私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

中国の勢力圏拡大に懸念:米太平洋司令官

2008年03月14日 | 極東情勢(日本とその周辺)

Thanksgivingの乗員休暇のため香港へ寄航しようとした米艦隊らに対し、直前になって中国当局がこれを拒否した(「一国二制度」における高度な自治がインチキであることもよくわかる事例)ことがありました。このことを思い返せば<毒餃子騒動>の意趣返しなど朝飯前といったところでしょうが、この時キティホークら米艦隊は、96年以来の台湾海峡通過で応酬。抗議する北京に対し、「必要とあらば(米第七艦隊は台湾海峡を)いつでも通過する」と反論したのが、ティモシー・J・キーティング米太平洋司令官(海軍大将)でしたね。

◆China Requires Close Eye as It Expands Influence, Capability(American Forces Press Service)
◆The Associated Press: US Concerned Over China Buildup(AP)

<U.S.-Chinese military relations, he said, have fallen short of expectations, with China showing little willingness to conduct port visits, sea exercises or midlevel officer exchanges. He noted what he called China's "perplexing cancellation" of port calls for U.S. ships in Hong Kong last year.>
(米中の軍事交流に関しては、中国側が艦隊の寄航や共同演習、中堅将校レベルの相互訪問等といった意欲に乏しく、期待にそぐわなかったと述べ、昨年米艦隊が香港への寄航を打診した際の、中国側の「ハタ迷惑なドタキャン劇」についても言及した)

火曜日に行われた米上院軍事委員会の公聴会における答弁です。先に発表されたペンタゴンの年次報告2008(記事)の流れでしょうが、慎重に言葉を選びつつも中国の軍拡の不透明さに対する懸念を随所ににじませていますね。軍事交流は、不測の事態を回避する信頼関係の構築に役立ち、「中国脅威論」を払拭する契機でもあるはずですが、中国側はやる気ないようで・・・・

<While much remains unclear about China, Keating said, it’s evident the Chinese want a bigger role on the world stage and are expanding their military capabilities to secure it.>
(その多くが依然として不透明な一方で、中国が世界の舞台でより多くの役割を欲し、それを確保すべく軍事力を拡大しているのは明らかである、という見解をキーティング司令官は示した)

中国の軍拡の不透明さは、国防費の額そのものもさることながら、その量的(規模的)側面と質的側面から何を読み取るかが問題です。後者に関しては、先の年次報告書で「サイバーテロ」や「衛星破壊」といった妨害型戦略についても言及されていました(ラムズフェルド前長官も「アジア安全保障会議」で講演していたな・・・・)が、中国の軍拡が自国の領土防衛や台湾併呑を凌駕する規模に及んでいる点は数年前から指摘されている事項でもあり、〝誤解〟が生じる余地があるとすれば、その説明責任はPLA(中共)側にあります。
同司令官は、「米国は中国の思惑のごく一部しか把握できていない」とし、中国軍の外洋展開能力と地域における影響力拡大への注意を促していますが、その背景ともなった中国軍幹部との〝雑談〟が何とも生々しい・・・・

<Then came the Chinese proposal: “You take Hawaii east. We’ll take Hawaii west. We’ll share information, and we’ll save you all the trouble of deploying your naval forces west of Hawaii.”>
(その中国の提案は、「米国がハワイ以東(の太平洋)を管轄し、それ以西を中国が受け持つのです。情報を共有化すれば、ハワイ以西に米海軍を展開させる煩わしさがなくなるでしょう」というものであった)


中国の空母展開が可能になった段階での仮定の話という流れですが、米中による太平洋分割統治案の提案──<パックス・アメリカーナ&パックス・シニカ構想>とでも言うべきか・・・・
(この話昨夏に産経の記事でちょろっと見た記憶があるのですが、情報の出所がイマイチ?だったんだよな)

<Keating called the statement telling. “Even if in jest, it indicates some consideration of the strategic vision that the People’s Liberation Army, navy and air force might have,” he said. “While not necessarily hegemonic, they clearly want to expand their areas of influence.>
(キーティング司令官は、この言明を印象的に振り返る。「冗談にしても、中国人民解放軍の、海軍や空軍が抱いている戦略構想の一端がうかがえます」「覇権志向の表れとは限らないにせよ、明らかにその勢力圏を拡大したい思惑が見えます」)
<“And those strategic goals of theirs, … while not necessarily counter to ours, … (are) at least of concern to us,” he said.>
(「そして、中国の戦略構想の最終目標は … それが合衆国の国益に相対するものではないとしても … 少なくとも合衆国にとっても重要な意味を持つものです」と、述べた)

中国が「合衆国にとって代わる太平洋の覇者を志向」すべく、太平洋で一戦まみえることまでは想定していないにせよ、こうした提案を有利に進める(米側が飲まざるを得ない状況に追い込む)には、既に第二列島線の内側をその勢力圏に収めていることが前提となるでしょう。日本や台湾の命運がこれに絡んでくるのは、地図を見れば誰でも判ることです。(こういう事実に対して「見て見ぬふり」を決め込む輩がいるのは本当に不思議ですが)

かつて太平洋で血みどろの死闘を繰り広げたことを思えば、合衆国がやすやすと勢力圏を明け渡すとは思えませんが、同地域における「合衆国の能力」が未来永劫絶対的優位性を担保されている保証はどこにもありません。
日本も同地域における〝stakeholder〟の一角です。同盟関係を双務的なレベルに引き上げ、<太平洋の英国>を志向する必要性を改めて痛感させられますね。


中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄 国境なき記者団  



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2 コメント

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Unknown (通りすがり?)
2008-03-16 01:29:03
管理人様からすれば「媚中」と怒られるかもしれませんが、公私共に広州と行き来しています。あちらからは何故か日本のネットに書き込めないことが多々あるのですがね。

日中友好と日台友好は矛盾する話でもないのに悲しい話です。今もチベットで暴動が起きていますが、中国自身「一つの中国」を抱え込むのは色んな面で矛盾が生じるのは当たり前のことだと思います。
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そうですね・・・・ (tsubamerailstar)
2008-03-19 00:55:53
>通りすがり?様

>日中友好と日台友好は矛盾する話でもないのに悲しい話です。

まさにその通りだと思います。政治面も含め、ハルシュタイン原則みたいになっている現状がおかしいんですよね。

>中国自身「一つの中国」を抱え込むのは色んな面で矛盾が生じるのは当たり前のことだと思います。

例えば、ローマ帝国と比較してみると、中華帝国の馬鹿さ加減はよくわかりますよね。ローマの場合は、信教の自由とか通貨統合、インフラ整備等を精力的におこなったので、周囲の弱小国がこぞってその傘下に入りたがった面がある。
こやつらがやっており、これからもやろうとしていることは力で抑えつけること、この一点のみだと思いますよ。

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