先般珍は時々訪ねているJR東京駅近くの日本美術専門古美術画廊の美術品入札会(オンライン参加)にて、長年珍好みの幕末・明治の絵師、河鍋暁斎の水墨画掛軸を落札しました。まずはこちらをご覧ください。

『古木烏図』河鍋暁斎/絹本水墨画/166cm×44cm(本紙100cm×31cm)/制作年不詳
初めてその画廊を訪ねたのは、やはり河鍋暁斎作品の展示即売会でした。珍ブログにもそのときの様子を書きましたが、爾来4年を経て、ついに暁斎作品を入手したわけです。めちゃ高くはなかったですが、安くもなかったです(始まり値は18万円也、その他落札手数料12%)。珍新居用美術品基金から拠出。本物か?との疑いもなくはないですが、暁斎作品を多数扱っている、それなりの画廊なのでそこは信用ということですね。
ついこの前同じ画廊で即売会(早い者勝ち)があり、暁斎作品からは馬に乗ったえべっさんの後ろ姿の掛軸が出展されていて、気に入ったので購入をオンラインで申し込んだのですが、先に購入候補に挙げていた客がいたようで(常連客なのでしょう)一旦返事待ちになったものの、結局その客に購入されてしまったということもありました。

暁斎お得意の烏図です。この構図の作品は有名な『枯木鴉図』を始め複数存在します。
10年以上数々の暁斎作品を観てきた珍は多少目が肥えております。作風からして、おそらく酒宴の席にて
「先生、一つ即興で描いてもらえませんか」
てな感じで依頼され(もちろん有償)ほろ酔いの中でササっと描いた作品だと思われます。酒好きの河鍋暁斎なだけに、小遣い稼ぎにもなるそうした酒宴の場での即興作品はそれなりに多かったようです。
作品の出来としましては、嘴の鋭さや大胆な黒い羽の描写、どこか人間っぽい眼光など、酔ってはいてもそこは幕末以来の人気絵師なだけに精緻な筆致です。いいねぇ。これも推察ですが、描かれたのは落款の画号から幕末安政5(1858)年~明治3(1870)年のどこかと思われます。

勢いだけでほとんど一筆で描いたような木の幹。見ようによっては酔っぱらって描いた雰囲気も伝わりますが、即興らしい筆致ですな。

おもしろいのは墨が飛び散っているところ。この墨に構図や内容の意図を感じませんので、ほんとに飛び散ったんでしょうね。これを美術品でのマイナス要素として見ることもできますが、酒席での即興作品と思えば、逆に景色として見ることもできるかと思います。

落款は「惺々狂斎」と見えます(せいせいきょうさい)。この号は上に書きました期間に使われていました。明治3年10月新政府の役人を風刺した戯画を描いたということで投獄され(その反省として)放免となった明治4(1871)年に「暁斎」と改めています。
今回の入札会には計3作品が出展されていたのですが、この作品が一番気に入りました。烏図がこれを入れて2作品。もう一つの烏図はカラスが木から羽ばたき飛ぶ構図でしたが、こっちのほうが珍好み。ほかに鬼の酒席を描いた掛軸もあって、それはそれでそそられましたが、保存状態がかなり悪いようで(始まり値もお安い)そうなると修復に相当費用も掛かりそうですし、どこまで修復できるかもわかりませんので今回は断念。
なお、珍新居には床の間がありません。掛けて飾りたくてもなかなかいい場所が見当たりませんでして、エアコンの風が当たるところや日が射す窓際も避けたいところ。しかも縦に長い掛軸ですので、けっこう場所を選びました。結局2階珍書斎出入口の横の廊下、先日IPv4で苦しんだネットワークボックスの真下に石膏ボード用フックを打ち込んで吊り下げることにしました。

掛けてしばらくは箱に入っていた防虫香の香りがあたりに漂いました。なお、箱も年季が入っていますけど、特に箱書きはありませんでした。
これにより珍書斎には新進気鋭で近頃大人気の画家、玉井伸弥の日本画と以前ご紹介した坪内好子の小銅版画が2点(いずれも額装)、2階廊下では同じく坪内好子の銅版画と中井精也の写真作品4点に暁斎掛軸が挟まれ、ほとんど美術館のようになってきました(苦笑)
大事な作品なので、虫干しを兼ねて年1回1か月ほど掛けたいと思っています。今回公開は今月末まで。その後は付属の木箱に戻しておきます。ここは掛軸を掛ける場所としますので、今後気に入った掛軸を購入することがあれば飾りたいと思います。珍の場合、骨董に凝るのではなく、河鍋暁斎を中心に気に入った作品が見つかったら…ということです。現代絵師の作品も含めて。
以上、珍コレに加えることが念願だった暁斎作品のご紹介でした(`・ω・´)

