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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

会計ソフトの繰越処理(弥生会計の場合)

2011-03-29 17:00:00 | 勘定科目と仕訳
会計ソフトの繰越(くりこし)処理とは、会計年度(事業年度)が替わったことに伴い会計ソフトのデータも「刷新」することをいいます。

繰越処理の具体的な内容は次のとおりです。

■新年度の入力領域を確保する

会計ソフトにもよりますが、弥生会計10の場合には1ファイルで3会計年度までしか処理できません(以前のバージョンでは1ファイルで1会計年度でした)。繰越処理により新年度の入力領域が確保されるとともに、一番古い年度の領域は別ファイルに分離されます。当然ですが、繰越処理の直後は新年度の入力領域には一切の仕訳が入力されていません。

■新年度と前年度の数値を連動させる

「簿記会計的」にはこれが非常に大切です。企業活動は「会計年度を超えて継続」しますので、連続する会計年度の間で同一でなければならない数値があります。新年度の初めの現金、預金、売掛金、固定資産の簿価(取得価額-減価償却累計額)、買掛金、借入金などは前年度末と等しくなければなりません。繰越処理ではこの連動を確保してくれます。会計年度が替わったからといって現在と過去とのつながりが絶たれるという訳ではありません。同一の企業であることに変わりはないのです。

■勘定科目などの設定を引き継ぐ

会社名、会計年度の期間は当然として、勘定科目名やその配列は会計年度が替わってもそのまま使えます。繰越処理をすればこれらはそのまま引き継がれます。

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★「年度切り替え」と「次年度更新」

弥生会計独自の用語です。

「年度切り替え」は、弥生会計の1データファイルに格納されている3会計年度を切り替えるために使います。例えば、1データファイルに「第1期」「第2期」「第3期」があるとして、「第3期」から「第1期」あるいは「第2期」に切り替えることができます。

「次年度更新」は、すでに繰越処理した年度のデータに変更を加えた場合、その変更を翌年度に反映するために行う処理です。例えば、前年度末時点で売掛金の計上漏れがありそれを前年度で追加計上した場合、新年度初めの売掛金残高も増額しなければなりません。そのためには、前年度に仕訳を入力するだけでなく次年度更新をしなければならないのです。

★新年度と前年度の作業を同時に並行して行う

会計年度が終わってからその決算と申告が完了するまでの期間、このようなことをしなければなりません。例えば、3月決算(会計期間が4月1日から翌年3月31日まで)の会社が新年度に突入した4月になって、新年度である4月の入出金の仕訳を弥生会計に入力しつつ、前年度の決算仕訳(在庫、減価償却など)も入力しなければならない場合があります(こうしないと新年度の処理が遅れる=前年度の決算と申告が完了するまで新年度の処理ができない)。

「年度切り替え」と「次年度更新」はこのような「過渡期にのみ」使う機能であって、「新年度になってからも無制限に前年度のデータを変更してもよい」という訳ではありません。前年度のデータが確定したならばこの機能は使用禁止とすべきですが弥生会計ではそのようになっていません。ただし、うっかり前年度のデータを変更してしまっても次年度更新をしない限りは新年度のデータは変更されません。また、前年度で「入力制限」しておけば間違って変更してしまうことがありません。