朗読教室ブログ「海のまち朗読館」

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「手袋を買いに」を朗読する時に

2018-11-10 21:06:46 | 朗読作品

今日は、湘南モールカルチャーの朗読クラスがありました。

いまこちらでは、新美南吉「手袋を買いに」を読んでいます。

このお話は朗読ファンにとても人気があり、朗読会で最もよく読まれている作品の一つだと思います。

カルチャーでは「発表朗読」のお稽古をしているので、ある程度広い場所のお客様の前で朗読する前提で読むことになります。

ライブで読む場合と、録音で読む場合は、聴く方の環境も違うので、読み方も変わるわけですね。

今日は冒頭部分を一人づつ読みました。

このお話のナレーション部分は、状況を実況中継で説明している。

中継者は、狐の親子を愛情のあるまなざしで観ている。

そこで、読み手は、心の中の明るい面をベースにして読み続けることになります。

冬の夜、雪がたくさん降っているところに行ったことがありますでしょうか。

その雪は真夜中過ぎにやみ、明け方にはすでに太陽が輝き、子狐がほら穴から出た時は、

眩しいほど雪に反射して輝いていました。

何時ころでしょうか。

冬だから日の出は遅いですね。

太陽がすっかり顔を出すのは7時過ぎにはなるでしょう。

こんな風に、できるだけ具体的に物語の情景を描き、自分の頭のスクリーンに映します。

「母ちゃん!目に何か刺さった!抜いて頂戴!早く早く!!」

「!」は私が付けました(笑)。

きっとすごく痛かったのです。

まだ1歳にもならないので、経験も少なく、「痛い」→「足の裏にとげが刺さった」的な反応なのでしょうね。

だから「目に何か刺さった!」と、とっさに思ったわけです。

足にとげが刺さった時はいつもママが抜いてくれて、痛みが取れるから、この時もとっさにお母さんを呼びました。

―と、こんな風に、一行づつ物語を読み解いていくのですね。

「まっしろなゆきが、どっさりふった」のところは、韻的なリフレインを生かすと生き生きと表現できます。

「すっと」映る虹、「どたどた、ざーっ」と上から落ちてくるパウダースノー、落ち切る前に舞うさらさらした雪が「ふわーっ」と降ってくる。

擬音は思い切りよく、おなかに力を入れて表現するとリアリティを増しますね。

こんな解釈だけが正しいわけではないですが、このお話を読むときにはご参考にされてください。

朗読の楽しさは、一人ですべてを演出できることではないでしょうか。

丁寧に読みこむほどに、物語のなかにはいって、一緒に遊ぶことができるように思います(^O^)

 

 


4人クラス・いま読んでいる作品

2018-10-28 21:30:58 | 朗読作品

「海のまち朗読館」の朗読4人クラスでは、4月の朗読リサイタルに向けて、この秋から作品のお稽古を行っています。

今年は初の試みとして、長い作品をいくつかのクラスで読んでいただく演出も考えて作品を選びました。

ちょっとご紹介させていただきますね。

「銀河鉄道の夜」宮沢賢治 パンジー組・桃組・アネモネ組・カメリア組
「よだかの星」宮沢賢治  ダリア組
「器量のぞみ」宮部みゆき 桔梗組・アイリス組
「入れ札」菊池寛  ストック組・プリムラ組
「雪女」小泉八雲  クロッカス組
「仙人」芥川龍之介 マーガレット組

どのクラスも一通り読み終えて、これから読み込みに入ります。
どの作品も、「一人で読みきる」ことを目標に仕上げていきますので、それぞれが「自分のレパートリー」に加えていただけるよう、しっかりお稽古させていただきます。
これが年内いっぱい続く感じですね。
年が明けてからは、全体の中での役割を果たす読みに移っていきます。

今度のリサイタルでも、ピアニストでシンセサイザー奏者の早希さんが各作品をサポートしてくださることになりました。
効果音や音楽など、時間をかけてオリジナルの作品に仕上げていく作業をお願いします。

今年のリサイタルでシンセサイザーを弾く早希さん。

早希(from Cloth)
埼玉県出身。3歳からピアノを始め、主にクラシックを弾く。
高校生の時、当時習っていたピアノの先生から
コードやアドリブを教わり、ポピュラー音楽に目覚める。
昭和音楽大学短期大学部ポピュラー音楽コースを卒業。
在学時にヴォーカル&ピアノのユニット「Cloth(クロス)」を結成。
ライブ活動の他、ネットライブの生配信やYouTubeで動画の公開をしている。


朗読者募集!テーマは「海」「赤」「靴」「人形」「横浜」「港」

2017-10-30 22:05:30 | 朗読作品

来年2月12日の朗読会は、テーマで読む朗読会です。

それは「海」「赤」「靴」「人形」「横浜」「港」。

お話のどこかに、これらのキーワードが関係している物語を朗読していただきたいのです(*^_^*)!

