2011.06.23 zakzak
通常国会が70日間延長された。菅直人首相は、被災地復興のための「第2次補正予算案」や「特例公債法案」とともに、政権延命の口実に掲げる「再生エネルギー特別措置法案」の成立にも意欲を見せる。その先に見え隠れするのが「脱原発」解散だ。菅首相が、福島第1原発事故への国民不安を背景にして、一か八かの勝負に出てきたらどうなるのか。政治評論家の小林吉弥氏による政党別獲得議席予測では、民主党は、震災・原発事故の大逆風を乗り越え、ギリギリで第1党に踏みとどまるという。
夕刊フジが17日付の最終版で報じた「脱原発」解散。広島、長崎「原爆の日」の8月6日か9日に、菅首相が全世界に向けて「脱原発」をアピールし、小泉純一郎元首相が仕掛けた郵政総選挙のように、1点突破で解散・総選挙になだれ込むという驚愕シナリオだ。
永田町では「菅首相は、政治家としてより、元市民活動家としての戦闘モードに入っている。政権延命のために、自民党や民主党内の『反菅』勢力を敵に回して、電撃解散をしかねない」(自民党閣僚経験者)といった見方が広がっている。
小林氏による議席予測は別表の通り。民主党は現有303議席から「小選挙区142、比例区63の205議席」とみる。98議席減という惨状。最悪の場合、さらにマイナス24の181議席まで下がる。
「世論調査で『原発廃止』と『原発継続』はほぼ半々。菅首相は郵政総選挙の再現を狙っているのだろうが、これだけで圧倒的勝利を得るのは難しい。有権者は『菅首相の延命パフォーマンスだ』と見抜く。政権交代後の『裏切られた』『ダマされた』という思いや、震災・原発事故の対応への怒りもある」
「菅首相も岡田克也幹事長も、選挙手腕はお粗末。前回圧勝した、北海道や東京、埼玉、愛知などで議席を大きく減らす。四国と中国、九州はボロ負けだ。ただ、大災害後の選挙だけに、政権与党が粘り腰を発揮する。また、有権者は『菅首相は長くない』とみており、『ポスト菅』に期待する向きもある」
小林氏の分析では、鳩山由紀夫前首相、海江田万里経産相をはじめ、「小沢チルドレン」や「小沢ガールズ」の青木愛、福田衣里子、三宅雪子、太田和美各議員らが落選の危機。「ペテン師」扱いされた菅首相自身も楽観視できないという。
与党陣営で見ると、民主党と亀井静香代表率いる国民新党、田中康夫代表率いる新党日本、鈴木宗男代表(収監中)率いる新党大地、与党系無所属を合わせて214議席で、過半数に27議席足らない。
一方、谷垣禎一総裁率いる自民党は「小選挙区134、比例区61の195議席」と予測した。78議席増だが、政権奪還は厳しそう。大島理森副総裁は「脱原発」について、「(エネルギー政策は)イエスかノーで議論する選挙にはなじまない」と批判している。
「いま一歩、盛り返せない原因は、党改革が進んでおらず、党の一体感がないこと。自民党としての存在感がない。ふがいない。菅民主党は『危険な原発は自民党政権が推進してきた』と攻撃してくるはず。激戦区で負ける。菅首相や民主党を批判するだけでなく、『政権を奪還して国をこうする』というメッセージを出さないとダメだ」
■みんなの党が大躍進の「27」
「谷垣氏も石原伸晃幹事長も二世議員で苦労していない。政権を奪い取る力強さに欠ける。ゼロから築き上げた田中角栄元首相とはものが違う。世代間戦争を収めて、庶民の気持ちをつかむ党改革ができれば、民主党との逆転もあり得る」
自民党では、森喜朗元首相や町村信孝元外相らが「落選の危機にある」と予測する。
山口那津男代表率いる公明党は「小選挙区5、比例区21の26議席」。「公明党は苦しいときこそ組織が結束する。4月の統一地方選でも善戦した。底力がある」。
太田昭宏前代表や北側一雄前幹事長の政界復帰もありそう。
昨年夏の参院選で台風の目となった渡辺喜美代表率いる「みんなの党」は、「小選挙区7、比例区20の27議席」。江田憲司幹事長はテレビ番組で「脱原発依存。原発を減らしていく」と語った。
「民主、自民両党に失望している有権者の受け皿になる。渡辺氏が親分肌を前面に出し、江田氏が政策面でフォローすると、政党として弾力性が出て、もっと幅広い支持を得られるのでは」と分析する。
この選挙結果で、永田町はどうなるのか。
小林氏は「民主党は第1党として連立工作を開始する。自民党は選挙で激突したため、直後の大連立は無理。野党色を強めるはず。このため、これまでの与党陣営に加え、みんなの党や公明党などとの連立を目指す。衆院過半数は何とか確保できるはず」と分析。
さらに、「公明党が加われば、衆参ねじれも解決できる。菅首相は100議席近く減らした責任は重い。第1党を守ったことを『花道』にして退陣するのでは。再生エネルギー法案は道筋を付けて、次期首相に任せる。彼も引き際は分かっているはず」という。
