私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

中国軍、防空識別圏侵入を既成化~主客転倒の沖縄地方紙社説

2006年02月21日 | 極東情勢(日本とその周辺)

沖縄に全国紙の朝刊が届くタイミングは〝夕刊〟の時分なんだそうですね。ローカルニュースで「下地島空港云々」というのを目にしたのでちょっと覗いてみたのですが、沖縄本島の地元紙が「威勢がいい」のも寡占状態と大いに関係があるのでしょうか・・・・

◆中国、日本の防空識別圏へ侵入急増 偵察活動を既成化(産経)
◆米の最新鋭戦闘機F22「日本への輸出有力」 専門紙(朝日)
◆[那覇にF15]アジアへの逆脅威だ(沖縄タイムズ社説)
◆[下地島空港軍事化]一司令の見解では済まぬ(沖縄タイムス社説)
◆米軍、下地島使わず 「空中給油で終了」と連絡(琉球新報)
◆産経朝刊 産経抄(01/24)

日本の防空識別圏に進入した中国軍機による電波収集活動、即ち「情報戦」に関する報道は先月も目にいたしました(記事)が、合衆国の「四年ごとの国防計画見直し」(QDR)において、電波・電子情報を収集する電子戦を想定した中国軍の近代化に対する警戒感が示されたことと、中国側の公表を受け、改めて警鐘を発したい意図があるのでしょう。
中国側の「偵察活動を既成事実化する戦略」(防衛庁幹部)は「自衛隊の対処を見極めながら、徐々に行動範囲を広げてくる」(制服組幹部)ものであり、「スクランブルだけでは偵察活動への抑止にならない」(政府筋)。従って「日本政府として経済権益をどう守るか対処方針を示すべきで、自衛隊がEEZで活動するための法整備も不可欠」(政府筋)という趣旨のようですが、朝日の記事にある次世代支援戦闘機導入の件とも関係があるのかもしれませんね。
これらの件に関しては以前も記したとおりで特段新たな感慨はないのですが、沖縄地方紙はQDRと那覇へのF15配備に関して、
『米国防総省が発表した「四年ごとの国防戦略見直し」(QDR)は、中国について「軍事的に米国と並ぶ最も大きな潜在力を持つ」と指摘している。しかし、それは将来的に米国のライバルになる可能性を示したのであって、今のところ中国は日米両国にとって脅威ではないはずだ。むしろ、中国脅威論を政治的プロパガンダに利用することで、米軍と自衛隊の軍事的一体化を促進しようとする日米両政府の思惑が見え隠れする』
・・・・日米両国が米軍と自衛隊の一体化を促進しようという思惑から不用意に「中国脅威論」を煽りたてていると言いたいようです。
「中国脅威論」についてはこのところあれこれかしましいですが、その思惑との乗数で測られるべきで性質の類ではないかと思います。単純に「軍事的な脅威」という観点で見れば、米軍ほどの脅威はないですが、米軍が日本を軍事的に攻撃・侵略しようという思惑は目下見受けられないわけで、乗数の値としてはゼロになる。しかしながら中国の場合は「潜在的脅威」に「思惑」を掛けた値は決してゼロではなく、脅威が顕在化する可能性が高いと判断されるということです。
同紙の社説では、那覇へのF15配備に関して「優れた機動性や空中受油機能などが、逆に攻撃的、侵略的な脅威を与える」とも述べていますが、これまでの経緯を顧みると<主客転倒>と言わざるを得ません。沖縄の先には台湾・尖閣・東シナ海があるという地勢的認識、10年前の台湾海峡危機という歴史的認識、そして何より現状認識を著しく欠く「観念的平和・友好論」は何の説得力も持ち得ないでしょう。
同紙はまた、前日の社説で「下地島軍用化」に関する航空自衛隊那覇基地の滝脇博之司令の発言を取り上げ、「文民統制が形骸化しつつあることを示しているのではないか」「たがが緩んでいるとしたら、政治の責任は重い」等と飛躍させています。「これは対中国戦略として自衛隊を前方展開させるべきだ、と言っているのに等しい」と疑義を差し挟まずとも、同司令はそういう意図で発言しているのだと思いますが、ここでも「隣国を仮想敵国とし侵攻まで想定するのは警戒と緊張を高めるだけであり、中国からの反発もでてこよう」と結んでいます。

何故ここまで中国の「良心」と「善意」に期待するのか・・・・米軍の下地島空港利用に反対する地元労組関係者は「下地島空港は米軍や自衛隊に常に狙われている。阻止すべく頑張ろう」等と気勢を上げているようですが、この方々は中国から狙われているとはみじんも思わないのでしょうかね?

