からくの一人遊び

音楽、小説、映画、何でも紹介、あと雑文です。

あの頃~、幻に魅せられて

2016-11-29 | 小説
①-2 

(ねえ、君・・・、君、大丈夫?)

優しい声と、微かに漂う香水の匂いに刺激されて目を覚ました。

声のした隣の方に顔を向けると見知らぬ女性がこちらを覗いていた。

私は真正面からその女性の顔を見ることになり、一拍間が開き、ぎょっとした。

「えっ?なに?なんですか?俺なんかしましたっけ?」

私が訳の分からないことを口走ったことに呆気にとられたのか、彼女は目を丸くし、それから目尻に皺をつくって、笑顔を見せた。

ふふ・・。

彼女の口から笑い声が漏れた。

「大丈夫そうね、お酒に酔ったのかと思った・・・」

彼女はもう一度私の顔を覗き込み、それから私の左隣の席に座りながら、手に持っていたグラスをカウンターに置いた。

私は少しのけ反りながら、彼女を警戒した。

その様子があからさまに見えたのか、彼女は再度目尻に皺を寄せ、微笑んだ。

「大丈夫よ、取って食べたりはしないから。わたし、肉食じゃないし、ね」

「・・・・肉食じゃないって・・・、あの・・・、なんで?」

私の質問になっていない質問に彼女はやはり優しく微笑みを返した。

「あなた寝てたのよ。カウンターを枕にしてね」

「カウンターを枕にして?寝てた?」

「そう、こう腕をだらーんとしてね」

彼女はオラウータンのように両腕をたらし、カウンターに頭をつけ、おそらく先ほどまでの私がそうであっただろう真似をした。

「そんな恰好で?」

「そう、そんな恰好で。・・・・まったくいつ頭が落ちるか気が気でなかったわ」

「そうか、寝てたんだ」

「だから、酔っていて気分でも悪いのかと思ったの」

「・・・いや、俺は高校生だから」

「そうね、そうかなとも思ったんだけどね」

「高校生って分かったの?」

「見れば分かるわよ。見るからにそう」

そう言われて私は自分の服装をゆっくりと見渡した。ジーンズにTシャツ、センスのかけらもありゃしない。

ふふふ。

へへ。

彼女が笑ったので私もそれにつられて笑った。

笑いながらあらためて彼女の全身を見る機会を得た。

彼女は赤のフレアなワンピースドレス。“群れ”を見る限り女性は皆ぴっちりとしたタイトな恰好をしているのだが、彼女のそれはそれでこの場にはそぐわない恰好のように思えた。
けれども、彼女の笑顔はとても素敵だ。薄い化粧に奥二重、笑うと喉を撫でられる猫のような目になる。私は一気に彼女の魅力に取り込まれた。

「ねえ、名前なんていうの?社会人?学生?」

「まあ、生意気な。年下でしょ、そういう時は自分から名乗るものよ」

「ごめん。俺、K。17歳」

「私はエリ。“愛”に“里”で愛里、社会人。・・・・年は、お酒が飲める年齢」

そう言いながら彼女はグラスを持ち上げ残った液体を飲み干した。そして、何事かをたくらんでいるかのように瞳をくるりと回し、にこりとした。

「うーん、少年。気に入った。ねえ、わたし、ここに来たもののなんかね、つまんなかったのよね。・・・・ねえ、ここ、二人で脱出しない?」

「え?」

「私の大好きな場所・・・、紹介してあげる」

突然の展開に私は我が耳を疑った。

そして、そのときになって初めて隣にいたはずのTが消えていたのに気が付いたのだった。
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あの頃~、幻に魅せられて

