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夏目漱石2「こころ」「門」「それから」友人との女の取り合い

2016-06-23 13:21:06 | 夏目漱石
先の投稿の写真、今回の写真もですが、
左腕に喪章が巻かれています



この喪章は何なのだろう、と気にかかっていて検索したら
漱石が敬愛する明治天皇崩御の大葬の礼の日に
喪章をつけて写真館に行って撮ったものだそうです

「こころ」の先生は、自殺しました
乃木将軍は、明治天皇崩御に際し、殉死という形を取って
奥さんと共に自殺、自害をされましたが、
その殉死に倣い、先生は「明治の精神」に殉ずる形で
自殺する、というようなことを言っていました
漱石は乃木将軍をも敬愛していたそうです
「漱石と明治の関係」などの事は、
私には全くわからないことなのですが
私にわかった事を書きたいと思います

漱石の三部作と言われるのは
「三四郎」「それから」「門」ですが
私は最初に「こころ」を読み(朗読ですから“聴き”ですが)
次に「門」を読み、、その後で三部作の何か、を思い出し
「三四郎」を読み(聴き)、「それから」を読んだ
という順になったのですが、不思議に思った事は、
「こころ」「門」「それから」
これら三冊の小説に共通するテーマが「友人の女を取った」
というような話なので、何なんだ?という思いがしました
いくら何でも、何度もその話が主題で
ストーリーとしては、そのことに対する罪悪感が
主要テーマに思われるのです

「三四郎」の方は、それ以前の
「何も言わないでいたら、他の男と結婚してしまった」です

以下は身も蓋もない表現ですが

1,「三四郎」 ボヤボヤしていたら女が他の男と結婚してしまった

2,「それから」 自分が好きだった女なのに、友人が好きだと言ったので間を取り持って結婚させてしまったが、その後友人が女を大事にしていないので、「くれ」と言って貰うことにする。その事によって親兄弟からも絶縁され窮地に陥る

3,「門」 友人の妻を取って一緒になったのだが「バチがあたって」(?)子供が出来ず、世の中から外れ(?)夫婦二人でひっそりと暮らしているが、裏切った友人の影に怯えている

4,「こころ」 友人と同じ女を好きになるが、打ち明けられた友人を出し抜いて女を手に入れようとして、友人は自殺、自分も後に自殺してしまう
     -------------------

私が不思議に思ったのは、何故漱石がこれほど執拗に
何度も何度も「友人との女の取り合い」による、
「罪悪感」人間の「エゴ」の問題についてをテーマにして
書き続けたのかという事なのです

調べた結果、漱石の人生における同じような出来事
それが書かれていました
漱石は好きな人がいた(大塚楠緒子
が、友人(吾輩は猫である、の迷亭のモデルと言われる)がその人と結婚した
漱石は、失恋をしたのではないか、とも言われている
その辺りの関係は中々よくわからないらしいが
漱石はダメージを受け、ずっとその女の人を好きであった
その女の人は才色兼備の美人だった

そんな話が書かれていたのです
つまり、これらの小説はその問題を悶々と抱え続けた
漱石の煩悶だったのではないか
それを、漱石は自分の中で反芻するように、
生涯思い続けて悩み続けていた、のではないかと

「もしも、友人に譲っていたら、、、
もしも出し抜いて自分が結婚したら、、、
もしも、こうしたら、ああしたら、こうだったら、
どうなっていたのだろうか?」
と・・

ボヤボヤしていれば、人に先を越される(三四郎)
友人を出し抜いて結婚すれば、相手が傷つく(こころ)
自分が譲れば、後悔する(それから)
奪っても、その後の罪悪感に苦しむ(門、こころ)
何が最善の方法だったのか
そして、結局、人間の本質はエゴイストなのだ・・・
それが、先日引用した漱石の「こころ」に書かれた文章

「自己の心を捕らえと欲する人々に、人間の心を捕らえ得たるこの作物を奨(すす)む」

なのではないでしょうか
思わず溜息が出ました (続く)
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