goo blog サービス終了のお知らせ 

語り得ぬ世界

現実逃避の発展場 Second Impact
since 2014, The First Departure:2005

鰻時計_後篇

2010-02-09 05:33:15 | 鰻重

真打登場。鰻重の蓋を開ける瞬間はいつもどきどきする。それがまた愉しい。

100206b018

鰻重(上)は肝吸、香物が付いて1,700円。上・中・下の違いは鰻の質はそのままで(上)が一匹、その他は切り身。それにしても普通の鰻屋の鰻重の相場からしてもお安い。

100206b019

御開帳。閉じ込められていた香ばしい匂いが一気に開放される。鰻は備長炭で焼き、お米は近江米、タレはもちろん三代目となる店秘伝の逸品という黄金三角。コストパフォーマンスは高い。

100206b020

鰻は柔らかい。ごはんも含め全体的に量は少なめだが、ビールを飲みながら食べるにはこれぐらいでいいかもしれない。少し高めの店なら鰻重特上で4千円はすることを考えたら、これを2杯食べるほうがずっとお得でもある。

100206b023

こちらは肝吸。出汁加減はいい。上品な昆布出汁で肝が引き立つ。さらに主張しすぎない薄味が鰻重を引き立てる。

100206b025

たれは少し甘みを感じるも全体的に薄味。江戸流と名乗りながらタレは大阪・関西系というべきか。珍は薄味好みなのでこれぐらいがいい。ビールのお伴にはやや薄い味のような気もするが、そこは好みで分かれるところ。あまり濃い口だと食べているときはいいのだが、後味がひつこくなる。

100206b026

山椒を少し振りかけてから食べる。さすらいの鰻重ハンターとしてはまさにクライマックス。

100206b027

アンティークな時計が並んだ不思議な店の雰囲気も悪くない(テーブルが広いのもいい)。おもてなしのマインドもいい。鰻ももちろんいい。白焼きがメニューにないのは残念であったが、貴重な肝焼きを食べられたのはよかった。

いつもここで書いているが、鰻屋の評価はただおいしけりゃいい、量が多けりゃいいというものではない。じっくり時間をかけ最後のクライマックスである鰻重に至るまでのじわじわ盛り上がるドキドキ・トキメキ感が大事。
勘定は二人でちょうど6千円也。また来たくなる店であった。
(おわり)

コメント (1)

鰻時計_中篇

2010-02-08 05:37:33 | 鰻重

さて、この『志津可』のフロア係のオバチャンは実に気が利いている。瓶ビール2本を頼むと、こちらから言う前に、

「1本は今開けますね。もう1本は一品(肝焼き)をお出しするときに」

この気遣いはポイントが高い。何も考えずに2本いきなり出されては興ざめ。居酒屋ではないのだから。

そう言えば、この店に入ったとき、調理場は出入口のすぐ左側にあるのだが、そこにいる全員がわれわれの入ってきたことに気づかなかった。Fが閉めた引き戸の音でオバチャンがまず気づき、威勢よく大きい声で「いらっしゃいませ。お二人さま?だったら奥の暖かいテーブルへどうぞ」というのが第一声であった。調理場のメンバーも一斉に「いらっしゃいませ」と言う。あわや店の第一印象を下げかねない場面でのこのようなさりげない気遣いは、かえって気持ちがいい。ちなみにフロアはこのオバチャンが一人で取り仕切っていた。要領もテンポもレベルが高い。

オバチャンは1本持ってきて目の前でポンと栓を抜いてくれた。われわれは時折粉雪が舞い散る外を眺めながら、寒くても「鰻には瓶ビール」の鉄則を守ったのであった。

100206b015

1本目の瓶ビールがほぼなくなりかけたところへ肝焼きが登場。オーダーからの所要時間はおよそ8分。

100206b016

相変わらず接写はグロい肝焼きであるが、薄味ながら香ばしくて美味。肝焼きは炭焼きでやや焦げ加減の香ばしさと、ホルモン焼きに通じるやや歯ごたえのある食感が文字どおり肝。固いとゴムみたいになるが、中が空洞の部分が多いので柔らかすぎても頼りない。この微妙さは素材の良さとともに焼き加減が生命線。タレが存在主張しすぎてもだめ。その点見た目のグロさに反して、程よい薄味と焼き加減も上等なここの肝焼きは十分合格点。

