発生主義で帳簿を作成する場合、次のような発生主義ならではの処理が必要で、それに応じた帳簿や記帳が必要となります。
◆売掛金に買掛金
売掛金とは売上代金の未回収部分のことです。発生主義においては、入金を待たずして売上を計上しますので、売掛金という勘定科目が生じ、これを管理する売掛帳を作成しなければなりません。
買掛金とは仕入代金の未払分のことです。発生主義においては、支払いを待たずして仕入を計上しますので、買掛金という勘定科目が生じ、これを管理する買掛帳を作成しなければなりません。
◆前払費用に未払費用
前払費用とは、家賃、保険料などサービスに関する料金を前払し、そのうちサービスの提供を受けていない部分をいいます。この前払費用に相当する金額は、すでに支払いをした記録とは別に、費用の一定額を減額する処理をしなければなりません。
未払費用とは、期間の経過に応じて発生する、借入金の利息、水道料金、電気料金、ガス料金、給料などで、すでに一定の期間が経過しているけれども支払期日が到来していないので支払いを済ませていない部分をいいます。未払費用は、支払いが済んでいないのですから帳簿には表われていません。そこで、未払費用が生じているならばこの処理をしなければならないのです。
◆在庫
納品された商品は仕入という費用勘定に計上されますが、その金額は販売された分と未販売の分に区分しなければなりません。販売された部分のみが売上原価として費用処理され、未販売の部分は在庫として繰り越さなければなりません。
◆減価償却
建物や車両などの固定資産は、長期間にわたって使用するので、減価償却という計算手続で複数の事業年度に配分して費用とします。
★発生主義会計の長所
発生主義の発生という概念は大変抽象的です。しかし、次のケースを考えてみると発生主義には合理性があることを理解できると思います。
●自動車販売会社のA社は、本事業年度に100億円の契約を獲得し全て納品もしたけれども、代金の一部である20億円の回収は顧客(支払能力は十分)との約束で翌事業年度となる。なお、この事業年度中の自動車の仕入代金合計は85億円で全額支払い済である。
現金主義(入出金で収益と費用を計上するという方法)で計算すれば次のようになります。
収入(100億円-20億円)-支出85億円=マイナス5億円
発生主義で考えれば次のようになります。
収益100億円-費用85億円=利益15億円
●同じく自動車販売会社のB社は、本事業年度に80億円の契約を獲得し全て納品し代金も回収した。この事業年度中の自動車の仕入代金合計は85億円であるけれども、うち15億円は支払っていない(無理をお願いして支払いを待ってもらっている)。
現金主義(入出金で収益と費用を計上するという方法)で計算すれば次のようになります。
収入80億円-支出(85億円-15億円)=10億円
発生主義で考えれば次のようになります。
収益80億円-費用85億円=利益マイナス5億円
どちらがよい会社かは一目瞭然です。B社は支払いを延ばして窮地をしのいでいるにすぎません。
発生主義はごく自然な考えなのです。発生主義は経済の発展に伴って徐々に形成され、この先も変化していきます。会計数値には様々な利害が関係してきます(会社、経営者、株主、債権者、投資家など)。会計のルールは、利害関係を調整しながら発展していくものなのです。初めて会計を学ぶ人が理解に苦しむことや、専門家でも簡潔明瞭に説明できないのは当然のことです。
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◆売掛金に買掛金
売掛金とは売上代金の未回収部分のことです。発生主義においては、入金を待たずして売上を計上しますので、売掛金という勘定科目が生じ、これを管理する売掛帳を作成しなければなりません。
買掛金とは仕入代金の未払分のことです。発生主義においては、支払いを待たずして仕入を計上しますので、買掛金という勘定科目が生じ、これを管理する買掛帳を作成しなければなりません。
◆前払費用に未払費用
前払費用とは、家賃、保険料などサービスに関する料金を前払し、そのうちサービスの提供を受けていない部分をいいます。この前払費用に相当する金額は、すでに支払いをした記録とは別に、費用の一定額を減額する処理をしなければなりません。
未払費用とは、期間の経過に応じて発生する、借入金の利息、水道料金、電気料金、ガス料金、給料などで、すでに一定の期間が経過しているけれども支払期日が到来していないので支払いを済ませていない部分をいいます。未払費用は、支払いが済んでいないのですから帳簿には表われていません。そこで、未払費用が生じているならばこの処理をしなければならないのです。
◆在庫
納品された商品は仕入という費用勘定に計上されますが、その金額は販売された分と未販売の分に区分しなければなりません。販売された部分のみが売上原価として費用処理され、未販売の部分は在庫として繰り越さなければなりません。
◆減価償却
建物や車両などの固定資産は、長期間にわたって使用するので、減価償却という計算手続で複数の事業年度に配分して費用とします。
★発生主義会計の長所
発生主義の発生という概念は大変抽象的です。しかし、次のケースを考えてみると発生主義には合理性があることを理解できると思います。
●自動車販売会社のA社は、本事業年度に100億円の契約を獲得し全て納品もしたけれども、代金の一部である20億円の回収は顧客(支払能力は十分)との約束で翌事業年度となる。なお、この事業年度中の自動車の仕入代金合計は85億円で全額支払い済である。
現金主義(入出金で収益と費用を計上するという方法)で計算すれば次のようになります。
収入(100億円-20億円)-支出85億円=マイナス5億円
発生主義で考えれば次のようになります。
収益100億円-費用85億円=利益15億円
●同じく自動車販売会社のB社は、本事業年度に80億円の契約を獲得し全て納品し代金も回収した。この事業年度中の自動車の仕入代金合計は85億円であるけれども、うち15億円は支払っていない(無理をお願いして支払いを待ってもらっている)。
現金主義(入出金で収益と費用を計上するという方法)で計算すれば次のようになります。
収入80億円-支出(85億円-15億円)=10億円
発生主義で考えれば次のようになります。
収益80億円-費用85億円=利益マイナス5億円
どちらがよい会社かは一目瞭然です。B社は支払いを延ばして窮地をしのいでいるにすぎません。
発生主義はごく自然な考えなのです。発生主義は経済の発展に伴って徐々に形成され、この先も変化していきます。会計数値には様々な利害が関係してきます(会社、経営者、株主、債権者、投資家など)。会計のルールは、利害関係を調整しながら発展していくものなのです。初めて会計を学ぶ人が理解に苦しむことや、専門家でも簡潔明瞭に説明できないのは当然のことです。
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