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語り得ぬ世界

現実逃避の発展場 Second Impact
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暁斎、ついに

2021-07-17 07:39:20 | 七珍萬寶
先般珍は時々訪ねているJR東京駅近くの日本美術専門古美術画廊の美術品入札会(オンライン参加)にて、長年珍好みの幕末・明治の絵師、河鍋暁斎の水墨画掛軸を落札しました。まずはこちらをご覧ください。



『古木烏図』河鍋暁斎/絹本水墨画/166cm×44cm(本紙100cm×31cm)/制作年不詳
初めてその画廊を訪ねたのは、やはり河鍋暁斎作品の展示即売会でした。珍ブログにもそのときの様子を書きましたが、爾来4年を経て、ついに暁斎作品を入手したわけです。めちゃ高くはなかったですが、安くもなかったです(始まり値は18万円也、その他落札手数料12%)。珍新居用美術品基金から拠出。本物か?との疑いもなくはないですが、暁斎作品を多数扱っている、それなりの画廊なのでそこは信用ということですね。
ついこの前同じ画廊で即売会(早い者勝ち)があり、暁斎作品からは馬に乗ったえべっさんの後ろ姿の掛軸が出展されていて、気に入ったので購入をオンラインで申し込んだのですが、先に購入候補に挙げていた客がいたようで(常連客なのでしょう)一旦返事待ちになったものの、結局その客に購入されてしまったということもありました。



暁斎お得意の烏図です。この構図の作品は有名な『枯木鴉図』を始め複数存在します。
10年以上数々の暁斎作品を観てきた珍は多少目が肥えております。作風からして、おそらく酒宴の席にて
「先生、一つ即興で描いてもらえませんか」
てな感じで依頼され(もちろん有償)ほろ酔いの中でササっと描いた作品だと思われます。酒好きの河鍋暁斎なだけに、小遣い稼ぎにもなるそうした酒宴の場での即興作品はそれなりに多かったようです。
作品の出来としましては、嘴の鋭さや大胆な黒い羽の描写、どこか人間っぽい眼光など、酔ってはいてもそこは幕末以来の人気絵師なだけに精緻な筆致です。いいねぇ。これも推察ですが、描かれたのは落款の画号から幕末安政5(1858)年~明治3(1870)年のどこかと思われます。



勢いだけでほとんど一筆で描いたような木の幹。見ようによっては酔っぱらって描いた雰囲気も伝わりますが、即興らしい筆致ですな。



おもしろいのは墨が飛び散っているところ。この墨に構図や内容の意図を感じませんので、ほんとに飛び散ったんでしょうね。これを美術品でのマイナス要素として見ることもできますが、酒席での即興作品と思えば、逆に景色として見ることもできるかと思います。



落款は「惺々狂斎」と見えます(せいせいきょうさい)。この号は上に書きました期間に使われていました。明治3年10月新政府の役人を風刺した戯画を描いたということで投獄され(その反省として)放免となった明治4(1871)年に「暁斎」と改めています。
今回の入札会には計3作品が出展されていたのですが、この作品が一番気に入りました。烏図がこれを入れて2作品。もう一つの烏図はカラスが木から羽ばたき飛ぶ構図でしたが、こっちのほうが珍好み。ほかに鬼の酒席を描いた掛軸もあって、それはそれでそそられましたが、保存状態がかなり悪いようで(始まり値もお安い)そうなると修復に相当費用も掛かりそうですし、どこまで修復できるかもわかりませんので今回は断念。

なお、珍新居には床の間がありません。掛けて飾りたくてもなかなかいい場所が見当たりませんでして、エアコンの風が当たるところや日が射す窓際も避けたいところ。しかも縦に長い掛軸ですので、けっこう場所を選びました。結局2階珍書斎出入口の横の廊下、先日IPv4で苦しんだネットワークボックスの真下に石膏ボード用フックを打ち込んで吊り下げることにしました。



掛けてしばらくは箱に入っていた防虫香の香りがあたりに漂いました。なお、箱も年季が入っていますけど、特に箱書きはありませんでした。

これにより珍書斎には新進気鋭で近頃大人気の画家、玉井伸弥の日本画と以前ご紹介した坪内好子の小銅版画が2点(いずれも額装)、2階廊下では同じく坪内好子の銅版画と中井精也の写真作品4点に暁斎掛軸が挟まれ、ほとんど美術館のようになってきました(苦笑)

