京都のいぬぅ

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よみがえる遺物 遺伝子の中の化石 (1)

2006年03月09日 01時50分34秒 | 科学
私たちの遺伝子を収めた棚には、
はるか昔に進化が進む中で使われなくなり死んでいったたくさんの遺伝子の化石があり、
これは、一見本物の遺伝子のように見えるが、明白な機能をもたないため偽遺伝子と呼ばれています。

ゲノムは遺伝情報を格納する倉庫というよりも、
生物を生存させるために絶えず働く動的なシステムであり、
偽遺伝子は使われなくなった作業を記したルーチンプログラムの痕跡にあたります。

(タンパク質をつくる本物の遺伝子が2万1000個あるのに対し
偽遺伝子は現在1万9000個見つかっています。)

偽遺伝子の大部分は機能する遺伝子の同じ配列(コピー)が一部壊れたため、
機能できなくなった遺伝子の化石であり、
これらを調べることで、古生物の化石と同様に、遺伝子の進化やゲノムのダイナミックな変化についての手がかりを得ることができます。

最近になり、この死んだと思われていた偽遺伝子の中には、
それらからRNAがつくられ(タンパク質はできない)、それがオリジナルの遺伝子を調節しているものがあることがわかりました。
(全偽遺伝子のうち少なくとも1割が転写活性をもちRNAをつくっています)

(例えば、一酸化窒素合成酵素(NOS)の偽遺伝子のRNAは、機能するNOS遺伝子のRNAがタンパク質へと翻訳されるのを抑制し、
Makorin1の偽遺伝子であるMakorin1-1pを壊すと、マウスの成長が悪くなるのが報告されており、このような偽遺伝子は進化の中でよく保存されています。)



今回は偽遺伝子の機能について説明しましたが、
次回は偽遺伝子を調べるとどういうことが分かるかについて述べます。

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