100206b014

湯気でレンズが少し曇っているものの、匂いがしてきそう。1人前700円。

100206b017

こうして至福の時は最初のクライマックスを迎えた。
(つづく)

コメント

鰻時計_前篇

2010-02-07 20:16:21 | 鰻重

珍は昨日ゼミの同窓会でした。と言っても恩師が体調不良でお休みされ、友人Fと二人同窓会。「って単なる飲み会やん!」というツッコミはなしで(笑)

でもこの日は特別なコースを予定しておりました。久々の鰻重ハンターです。今回は大阪市北区西天満『志津可』。

京阪中之島線なにわ橋駅を降り、1番出口を出て、中央公会堂に向かって右側から堂島川にかかる鉾流橋を渡る。Fとは店の前で待ち合わせであったが、渡りきった橋の袂でちょうど合流。店はすぐそこにある。

100206b002

天満警察署の斜め向かいにある『志津可』は、江戸前ではなく江戸流とある。そのあたりこだわりがありそう。

100206b004

店の佇まいにも雰囲気がある。「鰻屋」という看板がシブい。

100206b005

暖簾にある店名ロゴの字体はモダンである。

100206b006

店内に入るとすぐにテーブルがあり、奥に予約客用と思われる座敷も見えた。われわれは堂島川側のテーブル席に通された。土曜の午後2時という時間帯にも関わらず、先客は2組あった。そこは不思議な空間。鰻屋というよりもレトロなカフェの趣き。

100206b007

やたらアンティークな壁掛時計が並んでいる。この画像だけでも十分シュールだが、壁にずらっと並んでいる。

100206b011

置時計も多い。しかも壁掛時計も置時計も全部違う時刻をさしたまま止まっているのがこれまたシュール。店主の趣味なのであろう。店のホームページには店主は骨董マニアとある。

100206b009

アクセントになっている置物をよく見るとウナギが…。これはこれで鰻へのこだわりってことか。よく考えるとこんなの作って売ってること自体考えにくいので、特注なのかもしれない。

100206b010

フロア係のオバチャン(と呼ぶにふさわしい人)に鰻重(上)と肝焼きをそれぞぞれ2人前、瓶ビール(アサヒ)2本をオーダー。ちなみに聞くと白焼きはやっていないとのこと。少し残念であるが、肝焼きがあったのは嬉しい。
(つづく)

コメント

土用の丑の日リベンジ

2009-07-19 19:19:48 | 鰻重

正真正銘、本日が土用のの丑の日です。珍は予告どおり、再度鰻重を食べてリベンジを果たしました。

090719b004

天満橋の『伊賀喜』です。なお、正確には「喜」は七が三つです。某府庁・合同庁舎に近いという立地条件からランチ時はサラリーマンでにぎわってますが、日曜・祝日は定休日。でもさすがに今日は営業してはりました。ちなみに、土曜はお昼時のみ、売り切れたらその時点で閉店。高級老舗系ではないですが、オフィス街にある老舗というイメージでリーズナブルながら決して安っぽい店ではありません。

珍の鰻重探索はいつも特上の鰻重。今日は車なのでビールはパス、時間もなかったので白焼きもパス。そこが悔やまれますけど、特上鰻重をいただきました。

ここは狭い店でもあり、フロア係は上品で愛想のいいオバチャン一人。珍が着いたのは開店時間11:30より少し早く。おそるおそるという風情で聞いた。
「もういいですか?」
「どうぞどうぞ。今日初めてのお客さまですよ」
「特上でお願いします」
「はい、ごはん大盛りにしましょうか?」
「お願いします」
「お吸い物は?」
「肝吸で」
「はい、少々お待ちください」
てな流れで手際もテンポもよく、サービスもいい。