大事な作品なので、虫干しを兼ねて年1回1か月ほど掛けたいと思っています。今回公開は今月末まで。その後は付属の木箱に戻しておきます。ここは掛軸を掛ける場所としますので、今後気に入った掛軸を購入することがあれば飾りたいと思います。珍の場合、骨董に凝るのではなく、河鍋暁斎を中心に気に入った作品が見つかったら…ということです。現代絵師の作品も含めて。
以上、珍コレに加えることが念願だった暁斎作品のご紹介でした(`・ω・´)
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七珍萬寶(その2)

2019-07-03 05:46:25 | 七珍萬寶
ヤフオク!で河鍋暁斎の錦絵1点を落札しました。まずはご覧ください。



『狂斎百図 鬼頭天王』です。「猩々狂斎(せいせいきょうさい)」の銘も見えます。状態はまあまあよかったです。
討ち取られた鬼の首を運んでいる様子なのでしょうが、その鬼の首が不敵な笑みを浮かべているのが印象的です。快感すら覚えているのではないかという恍惚な表情にも見えます。暁斎らしい題材と見事な構図、技巧に富む筆致が素晴らしいですな。これで珍コレ暁斎錦絵3点目です。



もちろん珍寶に認定。
暁斎作品はまだ増やしていきまっせぇ。
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神仏にも縋りたい…

2019-06-30 17:57:33 | 七珍萬寶
昼過ぎは凄い雨と風でしたね。ほとんど梅雨末期のような雨の勢い。今は止み間に入っていますが、また降りだすでしょうな。雨は嫌いじゃないですけど、長雨と大雨は勘弁してもらいたいです。今のところ呼び出しもなく、また降りだしても短時間集中豪雨でもなければ大丈夫だと思いますが…何事もないことを祈るだけでなく、もはや神仏に縋りたい気分です。

さて、そんなときはリアル仏様に縋りましょう。珍コレ「七珍萬寶」から。



極小の『帝釈天騎象像』です。そう、あの東寺(教王護国寺)の空海による空前絶後の立体曼荼羅の御一体がモデルです。



もはやフィギュアと呼ぶには失礼なリアル仏像です。ツゲの木を彫ったものです。もちろん機械彫りですし、魂入れがされているわけではないので、あくまでインテリアなんですけど、けっこうよく出来ています。信心深い珍は思わず手を合わしたくなるほど。



サイズ的にも部屋に飾るどころか仏壇に置けるぐらいです。そんなことしたらご先祖様に叱られそうでやりませんけど(苦笑)



背面も手抜きなし。



ピントが甘いのですが、この写真ではお顔はやや苦しそうに見えます。実際に見るとそんなことはないのが不思議です。撮った際の珍の<神仏に縋りたい>という苦しい心情が反映されているのかもしれませんな。実際のお顔はリアル帝釈天騎象像の男前の雰囲気をしっかり醸しておられます。こちらが国宝『帝釈天騎象像』です。5月の御用東下りからの再掲です。



さすがに(当たり前ですけど)本物の圧倒的存在感、荘厳さ、美しさに及ぶべくもないですけど「七珍萬寶」の逸品にして「珍寶」に認定。



木目も美しいですな。まさに珍寶。



仏像としての認定です。御利益を期待してはいけませんが、さっそく本日Gがシーソー展開の接戦を制し、交流戦明けのリーグ戦再開の秋田シリーズでヤクルトを連破。ありがたや、ありがたや。
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泣ぐごはいねぇがぁ。

2019-05-25 05:33:01 | 七珍萬寶
本日珍は式典系の仕事で出勤します。おそらく今日も5月とは思えない暑さでしょうが、スーツ・ネクタイ着用という暑がりの珍にはどうしようもない出で立ちがドレスコード。はぁ~。

そんなロー・テンションを高めるべく珍コレ「七珍萬寶」の一つ『なまはげ』をご披露しましょう。



秋田県男鹿半島のなまはげは、国の重要無形民俗文化財にして、昨年ユネスコの無形文化遺産にも登録されました。このなまはげはサッポロ×海洋堂『フィギュア版みちのく物産展』から。青いなまはげはシークレットです。



顔コワっ。完全にホラーやん。



小さいサイズなのになかなか迫力おまんなぁ。こんなん大晦日に来られたらおしっこチビって正月どころやおまへんな。
それにしても真冬でもこんなかぶり物なら暑いでっしゃろな。
どうせ暑いねんから今日の式典、これで行ったろか(笑)
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七珍萬寶(その1)

