福田訪中、今年最後のドッチラケ

JR東海が中央新幹線（東海道リニア）の開業に向けて本格的に動き出したようですが、「自らのイニシアティブのもとに推進・実現する」というのは何とも印象深いフレーズです。こういう気概の欠片すら持たない、覇気に乏しい首相を押し戴いているだけに余計にそう思うのでしょうが・・・・

◆福田首相、戦略的互恵関係に意欲示す　新年に向け（北京週報）
◆中国、福田首相の訪中を重視（人民網）

安倍内閣を受け継ぐ形で発足した福田政権ですが、公務員制度改革や日本版NSC法案といった目玉は腰砕けに終わり、だらだらやっているうちにジリ貧という予想通りの展開となりました。何故か「戦略的互恵関係」という言葉だけは阿倍内閣から忠実に引き継がれているようですが、福田政権になったと見るや、尖閣に上陸しようと国粋主義者は勢いづき、東シナ海のガス田には「軍艦を出す」と恫喝され、挙句の果てには外交文書の恣意的な〝上書き保存〟とやられたい放題。どこが「互恵」なのか、何を以って「互恵」と言うのか皆目理解に苦しむところであり、暮れも押し迫ったこの時期に、何の成算があって訪中するのでしょうか？外相レベルで〝仕込み〟が出来ていない段で首脳会談に臨んでも、日中両国の懸念事項に進展を見るどころか、「角を矯めて牛を殺す」結果になるのは火を見るより明らかですし、国益を守る気概も見せず「友好」を唱えること程空虚な話はありません。
来春の胡錦濤訪日と北京五輪での両陛下訪中さえ決めれば「日中友好」で内閣支持率回復、といったピント外れな算盤勘定をしていそうで空恐ろしい気がしますね・・・・

◆【主張】福田首相訪中　台湾への姿勢を変えるな（産経）

『台湾問題に関してだが、台湾問題は中国の核心利益に関わる。中国は日本側が「1つの中国」の堅持、「台湾独立」の不支持、台湾当局による「国連加盟住民投票」の不支持を繰り返し表明していることを重視している。日本側が地域の平和・安定と中日関係の大局に立ち、台湾関係の問題を慎重に処理することを希望する』（人民網）のだそうですが、04年の総統選当時、日本政府は台湾当局に対し異例の「申し入れ」を行った前科があり、しかもこれは北京のみならずワシントンからの圧力でもあったということで、今後何かと煩わしい事態が予想されます。何れにせよ、クリントンの「台湾三不政策」に同調せず「台湾独立不支持」という〝一つのノー〟にとどめ、江沢民から「謝罪」を共同文書に盛り込むよう要求されても拒否した、故・小渕首相のような姿勢を福田首相に期待するのは「ない物ねだり」の域でしょう。
しかしながら、「日本は従来の外交政策はアメリカに従っている。そのうえ日本は中国に対して歴史的な重みもあるため、中国に強い態度を取ることはできない。しかし、日本国内に日本自身の外交路線を望む声もある。だから、台湾が国連に復帰する議題に対して、日本は完全にアメリカに賛同していなかった」（逆転勝利　謝長廷の生命美学）といった、日本に期待を寄せる〝台湾の声〟もあります。
「台湾海峡をへだてて相対峙する二つの政府があるという事実」（第２６回国連総会における中国代表権問題に関する愛知首席代表演説）は何人たりとも否定し得ない現実であり、（日米同盟を基軸とする）日本独自のエンゲージメント戦略を如何に樹立するかが、中・長期的な我が国の国益を左右するのは疑う余地がありません。
中台双方に対し「平和的解決」と「一方的な現状変更への反対」を主張するのは譲れないところですが、さらに一歩進んで両岸の対話を促すような具体的な提案を行うことが出来れば、当面の日本外交としては満点解といったところではないでしょうか。

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