私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

市民団体、在台米国協会へデモ行進

2006年02月23日 | 台湾

昨日は「竹島の日」に『嫌韓流2』の発売と、日韓の反応等も含めブロガー諸氏の耳目を集めた一日だったかと思います。
一方、台北ではその前日「手護台湾連盟」(と言うのか?)が国家統一委員会と綱領の廃止を求める台湾の民意を尊重するよう、在台米国協会(The American Institute in Taiwan)へデモ行進を行ったようですので、この報道を見てみました。

◆Anti-NUC protesters march on US office(Taipei Times)
◆US split on NUC's future: source(Taipei Times)
◆US reassures Beijing that it insists on ’status quo'(Taipei Times)
◆米政府官員、国家統一綱領廃止のリスクを警告(なる台NEWS)
◆米、台湾の国家統一綱領の廃止検討で自制要請(日経)
◆統一委廃止に積極姿勢 台湾総統、中国の反発必至(共同)
◆国民の約7割が「国家統一綱領の廃止検討が必要」(台湾週報)

台湾英字紙の報道(日本語訳)によると、リーダーの黄昭堂氏に率いられた300人の市民団体は大安林森公園から在台米国協会までデモ行進し、ブッシュ大統領と合衆国政府および国民に宛てた二通の親書を手渡した(協会の職員は受理に出向かず)とのことですが、

<Ng said the activity was not a protest, but an action aimed at informing the US of the will of the people of Taiwan.>
(黄氏はこの活動は合衆国に対する抗議ではなく、台湾の人民の意思を伝えることを主眼とする行動であると述べた)

どこぞの国民のように星条旗に火を付けたり、噛み千切ったりというエキセントリックな行動に出た訳ではなく(普通はそうか・・・・)、「合衆国は台湾の主流民意を尊重せよ!」という申し入れの内容共々、極めて理性的なデモ行進だったようです。
昨日新幹線の車中で『台湾 したたかな隣人』(酒井亨著)を読んでいたせいもあってこの報道に目がいったのですが、同著は台湾の民主化を支えた社会運動という内側に視点を据え、特に00年の政権交代以降の台湾現代史を詳説しています。可変性に富み混沌としているように見える台湾社会(つまり外野からはサッパリ見えない)の一端を垣間見るスコープとしても類を見ない書物かと思いました。(日本は「李登輝偉人伝」や「旧領台湾を知る」といった類の本ばかりに偏在している感がありますし・・・・)
総統府国策顧問がデモに参加しているのも日本人の私から見れば目を引きますが、むしろ以前からデモを行っていた人が現在総統府国策顧問の地位にあると言うべきなのかもしれませんね・・・・

さて、共謀通信の報道はお約束の「中国の反発必至」で終わっていますが、反発しているのはむしろ合衆国であり、同記事中で引用されているBCC中国ラジオ放送社の報道を見ますと、中国は合衆国を通じて「迂回圧力」をかけているようにも見えます。(流石の中国も「少なくとも指導部」は直接的な圧力が功を奏すことはないということに気づきつつあるのでしょうか・・・・)
もっとも合衆国の政府内部も一枚岩という訳ではないようで、17日の台北タイムズ紙の報道(日本語訳)によると、

<The source said that some US officials have told him privately that Taiwan should not worry too much about what the State Department says because its remarks are made to appease Beijing.>
(合衆国の政府高官らが個人的に話した内容によると、国務省の見解は対中宥和的な意図が主眼であり、台湾は過度な懸念を抱くには及ばないとのことである)


同記事によると、陳総統は04と同様の「相当な圧力」を受けていることを認めたのだそうです。陳総統は国家統一委員会と同綱領の廃止に関し「既に決めたことで、変更できない」と米側の圧力を拒否する姿勢を見せているようです(日経)が、国務省は一時期の日本のように中国に過敏すぎる印象も受けます。(キッシンジャーの呪縛なのか大体が中国に対しては甘いような気もしますが・・・・)
合衆国側が台湾総統に「公約を守れ」と圧力をかけるのも変な話ですが、(合衆国が押し付けたとされる)その公約にしても、「中国が台湾に対し武力行使をしない限り」という前提条件がある点を見落としてはならないでしょう。中国が「反国家分裂法」を制定した時点でこの前提条件は崩れているともいえますし、合衆国も押し付けたなら押し付けたなりに責任を持ってもっと強く動いておくべきだったのではないでしょうか。少なくともただ単に「話し合え」というだけの日米安保の共通戦略目標が「反国家分裂法」に対する台湾側の安心感に繋がったとは言い難いように思います。

国府の独裁政権の最中である79年に制定された「台湾関係法」の第二条C項では「台湾のすべての人民の人権の維持と向上が合衆国の目標である」旨が記されています。00年に平和裏に政権交代を果たし、民主主義が深化しつつある今日の台湾はまさに合衆国の理想に近い歩みを続けている姿ではないのでしょうか?
その意味において、時計のネジを逆さに撒くが如き愚は、とりもなおさず合衆国の歴史に泥を塗る行為であるということを銘記すべきでしょう。

※写真・・・・台北市のランタンフェスティバル

凄い人出でした!

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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
手で台湾を護る (むじな)
2006-02-23 23:04:45
>「手護台湾連盟」(と言うのか?)



