私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

ライス国務長官、住民投票計画への反対を表明

2007年12月24日 | 極東情勢(日本とその周辺)
政権末期になると極東政策、特に朝鮮半島絡みが蛇行し始めるのはクリントン政権以来の悪癖のようですが、北朝鮮絡みでヒル次官補が(頼りげない)ワンポイント・リリーフを努めているのみで、極東全体を俯瞰する立場が不在であるという事態は、アーミテージ元国務副長官が危惧している通りとなった感がありますね。

◆Referendum no provocative tool: Chen(Taipei Times)
◆Press Conference by Secretary of State Condoleezza Rice(国務省)

<In East Asia, we have made progress this year toward our goal of denuclearizing the Korean Peninsula. After agreeing to implement the September 2005 joint statement, North Korea shut down and is now disabling its Yongbyon facilities. We expect North Korea to honor the pledge it made in the six-party talks, to make a complete and accurate declaration of all its nuclear programs. Of course, other challenges and flashpoints of conflict remain in East Asia and we will monitor those closely. In the Taiwan Strait, for example, the United States remains committed to peace and security. We oppose any threat to use force and any unilateral move by either side to change the status quo. We have a One China policy and we do not support independence for Taiwan.>
(東アジアにおいては、本年度朝鮮半島の非核化という最終目標への前進をみました。北朝鮮は2005年9月の共同声明の履行に同意した後、原子炉の運転を取りやめ、目下ヨンビョンの核施設の無能力化を進めています。北朝鮮が六者協議における誓約を守り、すべての核開発計画の完全かつ正確な申告を行うものと期待しています。もちろん、東アジアは他にも対立要因や発火点を内包しており、厳密に注視して参ります。例えば、台湾海峡に於いて、アメリカ合衆国は平和と安全保障へ関与し続けます。我々は、武力に訴える脅迫行為や何れの側からの現状を変更しようとする如何なる動向に対しても反対します。アメリカ合衆国は一つの中国政策を堅持し、台湾独立を支持しません)

<As we have stated in recent months, we think that Taiwan's referendum to apply to the United Nations under the name "Taiwan" is a provocative policy. It unnecessarily raises tensions in the Taiwan Strait and it promises no real benefits for the people of Taiwan on the international stage. That is why we oppose this referendum.>
(このところ述べておりますように、我々は「台湾」名義での国連加盟を目指す住民投票は、挑発的な施策であると考えます。住民投票の実施は台湾海峡の緊張を過度に煽るもので、国際舞台における台湾の人々に真の利益を約束するものではありません。我々が住民投票に反対する理由はそこにあります


ライス国務長官が台湾に向けて〝警鐘〟を発するのは、5月以来(記事)かと思いますが、先頃のバッガード・AIT(在台米国協会)理事長の訪台以降きな臭い感はありました。端的に言えば、バッガード氏と台北側との対談の〝決裂〟が今回(本年度の回顧の中で)の警鐘に繋がったのでしょう。
来春の総統選と同時に実施される予定の住民投票に関しては、ネグロポンテ国務副長官(この人は香港のフェニックスTV経由で露骨だったな・・・・)やワイルダーNSCアジア上級部長等もこれまで反対する旨を表明していましたが、ライス長官としては、「国連加盟が実現する可能性はないのだから、いたずらに両岸の緊張を高めるような施策を掲げるべきはない」と言いたいのかもしれません。
確かに、住民投票の成否に関わらず、台湾の国連加盟が実現する見込みはないでしょうが、

<"There is absolutely no provocative policy, but only a policy that respects public opinion ... It is not Taiwan that is acting provocative today, it is China," Chen said.>
(「挑発的な政策どころか、世論を尊重した政策を掲げているに過ぎません...挑発的なのは今日の台湾ではなく、中国の方でしょう」)

という陳総統の反論に対しては誠実に回答すべきでしょうね。国連加盟の可否と、住民投票の実施というのは本質的に別問題であり、台湾の民意が総統選と絡めて住民投票を実施すべきと考えるのであれば、合衆国は台湾の民主主義を尊重すべきだと私自身は考えます。(台湾名義で国連に加盟しようという試みそれ自体は、現状変更には該当しないと思いますし) 
と、いうよりも米中という〝外野〟が必要以上にワーワー騒ぐからあれこれ事がややこしくなる(逆効果)のであって、少しは黙っていられないものでしょうか?
合衆国を迂回して(恫喝して)台北に圧力をかけるという北京の姑息なやり方はここ数年のトレンドですが、先頃訪中した仏のサルコジ大統領のように、福田訪中に際しても〝踏み絵〟を踏まされるのは必至でしょう。まさに飛んで火にいる冬の虫・・・・
(私なら、「日本政府の立場は、従来から日中共同声明のとおりと申し上げておる次第で、台湾問題に関しても、対話を通じた平和的解決を望むところである。日本政府は台湾独立を支持せず、いずれの側からの一方的な現状変更にも反対する・・・・あ、住民投票?だから「対話を通じた平和的解決」と言っただろ、しっかり聞いとけ!!」と言うでしょう)

(2007/12/09)

(2007/12/13)

(2007/12/14)

(2007/12/21)

Taipei Times紙の〝Editorial Cartoon〟も、このところ皮肉度が効いていますが、こうした米中の横槍が、総統選そのものに与える影響はどうなのでしょうね?(米台関係は改善せず、緊張をはらんだまま陳総統が任期を終えるのは必至ですが)
9月に訪日した陳唐山・前外交部長に、「総統選と同タイミングでの住民投票の実施は、ある種の賭けではないのですか?」と伺ったことがあるのですが、私自身は、前回04年のそれのように、米中等〝外野〟の介入と、それを理由として野党陣営が勢いづくリスクをどうヘッジするのだろうかという点に興味を抱いた次第です。
96年の総統選の際は、中国が直接的な軍事的恫喝に出てきたために、目に見える形で<中国への抵抗>という構図が体現したようですが、来春の総統選において<米中への抵抗>が主要な争点として浮上するものなのかどうか、これまた興味深いところです。

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