THE READING JOURNAL

読書日誌と雑文

『バーのある人生』

2006-02-26 | Weblog
「バーのある人生」
 枝川 公一著 中央公論新社(中公新書1835) 2006年 720円+税

1.バーへの心の準備

あまり、お酒というものを飲まなかったし、仕事上も飲む付合いが多いわけでない。さらに、この辺は田舎で車がないと移動できない所だから、バーといっても5回と入った事は無いと思う。

でも、最近、お山のうちでは、お酒を飲むようになり、カクテルも作る。
なので、・・・・この本を買ってみた。

この本の著者は、長い間雑誌の連載で「バーエッセイ」を書いていた。お客の側からのバーの案内書である。

今日のところは、バーとはどういう所か?にはじまり、日本ににおけるバーの歴史、2つあるバーの系列(ホテルと街場)の違い、バーの名前などをイロイロな逸話を交えて解説してある。

バーとは、どんな場所であるか、あるバー店主は設計者に、言った。

「バーちゅうもんは、板場一枚ここにあって、その向うに酒の瓶を並べる棚があって、棚と板場の間に人格があれば、それでいい。他にはなにもいらん」

そういうものであるらしい。また、バーでは、お酒でなく時間を売っているそうだ。

バーテンダーはお酒をつくったり、選んだりして、客に提供してくれる。客は、帰るときに当然、代金を支払う。
「ただし、私のほうにはお酒を売っているという感覚はないです。ここにいる時間を楽しんでほしい。もっともっと楽しんでもらうのが、私の役目です。その結 果、初めて『おいしかった』と言われるわけだし、お金をいただける。私が売っているのは、したがって時間ということになります。」
と、あるバーテンダーは言っている。

バーの歴史が横浜の開港から書かれているのだが、ここで興味深いのが、バーが日常化するのは比較的最近の事という事実。

実際にバーが人々の日常に受け入れられるのは、昭和が終って平成に入ってからである。

バブルがはじけ人々が仕事から距離をおくようになり、その代りに心やすまる生活を目指すようになった。
その頃、社用族と接待に支えられたクラブの閉鎖が相次ぎ、その空きスペースにバーが入っていった。
資金調達でも、ただの「水商売」としか見ていなかった銀行からの融資も受けやすくなった。

個人でまかなえる程度の料金で楽しめる本格派のバーが、やっと市民権を得るようになった。

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【購入図書】06

「バーのある人生」
 枝川 公一著 中央公論新社(中公新書1835) 2006年 720円+税



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