銀河のサンマ

何でもあり

ひじきカレー

2020-08-19 | 銀河食堂

 

 

 

 

 

靴の中に籠るアスファルトの輻射熱って熱い。暑い。

ついつい眉間に皺がはいる。

路面の熱い揺らめきなのか、僕の足元がクラっとする。

「おいおいお前さん・・・」

目が覚めると僕は小さな椅子を並べた上で寝ていた。

「ひっくりコケんじゃねぇぞっ」

見覚えのある空間、聞き覚えのある声、久しぶりの古いココ。

なんと「銀河食堂」現るっ!!

「眉間に皺よせて、なに突っ立ってたんだ?」

「あ・・僕は・・・」(一体何したかったんだろう)

「ほら、食べない」

少し粗雑な口調で店主はテーブルにカレーを置き言う。

「ひじきカレーだ」というと続けて説明を始めた。

「ひじきはな、ヨウ素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、

ビタミンA、B1、B2あとミネラル類、そいで何チャラ類がまんべんなく入ってるんだ」

店主はひじきに詳しいようで、流暢な何チャラまでの説明に僕は感心する。

僕はスプーンを手にもち、いただきます、と頭を軽くさげる。

「うっ!美味しいっ!」

「美味いかっ」店主の顔はパーッと輝き、ウンウンと大きく頷く。

「何だろか、少し南国風?干し葡萄の様な味・・・」と考える隙に店主は言った。

「気づいたかい。隠し味に梅ジャムを入れたんだ」店主は嬉しそうだ。

なるほどーっ。僕も嬉しく口に運ぶカレーがすすむ。

店主は思いだした様に慌てて「暑中お見舞い申し上げて営業中」の木札をかけた。

「店主らしい味。元気がでてきたよっ」と僕は御馳走様とスプーンをキラリとさせた。

「そうやって笑ってろ。お前さん笑ってろ。お前の隣には、いつも誰か居ると思え」

「え…?」

店主は下を向きニコッと微笑む。

「ん? 店主の下唇ってさぁ・・・」僕はやや斜め下から覘きこむ。

「おっと、さ、帰ってくれ。早々に店じまいだ」

店主は皿とスプーンを手にとり僕を扉の外へ出した。

ービシャンっー 僕の背中で荒々しく扉が閉まり、驚いて目を瞑った。

びっくりしたぁ、瞑った目をそっと開け扉の方を振り向く。

そこに青い海が広がっている。

「海だぁ!」思わず叫ぶ。その声が海風に乗ってゆく。

僕の隣には黄色い向日葵が笑ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020.08.09朝食風景

 

 

 

 

 

 

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