【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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【個人事業者の税務調査】売上に対する経費の割合(調査対象選定の目安)

2019-05-05 18:00:00 | 税務調査
「売上に対する経費の割合は定められている」
「その割合はどうすれば知ることができるのか」

このように考えている人が少なからずいます。そして、「限度いっぱいの経費」を計上すべく、せっせと領収書を集めるのです。

これはとんでもない間違いです。

事業に必要な支出であれば金額の多寡とは無関係に必要経費として認められます。例えば、あまり成果を生まなかった広告費用、見栄を張って一等地に借りた事務所の家賃も必要経費です。もっとも、必要経費が多すぎると事業主の生活が困窮し、最悪の場合は廃業しなければなりません。

一方、事業と無関係な支出はどんなに少額であっても必要経費ではありません。

★税務調査の選定基準

しかし、税務調査の対象を選定するにあたっては、必要経費の多寡を目安としているのは事実です。当然のことです。同業者の中で必要経費の総額が大きいとか、他では計上されていないような項目(勘定科目)の必要経費があれば税務調査の対象に選定される可能性が高くなります。

★税務署に疑われるケース

たとえば、次のような項目(勘定科目)があれば税務署に疑われ、税務調査の対象に選定される可能性が高くなります。

〇考えられないほど多額
飲食代、交通費などにこの傾向があります。

〇事業内容からして生じるはずがない
従業員もいないのに、給料や福利厚生費が計上されているのはおかしいです。

〇内容がわかりにくい
消耗品費、手数料、雑費などです。

これらは「私生活の出費」「架空の計上」であることが経験則からして一般的なので、税務署は徹底的に調べます。

★領収書の有無とは無関係に税務署に疑われない範囲内で必要経費を計上する

それも一法(?)かもしれません。しかし、税務調査の対象は様々な角度から選定されます。例えば、売上に対する経費の割合に異常性はなくても、売上を除外している疑いがある場合には税務調査の対象に選定されます。また、税務調査は過少申告の疑いという観点ではなく、「一定の期間」とか「同業者の一定割合」で調査対象を選定することもあります。

この方法は効率的(?)かもしれませんが絶対にやめたほうがいいです。税務調査が行われた場合、この方法では領収書がない分については必要経費として認められません。また、青色申告で申告している場合には青色申告を取り消され、その特典が失われます。

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調査官目線でつかむ セーフ?アウト?税務調査
飯田 真弓
清文社