bad guy / Billie Eillish Cover by 福原希己江
R.E.M. - The One I Love (Perfect Square '04)
野に咲く花 森山良子(詞・曲 かまやつひろし)
Small Town Girl Tracey Thorn
(ちんちくりんNo,4)
5階建ての自然科学研究練の内階段を急いで駆け上がって行くと、最後には様々な研究室が並び東西にのびたフロアに辿り着く。東を行くと突き当りが非常口だ。
僕はドアノブのロックを外し、非常口を出、地上からジグザグにのびた非常階段を今度はゆっくりと上って行き、屋上へと足を踏み入れた。屋上には周りに落下防止の金網が張ってある以外にはだだっ広いコンクリートの床が広がっているだけで、何があるという訳ではない。ただ正面西側端を見ると数件連なっている平屋のアパートを一軒分切り離したような出来損ないの建物があった。まるでコンクリートが余ったからと”お遊び”で造られたような建物。ふたつの窓は開け放たれ、空を見上げるとぴーかんのカンカン照り、やっぱり間に合わなかったかと僕は独り言ちその建物へ向かった。
「遅い、遅い」
「海人くん、昼飯おごり決定な!」
建物の中に入ると圭太と貢のふたりがほぼ同時に声を上げた。
八畳、畳敷きの殺風景な部屋だが辺り一面B4サイズの白色用紙が散乱している。写真が貼付されていたり、なにやら文字で埋め尽くされているものまである。その用紙の海をドーナツ状に寄せその中心の空間には三人が作業するには十分な細長いテーブルが置いてある。圭太と貢のふたりは左右に向かい合って座っていた。
僕はせまっ苦しい土間に靴を脱ぎ棄て、散乱している用紙を避けながら左右にふたりを見る奥の方に座った。
彼らは僕の応えを待っているようだ。ニタニタしながらこちらをじっと見ている。実は朝十時、一番近い時間にここに着いたものが勝ちというルールを設けている。しかもビリッケツはあとのふたりに昼飯をおごるという厳しさ。僕は寂しい財布の中身を思い起こし、情けをもらうような笑顔をふたりに向けた。
「ラーメンでいい?」
騒がしかった訳ではないのに、一瞬より静かな空気が流れたような気がした。
R.E.M. - The One I Love (Perfect Square '04)
野に咲く花 森山良子(詞・曲 かまやつひろし)
Small Town Girl Tracey Thorn
(ちんちくりんNo,4)
僕たちの根城
5階建ての自然科学研究練の内階段を急いで駆け上がって行くと、最後には様々な研究室が並び東西にのびたフロアに辿り着く。東を行くと突き当りが非常口だ。
僕はドアノブのロックを外し、非常口を出、地上からジグザグにのびた非常階段を今度はゆっくりと上って行き、屋上へと足を踏み入れた。屋上には周りに落下防止の金網が張ってある以外にはだだっ広いコンクリートの床が広がっているだけで、何があるという訳ではない。ただ正面西側端を見ると数件連なっている平屋のアパートを一軒分切り離したような出来損ないの建物があった。まるでコンクリートが余ったからと”お遊び”で造られたような建物。ふたつの窓は開け放たれ、空を見上げるとぴーかんのカンカン照り、やっぱり間に合わなかったかと僕は独り言ちその建物へ向かった。
「遅い、遅い」
「海人くん、昼飯おごり決定な!」
建物の中に入ると圭太と貢のふたりがほぼ同時に声を上げた。
八畳、畳敷きの殺風景な部屋だが辺り一面B4サイズの白色用紙が散乱している。写真が貼付されていたり、なにやら文字で埋め尽くされているものまである。その用紙の海をドーナツ状に寄せその中心の空間には三人が作業するには十分な細長いテーブルが置いてある。圭太と貢のふたりは左右に向かい合って座っていた。
僕はせまっ苦しい土間に靴を脱ぎ棄て、散乱している用紙を避けながら左右にふたりを見る奥の方に座った。
彼らは僕の応えを待っているようだ。ニタニタしながらこちらをじっと見ている。実は朝十時、一番近い時間にここに着いたものが勝ちというルールを設けている。しかもビリッケツはあとのふたりに昼飯をおごるという厳しさ。僕は寂しい財布の中身を思い起こし、情けをもらうような笑顔をふたりに向けた。
「ラーメンでいい?」
騒がしかった訳ではないのに、一瞬より静かな空気が流れたような気がした。