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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

税務調査と預金通帳(出入りの内容が通帳に表示されない取引に注意)

2018-05-31 12:35:00 | 税務調査
預金通帳は偽造や改ざんができません。廃棄や紛失をしても再発行が可能です。ですから、税務調査において預金の出入りや残高は「揺るがない事実」となるのです。揺るがない事実であるがゆえに、「知りません・・・」とはいわせてもらえません。預金の個々の出入りに関しては、確実に説明ができるようにしておかなければなりません。

◆預金通帳に出入りの内容が表示される場合

金融機関によって表示の方法は異なりますが、出入りの「分類」、例えば振込、送金、電話、保険料などと「相手先」が表示されます。

この表示から取引が判明する場合には、その事実に応じた処理をしなければなりません。例えば、得意先からの入金であるならば、「売上」あるいは「売掛金」とするしかありません。

◆内容が表示されない入金

窓口やATMで預け入れをした場合には、どのようなことで預け入れたかが表示されません。集金してきた売上代金なのか、手許現金の預け入れなのか、全く見当がつきません。そこで、その内容を帳簿(出納帳や総勘定元帳)で明らかにしておく必要があるのです。「A社(得意先)からの売上代金」、「手許現金の預け入れ」といった具合です。

◆内容が表示されない出金

窓口やATMで引き出した場合も、どのような内容の引き出しであったかが通帳には表示されません。

引き出しについては、いくつかの目的で引き出していることもあるので、帳簿(出納帳や総勘定元帳)への記載は詳細で正確にしなければなりません。「給料・・・円、仕入代金・・・円、手許現金の補充・・・円」といった具合です。

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通帳に記録が残ってしまったならば、「何らかの処理」をするしかありません。そこで、出入りの内容がはっきりしないまま、「苦し紛れ」に次のような処理をする場合があります。

★仮受金と仮払金の多発(問題の先送り)
仮の入金と仮の出金です。「仮」とは「原因は調査中」ということです。

★とりあえず売掛金と買掛金(推定による処理)
この入金は「売掛金だろう」、この出金は「買掛金だろう」という推定です。

★社長借入金と社長貸付金
仮受金と仮払金よりは「マシ」なので、この勘定科目を多発することがあります。

○不透明な入金は収益の計上漏れ

○不透明な出金は誰かに対する所得(受け取った者に所得税を課税する)

調査官はこのように考えます。これが調査の鉄則です。

★★★会計事務所に「丸投げ」をしている場合は注意が必要です!

「預金通帳と領収書(抜けがあり、しかも私生活のものも混入している)を会計事務所に渡して、帳簿の作成から決算までを依頼する」、いわゆる「丸投げ」をしている場合には、上記のような不透明な入出金が多数生じることがあります。

初めての税務調査で思いもよらないことが判明し、結果として多額の追徴をされ、愕然とする人もいます。ご注意ください!

運悪く不本意な結果になったとしても、めげずに、腐らずに頑張ってください。初めての税務調査での屈辱をバネに、以後は正確な帳簿を作成するようになった人もたくさんいます。

なお、依頼していた会計事務所が丸投げを「推奨」していたのであれば、会計事務所を変更してください。

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