それらが「物語のテーマ」として扱われている必要はありません(*^^)v

たとえば本日お問い合わせがありましたが、芥川龍之介「ピアノ」。

この小説は横浜の山の手、が舞台になっていまして、「横浜がテーマ」というわけではないのですが、これは「今回の朗読会のテーマ」として正しく成り立っております!

…って、すみません、ちょっと何言ってるんだか分からないですね(^_^;)

「海」「赤」「靴」「人形」「横浜」「港」のキーワードがお話の中に見つかれば、それで十分ということなんです。

よろしくお願いします!

もう幾人かの方からご出演のお申し込みをいただいております。

まだ10月なのですが、来年の2月がとっても楽しみです(*^_^*)

「海のまち~朗・読・体・験~2018早春!」

2018年2月12日月曜日 11時半~16時半

横浜人形の家 「あかいくつ劇場」にて 

後援:(一社)日本朗読検定協会

 


さくら組朗読作品「極楽」

2017-10-29 19:45:01 | 朗読作品

さくら組は、菊池寛「極楽」を読んでいます。

これはユニークな物語です(*^_^*)

菊池寛は、ユーモラスな、まあどちらかというとブラックユーモア的なニュアンスのある物語が得意な感じなんですが、「極楽」もかなりイケています。

舞台は江戸後期、「おかん」は真面目なおかみさんです。

老年になり、寿命がやってきて、「おかん」は普通に安らかにあの世へ移動します。

生前、御寺様の教えを忠実に守ったおかげで、「おかん」は無事極楽へ到着しました。

10年前に亡くなって先に蓮のウテナに座っていた夫の宗兵衛ともめでたく再会を果たし、二人はともに数十年を過ごします。

極楽の様子は、御寺様で聴いていたことと寸分たがわず、「針で突いたほどの苦しみもない!」とおかんは日々感動を新たにするのでした。

そのおかんが、念願の極楽にいるにもかかわらず、いつか憧れを抱くようになったその対象は…!!

衝撃的すぎてとてもここではお話できないです(*_*;

しかし、彼女の気持ちはわからないでもありません。

現に宗兵衛もおかんに賛同しています。

あなたはどう思いますか!?

来年4/1(日)、藤沢の「ル・クラシック」にて開かれる「海のまち・朗読リサイタル2018」で、このお話を聴くことができます(^O^)

たくさんのお客様のお越しをお待ちしております。


桔梗組朗読作品「にぎり飯」

2017-10-21 18:49:24 | 朗読作品

「海のまち朗読館」では、4人までの少人数クラスで月に2回、御稽古を楽しんでいます。

4月から7月は、各自好きな物語を読みます。

8月は夏休みで、9月から3月までは、クラスごとに一つの作品を読みこんでいきます。

文学作品を、時代背景や作者の人生をたどりながら解釈し、どう読んだら伝わるかを工夫し、朗読作品として仕上げます。

そして、それを4月第1日曜日の「朗読リサイタル」でお客様に披露します(*^_^*)。

これから少しずつ、今読んでいる作品をご紹介してまいります。

まずは桔梗組。

こちらのクラスでは永井荷風の「にぎり飯」を読み始めたところです。

永井荷風は明治の東京で生れ教育を受け、留学も経験、慶應義塾大学文学部の教授もしながら小説を書いた作家です。

明治大正昭和と、時代の主流の中にいながらもハズした生活を続けたので、だんだんイロイロ苦しくなり戦争中は疎開先で困窮したりして、最終的には私の生まれる前の年に(関係ないか…)自宅にて孤独死されました。

ニューヨークやパリで過ごし、浅草の花柳界、銀座のモボモガカフェーに身を置いた、当時は並ぶもののないほど超おしゃれなおじさんの書く文章は、粋で軽やかで、それからけっこうナマナマしいです。

「にぎり飯」は、昭和20年3/10の東京大空襲、猛火を生き延びた二人の男女が、炊き出しのおにぎりを一緒に食べたことから始まる物語です。

どんな環境でも、男と女がいる限り、こういうことが起こるんだなあと…。

私としては、「ホッとする」物語です。

生きようと懸命になることが未来を運んでくるのかもしれません。

それは千代子と佐藤だけじゃなくて、パンパン屋になった元彼にとっても言えることなんだろうなあと…。

写真は、文化勲章を祝った、浅草ロック座というストリップ劇場の踊り子たちとのショット。

荷風先生、戦後はここの楽屋に入り浸っていたそうですよ。

東京低空飛行

 

 


4/2朗読リサイタルプログラムNo.9「まどはしの四月」

2017-04-01 17:10:53 | 朗読作品

明日のリサイタル作品、最後にお届するのは、片山廣子「まどはしの四月」。

まどはし、と書いてまどわし、と読みます。

これは、片山廣子が、エリザベス・フォン・アーニムの小説『The Enchanted April』を読んでエッセイを書いたものです。

小説は1992年にイギリスで映画化され、日本でも公開されたので、観た方もいらっしゃるかもしれませんね。

邦題は「魅せられて四月」。

enchantedには、魔法にかけられた、っていう意味があるんですね。

イタリアの四月のお城に憧れるイギリスの4人の女性。

はい、私も憧れちゃいます~(^O^)

