【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

税務調査と売掛金(計上額の推移、値引きと貸倒れ)

2018-06-13 10:00:00 | 税務調査
売掛金は税務調査では必ずといってよいほど調べられます。

「入金がないのに売上に含めて(利益を増やして)税金を払わなければならない」
「入金がないのだから(売上に含めなくても)税務署も気づかないだろう」

このような納税者の「心情」や「心理」を税務署は熟知しています。だから、売掛金を重点的に調査するのです。

◆売掛金計上額の推移

税務署は売掛金計上額の推移を見ています。第11期末100万円、第12期末105万円、第13期末30万円で、各期の売上がいずれも2000万円だったとすれば、第13期末の売掛金が少なすぎる(売上を過少に計上している)のでは?」と考えます。

税務署が売掛金(売上)の計上漏れを発見する第一の手法は、請求書控と売掛金計上記録(総勘定元帳や売掛帳など)との照合作業です。調査対象の事業年度中の日付で請求書が発行されているのに、「どうして売掛金として計上されていないのですか?」と迫ってきます。

仕入(売上原価)との関係も調べられます。年度中にAという商品を仕入れ(仕入計上記録あり)、Bという得意先に納品しているのにBに対しての売掛金が計上されていないのはおかしいです。

調査対象年度の翌年度の預金通帳も調べられます。特に、年度終了月の翌月の通帳です。翌月中旬頃までの入金は、通常は前年度の売掛金(前年度に販売やサービス提供が済んでいる)と考えられます。この入金と上記の納品や仕入の記録を照合すれば、売掛金(売上)の計上漏れが判明します。

◆値引きと貸倒れ

「値引き」とは計上した売掛金(請求した代金)が、軽微な不良、若干の納期遅れ、不快な接客などを理由により得意先から減額を要求されることです。「貸倒れ」とは得意先の倒産などを理由として売掛金が回収不能になることです。

値引きも、貸倒れも、売掛金(売上)を減額できるのは当然です。

「本当に値引き?貸倒れなの?」
「本当は回収しているんだろ(笑)?」

しかし、税務署はこう考えるのです!それが、彼らの仕事なんですよ!

銀行預金に振り込まれた分をこんな扱いにすることはできません。そこで、現金回収した分を値引きや貸倒れにするのです。

「でも、どうやって税務署は調べるの?」

事業外の預金通帳(家族名義など)、得意先への反面調査、税務署独自の調査網などで十分な裏を取っているから、あんな喧嘩を売るようなことを平気でいってくるのです。

実際には回収できている売掛金を、値引きや貸倒れとして費用処理した場合には、その費用処理は取り消されます。会社の場合には、さらに代表者の給料として扱われ(代表者が回収した売掛金を受け取っているので)、その給料から所得税を源泉徴収しなければなりません。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。

あわてない・あせらない はじめての税務調査スマート対応
クリエーター情報なし
大蔵財務協会