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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

税務調査と領収書(スムーズに提示できるように保存しておく)

2018-05-31 12:30:00 | 税務調査
税務調査では必ず領収書を調べられます。税務調査の対象期間が3年とすれば領収書の分量も相当なものになります。調査官は全ての領収書を確認するのではなく、ピックアップした支出に関する領収書の提示を求めます。その領収書がスムーズに提示できるかが調査の進行状況を大きく左右します。

◆帳簿から特定の支出をピックアップ(領収書は日付順に保存しておく)

調査官は帳簿から特定の支出をピックアップして、その支出についての領収書の提示を求めます。領収書によって、支出の事実(相手先、金額、内容など)を確認するのです。帳簿には日付が記載されていますので、領収書を帳簿の日付順に保存しておけばスムーズに探すことができます。

◆領収書と請求書(相互に関連付けて保存しておく)

領収書と請求書はセットになっていますので、請求書と領収書がある支出については、両者を関連付けて(相互にたどれるように)保存しておく必要があります。

請求書には請求内容と金額が記載されており、領収書は受領金額を記載しています。このように領収書では代金受領の事実しか確認できませんので、支出の内容を確認するためには請求書が必要となります(領収書のみで支出の内容を確認することができる場合もあります)。

◆銀行振込と領収書

銀行振込の場合には金融機関が発行する「振込金受領書」が領収書の代わりになります。いわゆる「総合振込」の場合には、複数の振込先の受領書がまとめて発行されます。金融機関の窓口やATMで振込む場合には受領書が発行されますが、ネットで振込む場合には発行されませんので「振込完了画面」を印刷しておかなければなりません。

◆クレジットカードと領収書

クレジットカードで支払いをした場合には、その場で「店の領収書」と「クレジットカードの利用控」が、クレジットカードの決済日が近づくと「クレジットカードの利用明細(期間中に利用した記録)」が発行されます。いずれも、出金額や出金日を明らかにするために必要ですので保存しておかなければなりません。

◆領収書が発行されない支出

次のような場合には領収書の発行が行われませんので、領収書に代わるものを入手あるいは作成し保存しておかなければなりません。

〇交通機関の運賃
利用者と交通経路を記載した記録(現金出納帳、旅費明細、出金伝票など)を残しておきます。ただし、電子マネーで支払った場合には利用明細などを残すことができます。

〇販売機での購入(ジュースなど)
いつ、どこで、誰がという記録(現金出納帳、出金伝票など)を残しておきます。ただし、電子マネーで支払った場合には利用明細などを残すことができます。

〇香典や祝金
案内状やお礼状を残しておきます。

〇預金口座振替で領収書の発行が省略されているもの(保険料、リース料など)
通帳は当然として、毎月の振替金額を取り決めたときの契約書を残しておきます。

◆領収書の入手を忘れた、紛失した場合

至急発行してもらってください。相手先が拒む場合があります。そのときは帳簿に出金内容を明瞭に記載し、領収書に代わる書類(請求書、納品書、注文書など)を残しておくしかありません。

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★領収書があれば経費になる?

領収書が税務調査において重要なものであることは確かです。しかし、領収書は、闇雲に集めて、無造作に保存しておけばよいというものではないのです。大切なことは、「出金の事実や内容を証明するものは何か?」ということです。また、出金の事実や内容が明らかでも、「出金の目的」が説明できなければどうにもなりません。

「領収書があれば経費になる」という考えは大変危険です。

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