090719b001

待つこと5分。土用の丑の日ということですでに焼き始めていたのだろう。すぐにオーダーが出てきた。ごはんの大盛りが蓋が閉まらないところでしっかりアピール。
「今日の肝吸は(肝が)二つですから」
オバチャンは自慢げ。

090719b002

蓋を開けるとこう。器が大きいわけではないが、しっかりとしたボリューム感がうれしい。ここの売りは何といっても鰻の質感。とにかく肉厚なところがたまらない。やはり瓶ビールがほしいところ。肉厚な白焼きもそそられるだろう。これで肝吸が付いて2,600円、ごはんの大盛りはサービス。

090719b003

たれは甘め。一般的に鰻重のたれは甘いのが多いが、ここのたれはまったり感のある甘み。甘いたれは好みが分かれるかもしれないが、珍的にはけっこうイケてる甘み。ごはんとからむと、卵かけごはんとほんとよく似た味。実にまろやかで上品に甘い。癖になりそう。

さきほどのオバチャンが来た。
「たれをもう少しおかけしましょうか?」
「ありがとう、大丈夫ですよ」
「言ってくださいね」
そう言って下がっていった。こんな気配りもうれしい。混んでくるとそうもいかないのかもしれないが、普段の店のサービス水準がわかる。

この店、実は4度目。最初は10年近く前に職場の上司(当時の課長)らに某府庁出張帰りに、やはり特上とビールをごちそうになり、すぐにもう一度その課長に今度はピンで、さらに友人ST(人間ドックツアーのマブダチ)と。実は一度も支払ったことがない(笑)来たのは久々でしたが、やはり美味しかった。また来たくなりました。

この日珍がいる短い間にお客はお持ち帰りの女性客が一名と、夫婦らしきカップル二名。どちらも常連っぽかったです。この後きっと混んだのでしょうね。オバチャンの話では、昨日もすぐに売り切れたらしい。
最後に勘定をした際にオバチャンが一言。
「鰻を食べる人はみんな長生きするんですよぉ。80歳を超えたお客さんもおられますし」
土用の丑の日に鰻を食べた珍は、長生きはともかく(笑)この夏を乗り切れるでしょう。

コメント

土用の丑の日イヴ

2009-07-18 20:56:42 | 鰻重

明日7月19日は土用の丑の日ですね。ここんとこ珍は日にち、曜日の感覚がビミョーにずれてて、今日が19日と勘違いしていて「今日の昼ごはんは鰻重だぜ~」と自転車を飛ばして駅へ。

例の「萌えるうどん屋」のあるフレストK園で鰻重を調達しようとしたら…「丑の日」「うなぎ」の字が躍っていると思ったのに全然さびしい…ここではじめて19日は明日であることに気づきました。ニュースや新聞も見ていたのにね。遅っ(笑)

人間、思い込みというか固定観念というか先入観というか、いかんですなぁ。珍は今日が19日と思い込んでおりました。そういえば朝刊を見ていても、あまり土用の丑関連の記事がないなとは思ってました。そこで気づけよ、オレ(笑)

それでもフレストに入って、鰻のコーナーを発見。丑の日を控え、季節ものってことでちゃんと用意はしてあるのですね。さっそく「いずもや鰻重」(1,155円)と国産肝焼き(298円)を購入。

090718b001

こちらがその鰻重。京都四条の『いずもや』のことですね。量は少ないけど、上品な味。鰻も悪くなく、昼ごはんに家でさくっと食べるにはちょうどいい。

090718b002

いい鰻をそれなりの対価を支払って食べるのが鰻好きの珍の望みですけど、まあ贅沢ばかりもしていられない。とりあえずブログ行きになればそれでいい?!(笑)

