が多いのだが)。だが、それでも藤沢駅から東京駅に向かう電車の中で電池切れの警告ランプが点り、緊急時に備え電源そのものを切ったのであった。ちなみに、その後大阪に帰ってP903iに機種変更を行い、今は快適なモバイル環境になっている。

しまった。ってことは、すぐにメールチェックできずに珍ケータイの起動画面、待受画面が表示されるではないか…。しかも切り替わりの1~2秒間それをサヤカちゃんに見られてしまう。

もちろん決して恥ずかしい画像を使っているわけではない。起動画面は、「攻殻機動隊」のヒロイン草薙素子が浜辺で寝そべっている画像、待受画面は、「ニニンがシノブ伝」のヒロイン忍ちゃんがにっこり微笑んでいる画像。ただ、普通と違うのは両方ともアニメ画像であるということだけ、それもマニアックなアニメ…。しかしながら、若い女の子の場合(サヤカちゃんの推定年齢は22歳)よっぽどのアニメ好き、それもピンポイントでそのキャラを好きでもない限り、「アニメ好き」は確実にドン引きされ、アニメ好き=オタク=根暗=変態=病気=痴漢=暴行魔=連続殺人鬼という誤解の連鎖が無限に続く。

Shinobu

かといって一連の動作でのなかでいまさらメールチェックを止められない。しかも勢いよくケータイを開いた瞬間、ストラップのギロロ伍長(「ケロロ軍曹」に出てくる主要キャラの一人)のフィギュアが画面前面に出てしまった…。いま彼女の頭が動き、ギロロ伍長に注目したことが確実にわかった。本来なら「関心惹いた!よっしゃー」と喜ぶべきところだが、それはその後に画面表示されるであろうアニメキャラも確実に見られてしまうことを意味する。そしてオレはナイアガラの滝から飛び込んだ気持ちでケータイの電源ボタンを押下した。
(つづく)

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湘南をわたる風_11

2006-12-12 08:39:45 | 湘南

膝が出たのも束の間、彼女はそそくさとコートを下方に引っ張り、膝が消えた。警戒されているのか…。しかし、こちらは読書態勢を堅持し、微動だにしていないはず。悟られたとは思えない。確かにセンサー効率を高めるため、視覚・聴覚・嗅覚・触覚を総動員して左半身に集中させ(左手の皮膚からも彼女の情報を得られるほど)、200の目標を同時捕捉できるイージス艦のフェイズド・アレイ・レーダー状態として彼女の一挙手一投足を立体的にキャッチしていた。そのレーダー波が彼女の副交感神経を刺激し無意識に脳に警報を出していたとしたら、こちらのセンサーが出力過多であったのかもしれない。

さて、彼女は寝てしまったようだ。そういえば今はどこを走っているのか。新横浜は15分以上前に発車したはず。のぞみ155号は名古屋に向かってひた走っている。

こちらはフェイズド・アレイ・レーダーの出力を下げ、目視に切り替えた。頭の位置を動かさず読書態勢を維持したまま、目を左45度に振ると彼女のテーブルに置かれた定期入れに目が留まった。そこには新幹線の乗車券が挟まれていたが、検札用にすぐに出せるようにするためか乗車券の半分を外に出しており、残りの下半分から定期券が顔を覗かせていた。「大阪阿部野橋」という文字が見えた。近鉄南大阪線?さらに矯正視力1.2をズームさせ、名前を読み取った。カンダサヤカ。サヤカちゃんか…。ん?カンダサヤカ?どっかで聞いたことあるやん。まさか、休養していた(最近舞台で復帰)芸能人が近鉄南大阪線の定期を持ってるはずないよな。

寝息が聞こえてきた。それにしてもある意味無防備。左斜め前方のサラリーマンらしき中年男が新聞を読む振りをして彼女を窺っているような気がする。本物のイージス艦ならミサイル20発ほど発射して撃沈するぞ、コラ。

そういえば車掌が検札に来ない。そろそろかと思うけども。しかし、女性車掌ならいいが、オッサンの車掌ならこの無防備な彼女の寝顔をハイエナに晒すことになる。それまでに起きてくれればいいのだが。

そうした心配の気配が車掌を呼んでしまったのか、ほどなく車掌が進行方向側から検札に回ってきた。オッサン車掌であった。最悪の状況。このままでは無防備な寝顔を見られ、触って起こされるのも確実。エロ車掌のプチ欲望を満たしてしまう結果になる。

Nozomi04

そんなことに意識が飛んでいる間、エロ車掌は刻一刻と近づいてきた。あと3列ほどでこちらの座席に来る。オレは車掌がこちらの座席に来る寸前に彼女を揺すって起こすべきかどうか悩んだが(心の中に「揺する」という行動への原始的欲求は確実に存在していた)、気持ちよく寝ているのを起こされるほど不愉快なものはない。もともと警戒されていて好感度が低いのにさらに一気に下落するのは確実。そうなると残り2時間近く針の筵状態。しかし一番恐れるのは、実はうとうと状態になっており、意識が覚醒しつつあるなか、ただでさえ彼女は警戒レベルを上げているのに、揺する=触るという行為は痴漢と勘違いされないかということ。まさか腕を揺すっただけで「やめてください!」と声をあげられることはないとは思うが、珍までそこらのエロオヤジと同族と見なされるのは侮辱的扱いである。

エロ車掌はついに目の前まで来た。彼女は見た目睡眠状態。エロ車掌のエロ気配に気づけよ、オイ!しかし覚醒しない。やはり熟睡しているのか?起こすべきなのか?エロ車掌に触らせるくらいならオレが揺すってもいいだろう。しかし、せめてもの時間稼ぎに先にオレが手を伸ばしてエロ車掌に乗車券を出した。この気配で気づいてくれ!という祈りにも似た願いを込めて…だが、彼女が覚醒する気配はいっこうになかった。もうだめだ…。
そこで珍が選んだ行動とは…。
(つづく)

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