現実の生活の中で「奇跡」はきっとある。

朗読もそんな存在になる可能性を信じて、「海のまち朗読館」はこのリサイタルをプロデュースしています。

明日は、皆様に「魔法にかけられた四月」を感じていただけましたら幸いです。

お目にかかれますのを楽しみにしております。


4/2朗読リサイタルプログラムNo.8「身投げ救助業」

2017-04-01 16:56:35 | 朗読作品

明日のリサイタルの作品紹介もあと二作品を残すばかりとなりました。

まずは「身投げ救助業」菊池寛。

菊池寛と言えば「父帰る」と反射的に思い出す人が多いと思います、教科書に載っていたし覚えやすいタイトルですし(^^ゞ

菊池寛は文筆家のほかに、事業家や翻訳家としての顔も持つ多彩な人。

そしてユーモアを含んだペーソスたっぷりの小説をたくさん書いています。

今回朗読する「身投げ救助業」はまさにその真骨頂。

なかなか他の人には書けない感じですね。

京都のおばあさん(おばあさんと言いつつ、43歳っていうのがまず衝撃。明治大正の頃は、43歳は老婆だったんですね!)が、身投げ者を助け、政府から報奨金をもらい、郵便貯金に預け入れる。

とっても良いことをしている自分。

しかしある日、貯金がごっそり引き出されてしまい、世をはかなんだ彼女が選んだ道は…。

すべての登場人物に自分自身を投影してしまう、私の好きなお話です。


4/2朗読リサイタルプログラムNo.4「野ばら」

2017-03-31 20:41:31 | 朗読作品

今年のリサイタルでは9作品を朗読しますが、その中でももっとも世界中の朗読者に愛されている作品の一つが、小川未明の「野ばら」です。

「wild roses」と翻訳もされています。

タイトルが美しく可憐ですから、ロマンチックな物語を想像してしまいますが、読んでみるとそれは二人の男性~年配者と青年~の思いやりあふれた友情が描かれていることに少し驚きます。

二人は兵士なのです。

哀しく温かく、遠い昔にそんなことを経験したことがあるのではないかと思うような、デジャブ的懐かしく切ない物語です。

メンデルスゾーンの優しいピアノサウンドが、花が咲き鳥が歌う天国で遊んだ、あの二人の日々の想い出をフラッシュバックさせてくれます。

このお話を思う時はいつでも、胸がいっぱいになります。

どうぞご期待下さい。


4/2朗読リサイタルプログラムNo.1「わかれ道」

2017-03-19 21:34:57 | 朗読作品

4/2のリサイタル作品ご紹介、今日は、プログラムナンバー1、「わかれ道」樋口一葉。

樋口一葉の「人情悲劇」ものです。

捨て子のため孤独に育った、傘屋の油引き、吉。

一人暮らしの仕立て屋お京を姉と慕い、心の支えとしている彼に訪れた、お京との別れ。

生活に疲れてお妾さんになることを決めたお京を引きとめることはできない。

一人ひとりが生きることに必死で、自分に与えられた目の前の糧に取りすがるよりほかない時、気持ちは一番後回しにされてしまいます。

いつもそれは誰かを傷つけるのだけれど、受け入れなくては自分も生きてはいけないのだから、耐えて相手をゆるす吉三の最後の言葉が切ないです。

これを私が読みます。

BGMはありません。

自分で読むので音だしの操作ができないからです(^^ゞ

いいお話なんですよ…。


4/2朗読リサイタルプログラムNo.6「海のまぼろし」

2017-03-15 20:39:33 | 朗読作品

4/2のリサイタルまであと2週間となりました。

きっと桜の満開の頃でしょう(^O^)

お楽しみいただく作品について、これからご紹介していまいります。

今日は、プログラムナンバー6、「海のまぼろし」小川未明。

小川未明は短編が多く、朗読に向いているのですが、これは読まれる機会の少ないお話です。

行間には、若さや、貧しさや、恋、移り気、婚約、失恋、裏切り…、未明のほかのお話に比べると大人っぽい要素が満載。

華やかさのない漁村の描写に、青いガラスのような空、白いかもめ、黒い水平線、血潮のような赤い夕陽、赤い顔、黒い魚、光る目玉という原色が鮮やかに映ります。

そこで何が起こったか、一番つらかったのは誰か、みんなが自分にとってベストだと思われる選択をして生きていることはわかります。

だから雪より白い鱈の肉の中から出てきた「桃のつぼみ」を見た私たちは息を止めるのです。

二人でこれを読みます。

BGMはジャズのスタンダードから。

お楽しみに(^O^)