京都のいぬぅ

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よみがえる遺物 遺伝子の中の化石 (2)

2006年03月11日 22時56分42秒 | 科学
偽遺伝子は、進化の過程で機能遺伝子に変異が入ることで本来の機能を失い、(その大半は)使われなくなったものであり、
化石といってもいいくらいです。
これらを調べることで、
古生物の化石と同様に、遺伝子の進化やゲノムのダイナミックな変化についての手がかりを得ることができます。

つまり、偽遺伝子は生物種の違いを反映しているのです。
例えば、匂いを感知する嗅覚受容体(OR)をつくる遺伝子は1000種類以上あり、
ヒトのOR偽遺伝子500個のうちの300個の遺伝子について、マウスでは機能を保っており、
人が視覚を進化させ、嗅覚を退化させる中で偽遺伝子がふえていったことがうかがえます。
(マウスと同じく2色型の色覚である新世界ザルや原猿類では、OR遺伝子が偽遺伝子となっている割合はマウスと変わらない。)


また、偽遺伝子は、個性の違いもつくりだしている可能性があります。
偽遺伝子となっているOR遺伝子が、一部の人々では遺伝子としてちゃんと働いている例が見つかっており、
それが個人個人の匂いの感じ方の違いにつながっているかもしれません。

偽遺伝子は進化の過程でつくられる遺伝子のゆらぎであり、
遺伝子が死んで機能をもたない偽遺伝子になることで
退化という進化がおこり、
また逆に、一度死んだ偽遺伝子が(塩基の置換などにより)欠陥が直ることで
機能を回復したり(ウシのリボヌクレアーゼ酵素をつくる遺伝子は、機能を回復したと言われています)、新たな機能を獲得したりして、
進化をうながすこともあるのです。
この生きた化石の発見により、生物学は次の扉を開いたといえます。



参考
日経サイエンス

偽遺伝子はガラクタではなかった
http://www.appliedbiosystems.co.jp/website/jp/biobeat/contents.jsp?BIOCONTENTSCD=82781&TYPE=B

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