2019-05-10 10:13:00 | 七珍萬寶
本日御用東下り2日目でございます。視察後現地解散にて以後自由行動。このまま江戸に留まりたいところなんですが、明日珍は糖尿外来の受診日でして、泣く泣く上方へ帰らねばなりません。珍はいつもの東京19:10発「のぞみ125号」に乗って帰ります。なので、今回はさすがに珍旅ルーチンのモバイルPC持参というわけにもいかず、仕込みをしておいてのスマホからの投稿です。
ちなみに、野郎ばかりの御用東下りに大したネタはありませんでした…。珍ブログ読者でもあるcm∞さまも同行しておられましたけども、このK真人、単にエロいだけの御仁でして、何かおもしろいことを期待したのが間違いでした(・ω・)

さて、ここからは仕込みです。ご容赦くださいませ。
珍好みの幕末から明治初期の絵師、河鍋暁斎について。2月の東下りで復刻木版画を買ったことを珍ブログで書きましたけども、今般江戸期の錦絵2点をヤフオクで落札しましたのでご披露いたします。

と、その前に…暁斎作品が増えつつありますので、この際美少女フィギュアから特撮希少本、写真作品などに加え、ついに骨董までラインナップしてきた「珍之助コレクション」(通称「珍コレ」)を体系的にまとめていく端緒としたいと考えています。

珍コレの名称を
七珍萬寶
といたします。「しっちんまんぽう」と読みます。七つの宝<金・銀・瑠璃・硨磲(しゃこ)・瑪瑙(めのう)・玻璃(はり)・珊瑚>とその他すべての宝物という意味です。「珍」が入っているのがミソってことですけどね。現在ロゴ意匠作成中です。ちょっと凝ったロゴで。
なお、七珍萬寶のうち、極めて貴重かつ重要なコレクションを「珍寶」に認定します。「ちんぽう」と読みます。え?何か問題でも?では女子読者のよいこは声に出して読みましょう。ハイ、チンポウ
認定マークはこちら。



さらに珍之助は自らの雅号を
伽鬼暁珍
と名乗ります。「がききょうちん」と読みます。珍好みの河鍋暁斎の「画鬼暁斎」に因んでいるわけですが、「伽」は「相手を慰める話し相手」「寝床にはべる」という意味から「寝床での話し相手をする鬼」とし、ガキんちょの「餓鬼」にも引っかけています。「暁」は暁斎の「暁」でもあり、夜伽の話<語り得ぬ世界>は夜明けまで続くので「暁」としています。「珍」はもちろん29歳中学2年生「珍之助」の「珍」でして、「世にも珍しい少年ロマンチスト」という意味でもあります。落款はこちら。



それでは、伽鬼暁珍の「七珍萬寶」に加わった河鍋暁斎の錦絵2点をご覧くださいませ。



狂斎百図『阿弥陀の光も金次第/正直のこうべに神宿る』
猩々狂斎(せいせいきょうさい)という落款がお分かりかと思います。猩々とは、もともと中国古典での架空の動物でして、わが国では、能の演目『猩猩』において真っ赤な衣装で赤い髪をふり乱した猩々が酒に酔って舞い謡うことで有名です。要は酒飲みってことですね。暁斎は自らを猩々に喩えたというわけです。
「狂斎百図」は妖怪をして諺を説く風刺とユーモア溢れる錦絵です。ご覧のとおり絵右下縁がやや汚れておりますが、版を重ねた版木で摺られたわりには色彩はまあまあきれいな状態です。それにしても「阿弥陀の光も金次第」とは全仏教寺院を敵にまわしかねない皮肉ですな。暁斎らしいといえばらしいですけども。
税込12,000円也。珍以外に入札者なし。



狂斎百図『大夕立/雷神の墜落』
こちらもユーモラスな画題です。夕立とともに雷ではなく雷神そのものが落ちてくる…雷神も落ちることがあるってことでしょうか。画全体でも何とも笑えますね。構図も見事なら、驚いている人間も漫画のように生き生きと描かれています。
税込20,000円也。珍以外に入札者なし。



再掲です。2月の東下りで買った河鍋暁斎復刻木版画。



再掲です。こちらも2月の東下りで買った暁斎復刻木版画。暁斎はここまで。



同じ2月の東下りで購入した中井精也の写真作品の再掲です(JR山陽新幹線新神戸駅)。せっかくなのでこちらも併せて5点すべて「珍宝」指定といたします。
なお、珍ブログ記事では新幹線のシルエットは500系ではないかと書きましたが、0系のようです。



新カテゴリー「七珍萬寶」を設けました。今後とも乞うご期待。
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