090718b003

肝焼。珍ブログでも書きましたが、鰻屋ではなかなか食べられない。とにかく食べれることに意義がある。先週珍姉宅へ行ったときにもらったチェコのビールとともにいただいた。

090718b004

まあ、見た目はけっこうグロテスクにスプラッター(笑)どう見てもエイリアンの内臓。通常は串に刺してます。串の肝焼も売っていたのですが、中国産ということでパス。

090718b005

鰻好きの珍としては明日も食べたいところ。今日は勘違いしたものの、好物の鰻は何度食べてもオッケーなので今日は「土用の丑の日イヴ」ってことで明日もイッちゃいましょう!

コメント

鰻小粋_04

2009-03-05 07:11:01 | 鰻重

11時半ぐらいまでは珍の貸切状態であったが、続々と予約客が到着しだした。9人の団体もいた。ここは玄関の左横に2階の座敷に上がる階段があるのだが、その団体は現地集合にしているらしく、初めての客は階段がわからず、1階テーブル席のフロアに必ず問い合わせに来る。それでも二人の仲居さんは邪魔くさがらずにテキパキと店の外へ案内し、階段に誘導していた。接客サービスのありようが店員一人ひとりにしっかり行き届いている。



090301b022



店内に漂う清潔感はとても好感が持てた。トイレも利用したが、やはり清潔。これはポイントが高い。ただトイレットペーパーが▽になってはいなかったのが惜しい。フロアに別の男性客もいたのだが、おそらく珍が最初だったと思われる。



090301b016



今回の『根ぎし 宮川』は総合的に非常に満足度の高い店であった。7,090円というコストパフォーマンスもいいほうだろう(瓶ビールは税込@600円)。接客は満足いくものなのに、消費税以外にサービス料などを取らないのも良心的である。とにかく接客態度は申し分ない。



今年度の東京出張で鰻屋は3軒目。珍は来年度に東京へ出張する見込みがないことから当分東京の老舗鰻屋へ行くことはないだろう。それでも『野田岩』『石ばし』『宮川』と有名な店に行ったことになる。どれも甲乙つけがたいのだが、珍としては『石ばし』を推したい。お通しのレベルの高さ、待つ時間のわくわく感、そしてその期待以上の鰻パフォーマンス、「お一つどうぞ」のアトラクション、ごはんの適度な固さ、どれも珍が体験してきた鰻屋としては最強の部類である。もう一度行きたい店を聞かれたら間違いなく『石ばし』と答える。



最後に蛇足を一つ。先述の電話の会話で判明したのだが、『宮川』の板長は「石橋さん」であった。東京鰻紀行としては何とも因縁深き展開で幕を閉じたことも感慨深いものである。次回以降は大阪・京都の老舗めぐりをレポートしていきたい。お楽しみに。
(おわり)

コメント (2)

鰻小粋_03

2009-03-04 07:18:26 | 鰻重

090301b012



白焼が完全になくなる前に鰻重を頼んだ。そして、それはそれほど待たされることなく出てきた。やはり漆器のお重に入れられて登場。



090301b014



開ける瞬間はこの日のクライマックスである。肝吸い、香物、デザートが付くのは鰻重共通でこれは最上ランクの3,150円。鰻一尾が三枚に分けられている。



090301b013



基本あっさり系で、ほのかに甘めのタレがうるさくない。ごはんの量はやはり少ない。ごはんは頼めば大盛りにしてもらえるとは思うが、初めてでは標準がわからないだけに躊躇してしまうもの。ただ、こういう店は「大盛りを食らう」のでは情緒に欠けるのも確か。常連になってからコントロールすればいいということか。ちなみに、好みは分かれるだろうが、珍的にはもう少し固めに炊かれたごはんのほうがいい。しかし、ごはんの量とあわせこの柔らかさも年配の客への配慮なのだろう。