これは04年の228人間の鎖活動を主催し、さらにそれを継承するために存在する団体です。

手をつないだ人間の鎖デモだから、「手」をにぎって台湾を「護る」のです。
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最終的に困るのは米国のほう (むじな)
2006-02-23 23:10:37
>国務省は一時期の日本のように中国に過敏すぎる印象も受けますね。(大体が甘いような気もしますが・・・・)

>



まあ外交官僚が中国に甘いのは、外交、しかも官僚というシステムや文化が、中国そのものだからですが、それはともかく。

ただ、米国が台湾たたきに汲々としているのは、米国には「一つの中国」「5つのノー」にかわる新たな台湾政策がまだないからという見方もある。

ただ、大きな要因としては、米国としてはそうすることで台湾を危機状態において武器を高く売りつけることができるというメリットがあるためだと思われます。



だから台湾はいっそのこと、あんな中古の旧式の武器も「買ってやらない。台湾を護る義務があるんだから、米国自身の責任で護るべきだ」といってやればいいんです。



大体、米国が台湾を守っているんじゃなくて、台湾の存在が米国を守っているんだから。

もし米国がこのまま台湾の主体性をたたき続けて、台湾が中国に傾斜したとしたら、困るのは米国のほうだからね。



それにしても米国はブッシュになってから変。

米国の中庭といわれた南米で次々反米政権が登場しているのも当然でしょう。



台湾も反米運動を展開したらいいと思う。

米国は友人なんていないんだから、台湾が離反することの重みを米国はちゃんと考えるべきだろう。



米国はアホです。
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米国になめられている台湾には、過激な反米運動が必要だろう (むじな)
2006-02-23 23:12:38
>どこぞの国民のように星条旗に火を付けたり、噛み千切ったりというエキセントリックな行動に出た訳ではなく(普通はそうか・・・・)、

>



いや、私としては、エキセントリックなまでの米国罵倒、反米デモくらいやったほうが、米国に教訓を与える意味でも意味があると思いますがね。



>「合衆国は台湾の主流民意を尊重せよ!」という申し入れの内容共々、極めて理性的なデモ行進だったようです。

>



こうやって穏便にやっているから、米国になめられるんであって。
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當兵(徴兵制) (tw_dot_com)
2006-02-24 02:02:23
台湾は徴兵制なのはご存知の通りですが、これがだんだん短くなってきており(もしくはボランティアすれば免除)、台湾人(本省外省共)に聞いても「そのうちなくなるよ(笑」とあまり緊張感無いですね。

嫁の弟は10年前金門島で戦車長やってたそうですが、その時で2年くらいでしたが、今は1年10ヶ月らしいです。嫁も高校の時に軍事教練でライフルぶっ放してたらしいですが、今はそれもなし。

何か現地では緊張感あまりないです。
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加油 (ボッケニャンドリ)
2006-02-24 17:14:43
加油ってがんばれって意味のようですね。写真をパッと見た時に何だろと思って検索してみました。最初は何か火に油を注ぐような事を意味するのかな、と。
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台湾の抗日 (小熊猫)
2006-02-24 19:44:17
こんにちは。

台湾内でも少なからずもこういった抗日活動はあるようですね。特に、漁民を中心に・・・。

尖閣諸島なんかは台湾も領有権を主張してるからこれがまたややこしい問題で。

反国家分裂法に備え、アメリカからまた軍艦を購入したりと、島の領有権ならびに、両岸問題からは当分目が離せませんね。
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どうも有難うございました! (tsubamerailstar)
2006-02-24 20:18:10
>むじな様



「手護台湾同盟」についてご教示いただきどうもありがとうございました。



>米国には「一つの中国」「5つのノー」にかわる新たな台湾政策がまだない



これはそうなんでしょうね。「合衆国は『一つの中国』政策と三つの上海コミュケ、台湾関係法

を堅持し、中台双方の一方的な現状変更には反対する。合衆国はまた中台双方の対話が重要であると考える」・・・・これしか言わないから覚えてしまいました。(汗)

仰るとおり合衆国的には中台が適度に緊張してくれていれば商売にも繋がる(キッド級駆逐艦もパーレビ国王時代のイランに売りそこなったお古でした)し、「反共防波堤」としても台湾が機能する。まぁ、一石二鳥みたいな感じなのでしょうが、台湾関係法が制定された当時の時代背景的にも冷戦期の発想という感じがしますよね。



>エキセントリックなまでの米国罵倒、反米デモくらいやったほうが、米国に教訓を与える意味でも意味があると思いますがね。



報道を見ている限りでは合衆国側の露骨さが目立ちますし、この調子だと「打倒美帝」のデモに転じるのも必然・・・・仰るとおり現状では大人しすぎなのかもしれませんね。

合衆国がたかをくくっている向きも多分にあるような気もしますが、あんまり無茶しすぎると後で後悔する羽目に陥る可能性が高いでしょう。



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【祝】金メダル! (tsubamerailstar)
2006-02-24 20:27:54
>tw_dot_com様



ライフルぶっ放すというのが日本人的には「すげ~」と思ってしまいますね。(笑)

台湾の離島も訪れてみたいですが、金門島は優先順位的には低いかなぁ・・・・



>ボッケニャンドリ様



現地語は全くなのですが、私も当初「火に油を注ぐ?・・・・何かおかしいな」とか思ったりした記憶があります。(爆)



>小熊猫様



隣国ですから色々利害が対立する局面もあるのは想定の範囲内でしょう。特に漁業権に関しては向こうも死活問題でしょうしね。

大切なのは理性的に話し合う余地があるか否かでしょうね。

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祝!金メダル (tw_dot_com)
2006-02-25 02:39:35
荒川選手、金メダル受賞後国旗を纏ったところなどは神々しく見えました。。。

荘厳な君が代と日の丸を見ると日本人に生まれて良かったと。
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追加ですが (tw_dot_com)
2006-02-25 02:41:15
近日中に宜蘭-花蓮間青い平快乗り納め行くつもりですのでそこんとこよろしく(笑
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