ゆ~たん音楽堂

ドキドキ&ハートフルな音楽と仲間を探して
東奔西走!
音楽ディレクター ゆ~たんの日常。

インターン生 M.Nの日記(その3)

2018年09月25日 04時50分49秒 | Daily Life
9/21(金)

インターンシップも早3日目。
本日は「ONTA」と呼ばれる、学校などで使われる
合唱パート別練習用CDのレコーディング風景を見学させていただいた。

私にも合唱の経験があるので少しだけわかるのだが、
合唱は楽譜に忠実、かつ最大限に言葉を立てて歌わなければならない。
言葉を立てるといっても、全ての単語を同じように発音してしまうと、
かえって聞き取りづらくなってしまう。語感を損なわずに歌うというのは、
とても難しいことである。

本日録音した曲のうち、2曲は谷川俊太郎さんが、
もう1曲は森山直太朗さんが作詞を手がけている。

谷川俊太郎さんの詩は言葉遊びが多い。
そして誰も思いつかないような、
奇想天外の単語が飛び出してきたりする。
だが何より素晴らしいのは、どんな言葉が出てきたとしても
”目の前に情景が思い浮かぶ”という点である。
今回録音したのは「春に」「信じる」の2曲で、
こちらは合唱では定番の楽曲だ。私が合唱部の頃にも練習したことがある。

一方、森山直太朗さんの詩は相反する単語が出てくることが多い。
今回録音した「花の名前」も、春夏秋冬であったり、
”百年前の約束”と”百年前の幻”など対義語に感じられる言葉が出てくる。
そのうえ楽曲自体も「花々の呼び名は知っているけれど、
本当の名前は誰も知らない」という内容なので、
歌詞全体が反対言葉のようになっている。

合唱曲は遊び心のある歌詞が多い(と私は思う)。
だからこそ、楽曲のイメージを保ったまま遊び心を出すのは、
歌詞を相当頭に入れ込んでいないとできない。
そして各パートの流れはそのままに、
複数人と息を合わせなければならないので、
合唱というジャンルに於いてどれほど練習が重要であるかを考えさせられる。

この日レコーディングが行われたのは、
各楽曲のソプラノパートであった。
レコーディングブースの中心には1本の
コンデンサーマイクロフォンが立てられており、
その四方を囲むように譜面台が置かれていた。
てっきり収録は1人ずつ行われるものだとばかり思っていたので、
パートを担当する全員が同時に歌って録音すると知って驚いた。

収録中は1回録音を行う毎に指導がなされていた。ブ
レス位置や言葉の発音を他パートと同じになるよう調整したり、
どの言葉のどの音を膨らませるかなど、
具体的なイメージを確かめてから次のテイクに臨んでいらした。
録音回数は1フレーズにつきおよそ4、5本(スペア含む)。
皆さんの透き通る歌声が、マイクを通ってこちら側にも聞こえてきた。
美声を生で聴くことができて耳が幸せな1日だった。

収録後は、録音に立ち会った全員が集まり音源チェックが行われた。
一音一音の細かなニュアンスの違いまで入念にチェックし、
音源のベースが完成していった。
私もその場にお邪魔させてもらい、
音源がどんどんより良いものに変わっていく瞬間を聞いていたのだが、
ひたすら皆さんの熱量に圧倒され続けた。
そして、やはり合唱は人の心を一つにする素晴らしいものだとも思った。
このとき音源について気になった部分があり、思い切って尋ねてみたところ、
なんと皆さんは私の意見を反映してくださった。
少しでもお役に立てたのだと思うと本当に嬉しかった。
今までの私ならなかなか言い出せなかったと思うが、
今回のインターンシップを通じて、
私の中に確かな変化が訪れているようだ。