※写真・・・・烏來 「温泉街」という風情ですね。

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29 コメント

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Unknown (R)
2006-02-21 21:09:19
中国って昔から良き幻想でもって語られますよね。繰り返し、繰り返しその現実が露になっているにも関わらず。不思議です。

外交、宣伝が上手なのか?世界が馬鹿なのか。
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歴史に学ぶべき (ピア)
2006-02-21 23:00:40
こんばんわ。

沖縄現地の報道情勢、ありがとうございます。

経験じゃなくて歴史に学ばないと、また痛い目に遭うことに

なります。そこを判らんヤツはしょうがないですね (^-^;;;

またよろしくお願いします!
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Unknown (猫研究員。)
2006-02-22 00:49:32
電子戦に備えることの重要性は何度でも強調されるべきでしょうね。とりわけ日本ではそれに関する意識が低すぎますから。

それにしても沖縄ローカル紙は「ミニ朝日」とでも呼ぶべき論調ですね。滝脇博之司令の発言が「「文民統制が形骸化しつつあることを示している」とは言いがかりも甚だしい。言い回しを真似て書けば、制服組は言葉を発するなと言っているのに等しいではないか。QDRで「ライバル」と名指しされたことは、軍事上の脅威と認定されたということに他ならないのに、何を曲解しているんだか…。
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「ミニ朝日」呼ばわりは失礼! (むじな)
2006-02-22 11:36:34
>それにしても沖縄ローカル紙は「ミニ朝日」とでも呼ぶべき論調ですね。



「外国」の新聞について、その土地の歴史的背景を無視して、こういう決め付けは無意味だと思いますが?



私は日本に住んでいて記者をやっていた時代、長い間沖縄タイムスを定期購読していました。沖縄の新聞は、けっこうテキトーでテーゲーなところが好きですし、あれははっきりいって「外国」の新聞ですよ。



沖縄タイムスは、「ミニ朝日」というよりも、朝日と提携している(基本的共同を使うが、よく朝日の記事も載る)し、朝日よりはるかに左ですよ、論調は。琉球新報のほうがやや穏健かな。

ただ、その一方でも沖縄の地理的な位置を反映してか、台湾やフィリピンや中国でも南方との交流も意識していて、台湾に好意的な記事もよく載っていたりします。



そういう意味では、「ミニ朝日」じゃなくて、沖縄という「外国」はその国なりの特殊事情と独自の視点で、問題をとらえているというだけです。



もっとも、たしかに沖縄の世論は左翼だけではなくて、実は右翼も強いところなので、主要県紙が2紙とも「朝日よりも左」しかないというのは、世論を反映していないということはできます。



しかし、単純な「ミニ朝日」呼ばわりを、しかも自民党関係者が行うことは、沖縄県民からみて、どういう風に感じるかは、細心の注意と気配りを持って発言すべきではないですか?



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沖縄の文化的独自性 (むじな)
2006-02-22 11:42:57
>経験じゃなくて歴史に学ばないと、また痛い目に遭うことに

>なります。



沖縄は、県民の政治的帰属意識は日本にあるとはいえ、文化的歴史的には、本土とは違った沖縄の特殊事情と背景と言い分がある。

たしかに、視野は狭い面もある。

「いったい何がしたいんだ」といらだつ部分もある。しかし、それこそが沖縄が本土と異なる「異国」の部分であり、文化の違いというべきなのであって、それをそれとして理解せずに、本土の歴史・文化的な視点に立って、沖縄を一方的に



>そこを判らんヤツはしょうがないですね (^-^;;;



などと断罪する資格はありません。

そういう本土人の姿勢こそが、沖縄の本土への不信感を増幅させるのです。
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沖縄について理解してから発言しませう (むじな)
2006-02-22 11:51:40
>外交、宣伝が上手なのか?世界が馬鹿なのか。



