春秋
2013/1/5
この冬は寒い……とぼやきつつ年末年始を過ごし、これからの厳寒期を案じている人も多いだろう。当初は暖冬という予報もあったけれど、エルニーニョ現象が不発だったり偏西風が大きく蛇行したりで、すっかり見立てが狂ったらしい。占いがたきものは気象である。
▼とはいえ何百年単位の大きな流れもあって、16世紀から19世紀にかけては欧州を中心に世界的な「小氷期」だったという。明治政府が気象観測を始めた翌年の1876年1月13日には、東京で氷点下9.2度を記録している。水たまりに氷が張るのさえ珍しい近年の東京とは別世界、冬とはものみな凍る季節だったようだ。
▼この小氷期のピークにはロンドンのテムズ川が頻繁に結氷し、アルプスの氷河は低地に広がって家々をのみこんだと伝えられている。日本は江戸時代で、淀川が凍りついたこともあるそうだ。歌川広重は東海道といい江戸市中といい大雪に埋もれた景色をいくつも描いている。あれだって誇張ばかりではなかったのだろう。
▼そんな酷寒に比べれば今どきの冷え込みなんぞ、と言いたいところだが、縦じまの天気図を眺めるだけでブルッとくる。それでも正月の列島がまずまず穏やかなのは、景気回復への期待が募っているからかもしれない。株価は大幅高でスタートした。長い氷期の終わりを夢見てみようか。占いがたき未来ではあるにしても。
2013/1/5
この冬は寒い……とぼやきつつ年末年始を過ごし、これからの厳寒期を案じている人も多いだろう。当初は暖冬という予報もあったけれど、エルニーニョ現象が不発だったり偏西風が大きく蛇行したりで、すっかり見立てが狂ったらしい。占いがたきものは気象である。
▼とはいえ何百年単位の大きな流れもあって、16世紀から19世紀にかけては欧州を中心に世界的な「小氷期」だったという。明治政府が気象観測を始めた翌年の1876年1月13日には、東京で氷点下9.2度を記録している。水たまりに氷が張るのさえ珍しい近年の東京とは別世界、冬とはものみな凍る季節だったようだ。
▼この小氷期のピークにはロンドンのテムズ川が頻繁に結氷し、アルプスの氷河は低地に広がって家々をのみこんだと伝えられている。日本は江戸時代で、淀川が凍りついたこともあるそうだ。歌川広重は東海道といい江戸市中といい大雪に埋もれた景色をいくつも描いている。あれだって誇張ばかりではなかったのだろう。
▼そんな酷寒に比べれば今どきの冷え込みなんぞ、と言いたいところだが、縦じまの天気図を眺めるだけでブルッとくる。それでも正月の列島がまずまず穏やかなのは、景気回復への期待が募っているからかもしれない。株価は大幅高でスタートした。長い氷期の終わりを夢見てみようか。占いがたき未来ではあるにしても。