2016-11-28 | 小説
あの頃~、幻に魅せられて


① 出会い

友人Tにディスコパーティーに誘われた。

当時私はそういう類には疎いロック少年だった。

硬派を気取っていて自分のイメージを壊すことを何よりも恐れていたのだが、

「なあ、行こうぜ、彼女欲しいだろ」

その言葉に惹かれ私は即座に行くことを了承した。

硬派は気取っていたが、その当時の私には彼女がいないことが何よりの悩みだったのだ。

17歳の夏だった。

ディスコパーティーは友人Tのお兄さんが主催していて、仲間内でフロアを借り切って催すのだと言う。場所も普段から私たちが行ってみたいと思っていたところ。

大学生や社会人のお兄さんやお姉さんも大勢参加するのだとは友人Tの弁。

「でも、ディスコって正装だろ?おれ持ってないぜ、そんなの」

「仲間内だから大丈夫。普段どおりのカッコでいいよ」

そうか、そんなもんでいいのか・・・・、私は了解し、着替えと会費の3,000円の用意に家に帰った。

「ねえ、参考書買うのに3,000円いるんだ。」

着替えの終わった私は晩御飯の支度をしている母の前で手を合わせ、無心した。

母は何の疑いも見せずに、エプロンのポッケからがま口を取り出し、そこから3,000円を私にくれた。

参考書とは古典的な手口であったが、普段優等生ぶりっこの私には疑いようのない理由であった。

「あ、それから晩御飯いらないや。T君の家で試験勉強してくるからさ、ハンバーガーでも買って食うわ」

半ば強引な外出理由だったが、母は「早く帰ってくるのよ」と言い、やっぱり何も疑いはしなかった。

何だかまるで疑いもしない母に「チェッ」と思いながら、私は外に出て自転車で友人との集合場所に向かった。

集合場所は国道沿いにあるハンバーガー屋の前。

私が時間どおりに行くと、友人Tは「ここで何か食っていこうぜ」と顎先を向けた。

恰好は友人Tが上下黒のTシャツとジーンズ、私は上が白のTシャツに膝が抜けたジーンズ。

私たちはお互いの恰好を見比べると、「代わり映えがしないよな」と言い合い、店に入って時間を潰した。




ハンバーガ屋で一時間半ほど時間を過ごしたあと、私たちは自転車で中心街に向かった。

銀座のアーケードを潜り、中程まで行くと、「喫茶レノン」があった。

“レノン”は普段私たちが学校帰りによく寄るご用達の喫茶店であった。

高校生になりたての頃、初めてブラックコーヒーを飲んだ店である。

私が外から店の中を覗いていると、「いくぜ」と友人Tが顎で二階へと昇る階段を指した。

「ああ、そうだったな」と私は彼の方に振り返り、二人で階段を昇り始めた。

ディスコパーティーは二階の店、「イエスタデイ」で催される。

「イエスタデイ」は当時の私たちにとって憧れの店でもあった。

所謂ライブハウスと呼ばれるところで、普段は毎週土曜日の夜になるとジャズバンドやらロックバンドの演奏が催される。バンドはアマチュアバンドの演奏場所として提供されていたが時としてプロのミュージシャンも呼ばれたりもする。そして平日にはパーティー会場として提供されたりもする、一風かわった店だ。