実は「たいした国ではない」から(わら)。



中国はたしかに日本から見ていると大きく見えがちですが、東アジアから一歩はなれると、単に図体だけは大きいが、貧しく、たいした財力も影響力もない途上国の一つに過ぎないのです。



実は世界的には反中感情はそれほど強くありません。中国も日本も単に「東洋の神秘的な国」というイメージしかありません。



そういう意味では、中国と緊密な関係にある国であっても、実は、日本や台湾との関係を排除しない国も多いのです。

(というか、彼らにそこまで中国に義理立てする必要も意味もありませんから)



そういう意味では、日本や台湾は反米親中と見られている国々とも関係を開拓して深めていくべきだと思います。



なお、沖縄については、歴史的文化的にも、中国の影響が強いところです。旧正月を祝う習慣も残っていますし、人名でも姓はともかく名を音読みにする人が多いところも中国に近い部分でしょう。



それが沖縄左翼論壇では、本土や米国の「右傾化軍事路線」への危惧といっしょくたになって、一見、中国への政治的な親近感と見えるような論調が出てきたりしますが、実は必ずしも政治的に親近感を持っているとはいえません。



それはあくまでも文化的親近感であって、政治的親近感とイコールではありません。ベトナムや南北朝鮮が、中国べったりとはいえないのと同じことです。



本土の視点で見れば、沖縄のそうした論調やロジックは「中国への幻想」に見えるでしょうが、沖縄人自身は必ずしもそうではない。

そうした独自のロジックを理解してから、発言しませんか?

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あれだけ米軍基地がそばにあったら反軍的にもなるわな (むじな)
2006-02-22 11:55:12
>何を曲解しているんだか…。



沖縄とくに本島にはいたるところに米軍基地があります。

たしかに客観的には、それで経済が潤っている部分はあるんですが、やはり実際にそばで見ていると、あれは嫌なものですよ。



本土と沖縄では、米軍基地の占める割合とプレゼンスがぜんぜん違う。



あれだけ米軍基地が目に付けば、嫌がうえに、反米的、反軍的な感情も出てくるでしょう。



あなたの家のそばに広大な米軍基地ができてごらんなさいよ。あなたが自民党でいられるかどうか(わら)。



環境や条件が違う他人の気持ちを考えないで、一方的に断罪するのは、無意味です。
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Unknown (PJ)
2006-02-22 12:15:07
ずい分長い間、沖縄の方たちに同情してきました。ですが中国の脅威の増す中、沖縄に対する苛立ちを感じるようになってきていることも確かです。国内のことだけしか考えなくて良いのなら、とっくに基地を移設できている事でしょう。日本全体を危機に晒しても沖縄に考慮すべきだと主張するのなら、やはりエゴだと思わざるを得ません。
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君のほうがエゴじゃん (むじな)
2006-02-23 00:23:52
>国内のことだけしか考えなくて良いのなら、とっくに基地を移設できている事でしょう。日本全体を危機に晒しても沖縄に考慮すべきだと主張するのなら、やはりエゴだと思わざるを得ません。

>



いや、沖縄の人たちは「本土で負担しろ」といっているわけで、日本から基地を全廃しろなんていう高度な安保問題の議論は、ほとんどしていませんが?



沖縄ばかりに負担を押し付けているから、それに反対しているだけであって、それを「エゴ」というなら、君の住む町に米軍施設を率先して受け入れるべきだろう。



そうでなければ、君のいっていることがエゴだ。

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うーん (やくも)
2006-02-23 00:58:27
>F15戦闘機の優れた機動性や空中受油機能などが、逆に攻>撃的、侵略的な脅威を与えるからだ。



・・・日本のF15戦闘機って対地攻撃能力なんて備わってましたっけ?どうして侵略的になるんでしょう。。



中国の脅威っていうのは軍事費伸び率2ケタ増を何年も続けていて、その上内容が不透明な点(人件費非公表など)、そして日本が軍縮しているという事実、このまま行けば数年後には軍事バランスの均衡が崩れるのではないかという点。どうしてこういった点を沖縄タイムズ社説は省くのでしょう。
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