『古木烏図』河鍋暁斎/絹本水墨画/166cm×44cm(本紙100cm×31cm)/制作年不詳
初めてその画廊を訪ねたのは、やはり河鍋暁斎作品の展示即売会でした。珍ブログにもそのときの様子を書きましたが、爾来4年を経て、ついに暁斎作品を入手したわけです。めちゃ高くはなかったですが、安くもなかったです(始まり値は18万円也、その他落札手数料12%)。珍新居用美術品基金から拠出。本物か?との疑いもなくはないですが、暁斎作品を多数扱っている、それなりの画廊なのでそこは信用ということですね。
ついこの前同じ画廊で即売会(早い者勝ち)があり、暁斎作品からは馬に乗ったえべっさんの後ろ姿の掛軸が出展されていて、気に入ったので購入をオンラインで申し込んだのですが、先に購入候補に挙げていた客がいたようで(常連客なのでしょう)一旦返事待ちになったものの、結局その客に購入されてしまったということもありました。

暁斎お得意の烏図です。この構図の作品は有名な『枯木鴉図』を始め複数存在します。
10年以上数々の暁斎作品を観てきた珍は多少目が肥えております。作風からして、おそらく酒宴の席にて
「先生、一つ即興で描いてもらえませんか」
てな感じで依頼され(もちろん有償)ほろ酔いの中でササっと描いた作品だと思われます。酒好きの河鍋暁斎なだけに、小遣い稼ぎにもなるそうした酒宴の場での即興作品はそれなりに多かったようです。
作品の出来としましては、嘴の鋭さや大胆な黒い羽の描写、どこか人間っぽい眼光など、酔ってはいてもそこは幕末以来の人気絵師なだけに精緻な筆致です。いいねぇ。これも推察ですが、描かれたのは落款の画号から幕末安政5(1858)年~明治3(1870)年のどこかと思われます。

勢いだけでほとんど一筆で描いたような木の幹。見ようによっては酔っぱらって描いた雰囲気も伝わりますが、即興らしい筆致ですな。

おもしろいのは墨が飛び散っているところ。この墨に構図や内容の意図を感じませんので、ほんとに飛び散ったんでしょうね。これを美術品でのマイナス要素として見ることもできますが、酒席での即興作品と思えば、逆に景色として見ることもできるかと思います。

落款は「惺々狂斎」と見えます(せいせいきょうさい)。この号は上に書きました期間に使われていました。明治3年10月新政府の役人を風刺した戯画を描いたということで投獄され(その反省として)放免となった明治4(1871)年に「暁斎」と改めています。
今回の入札会には計3作品が出展されていたのですが、この作品が一番気に入りました。烏図がこれを入れて2作品。もう一つの烏図はカラスが木から羽ばたき飛ぶ構図でしたが、こっちのほうが珍好み。ほかに鬼の酒席を描いた掛軸もあって、それはそれでそそられましたが、保存状態がかなり悪いようで(始まり値もお安い)そうなると修復に相当費用も掛かりそうですし、どこまで修復できるかもわかりませんので今回は断念。
なお、珍新居には床の間がありません。掛けて飾りたくてもなかなかいい場所が見当たりませんでして、エアコンの風が当たるところや日が射す窓際も避けたいところ。しかも縦に長い掛軸ですので、けっこう場所を選びました。結局2階珍書斎出入口の横の廊下、先日IPv4で苦しんだネットワークボックスの真下に石膏ボード用フックを打ち込んで吊り下げることにしました。

掛けてしばらくは箱に入っていた防虫香の香りがあたりに漂いました。なお、箱も年季が入っていますけど、特に箱書きはありませんでした。
これにより珍書斎には新進気鋭で近頃大人気の画家、玉井伸弥の日本画と以前ご紹介した坪内好子の小銅版画が2点(いずれも額装)、2階廊下では同じく坪内好子の銅版画と中井精也の写真作品4点に暁斎掛軸が挟まれ、ほとんど美術館のようになってきました(苦笑)
大事な作品なので、虫干しを兼ねて年1回1か月ほど掛けたいと思っています。今回公開は今月末まで。その後は付属の木箱に戻しておきます。ここは掛軸を掛ける場所としますので、今後気に入った掛軸を購入することがあれば飾りたいと思います。珍の場合、骨董に凝るのではなく、河鍋暁斎を中心に気に入った作品が見つかったら…ということです。現代絵師の作品も含めて。
以上、珍コレに加えることが念願だった暁斎作品のご紹介でした(`・ω・´)