最後に小林氏は「いまだに原発事故も収束できておらず、正直、行き詰まっている。東北の被災地は、とても選挙ができる状況ではない。津波で選挙人名簿が流された自治体もある。常識的には、こんな状況では解散総選挙など無理」と語るが、その常識が通じないのが菅首相。何が起きるか分からない。
夕刊フジが17日付の最終版で報じた「脱原発」解散。広島、長崎「原爆の日」の8月6日か9日に、菅首相が全世界に向けて「脱原発」をアピールし、小泉純一郎元首相が仕掛けた郵政総選挙のように、1点突破で解散・総選挙になだれ込むという驚愕シナリオだ。
永田町では「菅首相は、政治家としてより、元市民活動家としての戦闘モードに入っている。政権延命のために、自民党や民主党内の『反菅』勢力を敵に回して、電撃解散をしかねない」(自民党閣僚経験者)といった見方が広がっている。
小林氏による議席予測は別表の通り。民主党は現有303議席から「小選挙区142、比例区63の205議席」とみる。98議席減という惨状。最悪の場合、さらにマイナス24の181議席まで下がる。
「世論調査で『原発廃止』と『原発継続』はほぼ半々。菅首相は郵政総選挙の再現を狙っているのだろうが、これだけで圧倒的勝利を得るのは難しい。有権者は『菅首相の延命パフォーマンスだ』と見抜く。政権交代後の『裏切られた』『ダマされた』という思いや、震災・原発事故の対応への怒りもある」
「菅首相も岡田克也幹事長も、選挙手腕はお粗末。前回圧勝した、北海道や東京、埼玉、愛知などで議席を大きく減らす。四国と中国、九州はボロ負けだ。ただ、大災害後の選挙だけに、政権与党が粘り腰を発揮する。また、有権者は『菅首相は長くない』とみており、『ポスト菅』に期待する向きもある」
小林氏の分析では、鳩山由紀夫前首相、海江田万里経産相をはじめ、「小沢チルドレン」や「小沢ガールズ」の青木愛、福田衣里子、三宅雪子、太田和美各議員らが落選の危機。「ペテン師」扱いされた菅首相自身も楽観視できないという。
与党陣営で見ると、民主党と亀井静香代表率いる国民新党、田中康夫代表率いる新党日本、鈴木宗男代表(収監中)率いる新党大地、与党系無所属を合わせて214議席で、過半数に27議席足らない。
一方、谷垣禎一総裁率いる自民党は「小選挙区134、比例区61の195議席」と予測した。78議席増だが、政権奪還は厳しそう。大島理森副総裁は「脱原発」について、「(エネルギー政策は)イエスかノーで議論する選挙にはなじまない」と批判している。
「いま一歩、盛り返せない原因は、党改革が進んでおらず、党の一体感がないこと。自民党としての存在感がない。ふがいない。菅民主党は『危険な原発は自民党政権が推進してきた』と攻撃してくるはず。激戦区で負ける。菅首相や民主党を批判するだけでなく、『政権を奪還して国をこうする』というメッセージを出さないとダメだ」
■みんなの党が大躍進の「27」
「谷垣氏も石原伸晃幹事長も二世議員で苦労していない。政権を奪い取る力強さに欠ける。ゼロから築き上げた田中角栄元首相とはものが違う。世代間戦争を収めて、庶民の気持ちをつかむ党改革ができれば、民主党との逆転もあり得る」
自民党では、森喜朗元首相や町村信孝元外相らが「落選の危機にある」と予測する。
山口那津男代表率いる公明党は「小選挙区5、比例区21の26議席」。「公明党は苦しいときこそ組織が結束する。4月の統一地方選でも善戦した。底力がある」。
太田昭宏前代表や北側一雄前幹事長の政界復帰もありそう。
昨年夏の参院選で台風の目となった渡辺喜美代表率いる「みんなの党」は、「小選挙区7、比例区20の27議席」。江田憲司幹事長はテレビ番組で「脱原発依存。原発を減らしていく」と語った。
「民主、自民両党に失望している有権者の受け皿になる。渡辺氏が親分肌を前面に出し、江田氏が政策面でフォローすると、政党として弾力性が出て、もっと幅広い支持を得られるのでは」と分析する。
この選挙結果で、永田町はどうなるのか。
小林氏は「民主党は第1党として連立工作を開始する。自民党は選挙で激突したため、直後の大連立は無理。野党色を強めるはず。このため、これまでの与党陣営に加え、みんなの党や公明党などとの連立を目指す。衆院過半数は何とか確保できるはず」と分析。
さらに、「公明党が加われば、衆参ねじれも解決できる。菅首相は100議席近く減らした責任は重い。第1党を守ったことを『花道』にして退陣するのでは。再生エネルギー法案は道筋を付けて、次期首相に任せる。彼も引き際は分かっているはず」という。
最後に小林氏は「いまだに原発事故も収束できておらず、正直、行き詰まっている。東北の被災地は、とても選挙ができる状況ではない。津波で選挙人名簿が流された自治体もある。常識的には、こんな状況では解散総選挙など無理」と語るが、その常識が通じないのが菅首相。何が起きるか分からない。