【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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税務調査と住宅購入(事業と私生活との整合性)

2018-06-11 19:00:00 | 税務調査
【ご注意】以下の説明は「会社あるいは個人事業者」が税務調査を受ける場合についての説明です。

「住宅を購入したので税務調査だな・・・」

これを気にする事業者(会社経営者と個人事業者)が非常に多いです。

住宅を購入できるということは、そのための資金を保有している、あるいはローンを返済できるだけの収入があるということです。資金や収入は税金と関連してきます。そこで税務署は、住宅を購入した人の納税状況と購入額に「不自然さ」がある場合には調査に乗り出すのです。

◆事業以外に資金源がない

事業以外に資金源がない場合には、住宅購入額やローン返済額と事業から得ている私生活のための資金の整合性を容易に確かめることができます。会社の場合には「役員報酬」、個人事業者の場合には「事業所得」と照らし合わせればいいからです。

例えば、「会社設立前の貯蓄1000万円は全額会社に出資」、「会社設立3年」、「設立後3年間の役員報酬は年額600万円」、「家族は専業主婦の妻と小学生の子供2名」、という人がいたとします。

会社設立3年目に5000万円の住宅を全額現金払いで購入するのは明らかにおかしいです。

「会社に帰属させるべき利益を除外して申告している」、「役員報酬以外の名目で会社から資金を引き出している」と疑われます。

◆事業以外に資金源がある場合

事業以外の資金源とは、過去からの貯蓄、相続や贈与による財産の取得、事業外での資産運用(株式投資や不動産の賃貸収入)などです。これらがある場合には、役員報酬や事業所得からだけでは住宅取得資金の資金源は説明できません。役員報酬や事業所得からすれば「分不相応」な住宅も購入することができます。

【参考】税務署の組織

この件については、税務署の組織体制を理解しておけば「余計な恐怖心」を抱く必要がなくなります。また、いずれは「当てが外れる安心感」を抱くこともありません。

税務署の組織は大まかに次のように分かれています。

個人課税部門・・・個人事業者の所得税
法人課税部門・・・法人(主に会社)の法人税
資産課税部門・・・相続税・贈与税と個人の資産(不動産や株式など)譲渡に関する所得税

事業の税務調査を行うのは、個人課税部門と法人課税部門です。ただし、これらの三つの部門は相互に連携している模様ですので、他部門の管轄が対処すべき課税漏れにつながる事実を発見した場合には連絡はされます。ですから、事業に関する調査を受けている段階で「相続税・贈与税」、「資産譲渡に関する所得税」の指摘は受けることはなくても、後日、資産課税部門から連絡が来ることがあります。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。

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