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虚偽自白

2016-08-29 | 志布志公選法違反事件・国家賠償訴訟関連
虚偽自白、解析ソフトで見抜く 冤罪防止に新たな武器 立命館大、「供述分析」を進化


虚偽自白 という言葉自体がなかなか 理解しにくいでしょうね。


確かに、供述経過の分析結果をグラフ化すると分かりやすいですね。

あとは、裁判員裁判とかだと裁判員に結果としてのグラフを
理解してもらえるかが問題点として残りそうですね。

志布志事件の影響というか副産物ですね。

録音録画から分析するとなると、弁護側は信用性について供述内容を問題にするので
実質証拠の問題とは抵触しないのだろうか。

産経新聞の記事からです。

※引用

虚偽自白、解析ソフトで見抜く 冤罪防止に新たな武器 立命館大、「供述分析」を進化

 捜査機関が取り調べの際に作成した供述調書をパソコンで解析することで、供述の真偽を判断する取り組みが立命館大(京都市)で進められている。特定の単語が現れる頻度や供述の傾向を、市販の言語解析ソフトで分析。供述の変遷がひとめで分かるようにグラフ化することができる。再審無罪が確定した大阪市東住吉区の女児焼死火災のように、冤(えん)罪(ざい)事件では虚偽の自白に基づいて有罪とされたケースが多い。こうした自白の信用性が争点となる事件での活用が見込まれ、刑事弁護に携わる関係者は「冤罪防止の武器になる」と期待している。

 1000枚を数分で分析

 供述を心理学的に検証する手法は「供述分析」と呼ばれ、刑事司法分野の研究領域の一つになってきた。これに情報処理の技術を取り入れたのが立命館大政策科学部の稲葉光行教授(情報学)だ。

 今年4月には立命館大を拠点に、無実の可能性がある事件を支援する「えん罪救済センター」が発足。稲葉教授は代表として、さまざまな事件の供述分析に当たっている。

 そもそものきっかけは、平成15年に行われた鹿児島県議選をめぐる選挙違反冤罪事件(志布志事件)で無罪となった12人が、国に損害賠償を求めた訴訟に関わったことだった。事件の過程では鹿児島県警の連日にわたる過酷な取り調べの結果、買収を認める虚偽の自白をした人も複数いたことから、訴訟では取り調べの違法性や虚偽自白に至った経緯を明らかにする必要があった。

 稲葉教授の解析はまず、文字認識ソフトを使って、紙の調書をパソコンに読み込むところから始まる。A4判1枚につき、読み込み時間は3秒程度だ。

 そのうえで、パソコンに取り込んだ調書の文字データを言語解析ソフトにかける。志布志事件の12人の調書は、A4判で1人当たり約千枚にも上ったが、調書中に頻出するキーワードを抜き出すのにソフトが要した時間は、それぞれわずか5分ほどだった。

 頻出の単語抽出

 ある女性の調書では、「お金」というキーワードを、「お金−もらう」「お金−もらわない」という自白と否認の言葉の組み合わせで抜き出してグラフ化。女性が自白と否認を繰り返した経緯が、具体的な日時や回数とともに浮かび上がった。

 さらに、女性の供述が自白と否認との間で揺れた原因の一端も示すことができた。

 ソフトは頻繁に出てくる単語として「頭」という名詞を抽出。警察から容疑をかけられて「頭が真っ白になった」。自白を迫る検察官と、真実を供述するよう説得する弁護人との間で板挟みになり「頭が痛い」。こういった否定的な文脈で計30回使われていた。

 稲葉教授によると、「混乱していて自発的になされた自白ではないことが明らかになった」といい、分析結果は訴訟の証拠として提出された。

 可視化への活用も

 志布志事件の公判と民事訴訟のいずれも担当した野平康博弁護士(鹿児島県弁護士会)は「取り調べの録音・録画(可視化)が全面施行されたときには、この分析手法が冤罪を防ぐ有効なツールになる」と話す。

 5月に成立した改正刑事訴訟法では、裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件で、取り調べの全過程の可視化を義務付けた。同法が施行されれば取調室で交わされた一問一答のやりとりが、映像や音声とともに法廷で審理される機会も増えるとみられる。簡潔にまとめられた調書と違って、生の言葉のやり取りを言語解析ソフトにかければ、事件の本質にさらに近づくことができる。

 稲葉教授は「現時点では音声を文字化するソフトの性能に限界があるが、将来的に性能が向上すれば、取り調べのすべてを瞬時に分析することも可能になる」と話している。


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