鰻重が出されたときに、さっとテーブル隅のひょうたん型山椒入れを出してくれたのだが、そこへ着物の仲居さんがさりげなく通りがかった。
「強めに振ってください。きめ細かいですので」
そう言って立ち去ったが、特に用事なく下がったことから、さりげなさを装いながらも、一回目振ったとき出にくくて珍が粉の出方を見ているのを確認し、わざわざ言いに来てくれたのだとわかった。これも気くばり。
ただ、その気くばりが嬉しくなって、山椒は食べる直前に食べる部分に振るという原則を忘れて全体に振ってしまった(笑)



090301b015



別の仲居さん(洋装)が来て、「お茶は(ビールがなくなってから)もう少ししてからですね」と声をかけていく。酒飲みに対するこの店の一貫した心遣いなのがわかった。



090301b017



香物は自家製かどうかわからないが、四種類の漬物を色目も意識している点が小粋。その後電話の会話が聞くともなしに聞こえた。受け応えは着物の仲居さん。どうやら常連さんのようである。相手はやはり肝焼きを注文したようだが、断っているのが聞こえた。一見の珍と差をつけられる可能性もあったわけだが、ここでも一貫しているところが(当たり前ではあるが)老舗にありがちな客を選ぶことをしないのは下町情緒溢れるこの界隈の正直な店だからか。これも好感。



090301b018



デザートはにんじんとりんごのゼリー。上品な大きさであるが、口直しとしては申し分ない。珍が「これは何ですか?」と聞くと、洋装の仲居さんが
「にんじんです」
そう答えると、すぐに着物の仲居さんが出てきて「りんごも入っております。りんごを混ぜることでにんじんらしさを感じさせないようにしています」と慌ててという風情で補足した。
「僕はにんじんも好きですから大丈夫ですよ」
「お客様によってはにんじんがお嫌いな方もいらっしゃいますので…」
「これも美味しいですねぇ」
確かににんじんの味よりもりんごの酸味が勝っている。その酸味が口の中に残る鰻のタレや山椒の後味をきれいに流してくれる。
(つづく)

コメント

鰻小粋_02

2009-03-03 07:29:28 | 鰻重

『根ぎし 宮川』は鰻メインではあるが、天ぷら、活魚などのコース料理も扱う割烹である。珍は単品をチョイスしたが、お昼のコースとして鰻重や刺身などがセットになった2,100円のお得なコースもある。



メニューを見ていくと「焼き物1,050円~」という項目があり、気になって着物の仲居さんに聞いてみた。
「メニューに焼き物とあるのですが、肝焼きはできるのですか?」
「あ、申し訳ございません。本日肝焼きはできないんです。できるときとできないときがありまして…本日はあいにく…」
いかにも申し訳なさそうに言う。
「肝焼き、美味しいですよねぇ。お客様からもよく問い合わせをいただくのですが、肝はどうしても肝吸いで取られてしまうのです。(夜の)コース料理は肝吸いではなく、普通のお吸い物でして、それが出ますと肝が取れるのです。コース用にはこれから(鰻を)割いていくところですので、夜には肝焼きをお出しできると思うんですけど…」
「残念ですねぇ。でも仕方ないですね」
客に仕方ないと思わせる話術、情報提供が素晴らしい。
「他に焼き物はどんなものがあるのですか?」
「本日は鰆(さわら)です」
割烹っぽく鰆の焼いたのもそそられるが、ここは鰻にこだわりたい。
「これ(肝のしぐれ煮が入っていた空の皿を指し)、ほんとに美味しいですね」
「ありがとうございます」
「肝焼きの代わりに追加でもう一皿お願いします」
「承知いたしました。ありがとうございます」
しぐれ煮も絶品ですが、ますます肝焼きが食べたくなりますな。



090301b008



オーダーからおよそ20分で漆塗りの上品な器に入れられた白焼が登場。瓶ビールは2本目を頼んだ。



090301b009



これで2,100円也。三段階あるうちの中級。聞けば大きさでのランク付けらしい。とにかくふっくらとして柔らかい。箸でつまんだだけで崩れてしまうので、慎重に身を一口サイズに分離させていく。口に入れた瞬間に溶けてしまうほど。いい意味で歯ごたえはない。



