【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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サービス業の損益計算書には売上原価がない?

2010-07-14 17:00:00 | 勘定科目と仕訳

簿記の教科書で売上原価という場合、販売する商品の原価のことをいいます。また、簿記の教科書は売上原価のある業種(小売業と卸売業)を前提としていることが普通です。

俗にいうサービス業では商品(物)は仕入れず、接客、労務、技術や情報の提供などで収入を得ていますので売上原価はないということになります。

しかし、次のような場合、売上原価として処理すべきかについて迷います。

■ほんの少しだけ物品販売もしている

例えば、コンサルタント業で教材を販売している場合には、教材の仕入代金(紙、印刷、製本代金など)は売上原価として処理しなければなりません。この場合、売上に対する売上原価の比率は著しく低くなってしまいます(売上から売上原価を差し引いた売上総利益の売上に対する比率は高くなります)。

■金融機関などに提出を求められる所定の書類に売上原価を記入する欄がある

提出書類はあらゆる業種を想定していますので売上原価という勘定科目が必要不可欠となります。純粋のサービス業(物品販売は一切していない)ならば空白でかまいません。

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★売上原価とは売上に対する直接的なコストである?

会計理論上はこのように考えなければなりません。

物品販売業の場合、売上原価は仕入代金だけでなく、仕入に要した運賃、商品の保管料も売上原価です。

物の仕入のないサービス業においても売上に対する直接的なコストはあります。例えば、コンサルタント業がセミナーを開催する場合、講師へ支払う講演料、会場使用料、教材費が直接的なコストとして売上原価となります。

★中小零細企業なら「サービス業の損益計算書には売上原価がない」で問題はありません

「直接的なコスト」を追求していたらきりがありません。

費用のすべてを、販売費及び一般管理費よりも「下部で」処理しても問題はありません。決算書を見る人も事業内容から察しがつきます。