しかもライブハウスと呼ばれたところは当時街中にはその1軒しかなかった。

高校に入り、大人の階段を昇り始めていた私と友人Tは「いつかはイエスタデイ」と誓い、淡々とそのチャンスを伺っていた。

それがディスコパーティーとは言え、中に入ることが出来る。

興味深々であった。

私たちは木製のドアの前に立つと、二人で顔を見合わせ唾をごくんと飲み干した。

「開けるぞ」

私はドアの取っ手に手を掛け、恐る恐るドアを開いたのだった。


「すげぇ」

ドアを開けて入るとまるでクリスマスのように天井から赤やら緑やら黄色やらの光が飛び散っていた。

大音量で“アースウィンドファイアー”が流れている。

そして、部屋いっぱいに入りきれないような人人人・・・・。

みな黒服やタイトなドレス(?)に身を包み、音楽に合わせ身体をくねらしている。

パーティー会場の入り口に立った私たちは、瞬時に私たちが場違いな場所に来たことを察して、そこから動けなくなった。

「なあ、これ」

「うん」

「俺たち、田舎丸出し、だな」

「場所も場所だから、そんなにかしこまってはやらないって聞いていたんだけど・・・・」

友人Tはキョロキョロしだし、誰かを探し始めた。

「誰?」

「兄貴。確か主催者だからカウンターの内側にいるって言ってた」

「うん、参加費も払わなきゃな」

カウンターは入口から奥の方に離れた場所に見えた。

私たちはやっとのことで動き出し、そろそろとカウンターに近づいた。

「兄貴・・・」

Tが声をかけると、何やら大人の女の人とカウンター越しに話をしていた男がこちらを振り向いた。

「ああ、T・・・。今来たのか」

「今来たのかじゃないよ。話、違うじゃん」

「話って?なに?どこが?」

「みんな正装だし、これじゃ俺たちピエロだよ」

「ああ、そのことか。・・・・最初は軽い気持ちだったんだけどな、人集めたらこうなっちまった。みんな金持ってんのな。こんなしけた場所でやるってのにな、俺も驚いている」

そう言っているTの兄貴の服装も黒服である。

私がじっと見ているとその視線に気が付いたのか、Tに「誰?」と囁いた。

「Kです」

私が答えると、Tの兄貴は「ああ、あの・・」と呟き、私に握手を求めてきた。

私は差し出された手に戸惑いながらも、ジーパンの腰に手のひらをひとこすりして握手した。

「お詫びに会費はただでいいよ。飲み物は何でも頼みな。酒はダメだ。食い物はあそこの脇に並べてあるテーブルの上にある。適当につまみな。・・・ああ、それから「ただ」っていうのは内緒。なにしろあいつら一万円も払ってきてるんだから・・・」

Tの兄貴は踊りまくる黒服の群れに目をやると、「ふん」と呟いた。

「お前らとりあえずコーラでも飲んでここに座ってな。気が向いたらあいつらの仲間になって踊ってもいいし、ここで女の子に声かけられるのを待っていてもいい。確か高校生もなんぼかいるようだから、よろしくやればいい」

「高校生?」

「そう、高校生。日本の高校生も女の子のほうがすすんでるんだな」

私は少し複雑な気分になった。あそこで踊っている群れの中に高校生の女の子がいる?見る限りはみな自分より大人だ。女性はみなタイトで胸の目立つドレス(?)。高校生があんな胸の空いたドレスなんて・・・・。

それから私たちはTの兄貴にコーラの瓶を二本差し出され、それをラッパ飲みしながら“群れ”を見つめ続けた。

Tの兄貴はまた女の前に戻った。

Tは耐えきれなくなったのか、キョロキョロしてまたなにやら探していた。

私はなんだか眠くなって、大音量の中、あろうことかカウンターを前にして船を漕ぎだしてしまった。

・・・・・ああ眠い。

私は意識を失った。
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GSメドレー - BAHO ( Char 石田長生 )

2016-11-27 | 音楽
GSメドレー - BAHO ( Char 石田長生 )


charがGS?

ちょっとびっくり。。。。。

この人はGSなんて興味もなさそうだと思っていたので・・・。

聴いてみると「ほぉ・・」なかなか。。。。

懐かしい歌を愛情込めて歌っている。

ギタープレイは秀逸。

いいですねえ。

懐かしいです。

年金もらってないけどね( ´∀` )
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ヒグチアイ / 備忘録

2016-11-26 | 音楽
ヒグチアイ / 備忘録


ギターみたいなピアノ弾く娘だな、と思った。

身体が切り刻まれるような音、それに詞。

若い人の音楽は最近あまり聴いていないけど、これは良い。

50を超えたおっさんにも思いは伝わりました。

楽しみなシンガーです。

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PSY・S(Chaka)&バービーボーイズ(いまみち) and  BAHO ( Char & 石田長生)

2016-11-25 | 音楽
PSY・S(Chaka)&バービーボーイズ(いまみち) and  BAHO ( Char & 石田長生)


90年代前後に活躍したサイズとバービーボーイズのいまみちともたかとのコラボ。

後半はチャーと石田長生との共演。

いいですねえ。
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