090301b010



ゆっくりと味わいながら箸を進める。白焼+鰻重は前回から珍的定番となったが、鰻好きにはまさに至福のときと言える。
(つづく)

コメント

鰻小粋_01

2009-03-02 08:31:41 | 鰻重

東京から帰ってきたら3月。いや、まあ東京でも3月だったわけですが(笑)何となく浦島太郎的心境に陥るのが不思議ですな。多分東京という珍的非日常空間にいて、時間が止まっていたのでしょう。前回1月の東京が最終の出張予定だったのですが、急遽追加会議@東京が入るという嬉しい展開。それでもとうとう今回が本当に最後となってしまいました。
さて、東京レポートは鰻から。



090301b019



今回の鰻屋さんは『根ぎし 宮川』。駅でいうと、上野・鶯谷・入谷を結ぶ三角のほぼ真ん中、上野郵便局の向かいに店はある。前夜茅場町のホテルに泊まっていたこともあり、東京メトロ日比谷線入谷駅から歩いて向かった。入谷駅からだと徒歩7~8分。



090301b020



根岸という下町情緒が残る地域に根ざしながらも上品さ、小粋さをしっかり漂わせた店構えである。創業して約60年というと東京の鰻屋では老舗と呼ぶにはまだ新しいほうかもしれないが、激戦区東京で60年間鰻屋を続けるにはそれなりのお店ということ。ネットでの事前チェックで珍がここを選んだ理由の一つに、接客サービスの良さもある。開店は午前11時。



090301b021



ほぼ11時に到着。あいにく店の前の道路は舗装工事中で、ローラー車などがうなりをあげ作業していた。そこへ着物姿の50代と思われる細身で品のある女性が店から荷物を持って出てきたので、まだ開店準備中なのかと思い「もういいですか?」と一声かけた。すると、「どうぞ」と1階テーブル席へ快く招き入れられ「お好きなところへお掛けください」。



珍が一番奥の席に陣取ると「すぐにお茶をお持ちしますね」とさきほどの女性。仲居さんなのだが、一人だけ着物姿であり、他のフロア係の女性から「ねえさん」と呼ばれていたところをみると、フロアマネージャー的位置づけではないかと思われる。



090301b011



さっそく瓶ビールを注文。店内は清潔感漂う雰囲気。店内の照明が日中にしてはやや暗いかなとは思ったが、上品さがないわけではない。京都『ぎをん梅の井』の店内に近いイメージである。鰻重と白焼を注文し、鰻重は後で出してほしいとお願いした。



ビールを注文した時点で着物の仲居さんが「すいません、お茶は後のほうがよろしいですね」とわざわざ出してくれたお茶をさっと引いていった。酒飲み、特にビールを頼む客はまずビールの前に別の飲み物を口にしない。こういう酒飲みへの気遣いは意外と嬉しいもの。それに普通の店なら出したお茶はそのままでしょう。飲みたきゃ飲むだろうし、飲まないならそのままだろう…そうなるはず。こっちはビールがあれば飲みはしないけど、最後に飲もうと思ったら冷めたお茶しかないということになる。入れ替えてもらうにはこっちから声をかけないといけない。そういう無駄な手数を客にさせるというのはマイナスなんですね。



090301b006



ここでは、いわゆるお通しはない。つまみに「肝のしぐれ煮」(320円)を注文した。事前チェックでも評価が高かった一品。



090301b007



美味です。肝吸いのイメージから鰻の肝がここまで美味しいとは思わなかった。味付けの妙なのでしょうが、肝のくさみもなく苦味もほんのり程度。ビールにも熱燗にも相性はバッチグー。しかもこれで320円というのだからコストパフォーマンスはすごい。
(つづく)

コメント