私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

自由と民主主義を旗印にした戦略外交を

2006年01月03日 | 極東情勢(日本とその周辺)

元旦の産経紙は「年頭の主張」として社説を一面に掲載していましたが、中々読み応えのある内容ですね。(今頃読むなよ・・・)
「いなほ」の事故に関して、「風の息づかいを感じていれば、事前に気配があったはずだ」(毎日社説)等という斬新な論調を掲げる新聞社もありますが、「JRの職員はブッシュマンやナウシカを見習え!」と言われてもねぇ・・・・

◆【主張】新たに始まる未知の世界 アジア戦略の根幹は日米同盟(産経) ◆麻生外相、インドなど年明け訪問 戦略対話、中国を牽制(産経)
◆アジア外交・ポスト小泉を語る 麻生太郎外相/屋山太郎氏(産経)

「いまアジアの地図は大きく塗り替わりつつある。眠れる巨象といわれてきた最大の民主主義国インドの確実な台頭、命運がますます重要度を増し始めた台湾。日本はこうした国・地域との戦略的対応も強めていくべきだろう」
・・・・という訳で麻生外相の仕事始めは、「世界最大の民主主義国」であるインド訪問。屋山太郎氏との対談では、インドが昭和天皇崩御の際に三日間喪に服したことと広島に原爆が投下された八月六日に国会が黙祷をするという例を挙げ、「絶対にインドは大事にすべき国です」と述べています。
「自由インド仮政府」を設立したボーズとそれを承認したかつての日本・・・・かつての両者の戦略的な思惑はインパール作戦という悲惨な経過をたどったものの、その志は最終的にインドの独立として結実しました。ネルー首相と上野動物園のインディラ、パール判事・・・・日本に対し懲罰的に過ぎるとしてインドはサンフランシスコ講和会議への参加を拒否し、単独講和を選択したどころか、日本に対する「逆賠償論」を主張した国会議員もいたのは有名な話です。(昼飯食べてないので新宿中村屋のインドカリーが頭に浮かんで来ましたが・・・・)
今日の日本がインドに対し「カシミール地方の奪還に加勢しまっせ!」と持ちかけることは有り得ませんが、麻生外相のパキスタン訪問というのは「アジア外交の魅力あるビジョンと、したたかな戦略」の一環と評価されるのではないでしょうか。
ムシャラフ大統領の掲げる「啓蒙(けいもう)的穏健主義」とインドとの仲介役というプレゼンスを日本が示すことが出来れば、帯に短し襷に長しのASEAN諸国(記事)はもとより、同盟の相手国の米国からも注目を集めることでしょう。

アジア外交戦略について、「日中と日韓は違う。韓国は選挙で大統領、議員が選ばれ、市場主義経済をやっている。インドと同様に開かれた民主主義国家という共通の価値観がある」と麻生外相が指摘しているの点も目を引きます。ブッシュ大統領の京都での演説(記事)の草案を読んだ際も、まぁ、「本来は」そうなんだよなぁとは思いましたし、青瓦台と日本との板ばさみで韓国の外交通商部が苦心している節も覗えます。
もっとも、「歴史問題」の一点張りで強攻姿勢を示されるばかりでは、日本としても対応に苦慮するのも事実であり、中国共々「歴史問題」に関しては、〝のぞみ301号方式〟(記事)で聞き流すよりも手立てはないように思います。(昨日TVを見ておりましたら、犬というのは飼い主に叱られるより、無視されるのが一番こたえるそうですね・・・・)
昨年9月の演説の中で、ゼーリック国務副長官は、日中間の歴史認識を巡る対立に対する懸念と(中国の抗日展示のおかしさも指摘していましたが)、合衆国の仲介の必要性(12月の訪中時も何やら話した模様(日経記事)についても言及していましたが、合衆国が仲介役として適任かどうかはさておき、日中・日韓の両者間でこの件をすっきり解消するというのはまず不可能だと思います。

「しなやかな民主主義。揺るぎない人権と言論の自由。公平で公正な市場競争。持続可能な経済発展。かの国がいかに高い経済成長を遂げようとも、到底望み得ないこのような理想や普遍的価値観を示すことに、むしろ日本は専念すればよい。なぜならそれが日本も含めて国際社会が目指してきたことだし、成果もまた上げて来たからである」
その意味では、産経の社説のこの件は慧眼であると思います。麻生外相と屋山太郎氏との対談では、戦後の日本の対外貢献についても述べられていますが、戦後日本が掲げてきた「自由・民主主義」という普遍的価値観を武器に、日本の立場を敢然と主張していくことにパラダイムを転換すべきでしょう。
産経の社説では、日米同盟の戦略的提携・強調の重要性を指摘しつつ、「日米関係もまさに真価が問われる年である」とも述べています。昨年2月の「2プラス2」の共同文書にある、「基本的人権、民主主義、法の支配といった基本的価値の推進」という共通戦略目標の行間を読み、日本ならではの戦略を打ち出せるかがどうかが、日米同盟を米英同盟と並ぶ「もう一つの理想のモデル」にレベルアップできるかどうかの鍵を握るのではないでしょうか。
日米同盟を軍事的な封じ込め手段として捉えるだけでなく、日本ならではのエンゲージメント戦略として活かし、それに米国を巻き込んで行くような「したたかな戦略」も今年の日本外交には期待したいところです。

※写真・・・・昨年の旧正月を祝う花蓮の街角

今年はこれが犬にチェンジされているんでしょうねぇ。

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
民主主義連合を結成せよ (杉並の純一郎)
2006-01-03 15:21:40
最近ようやく自由・人権・民主主義という普遍的価値を戦略とせよとの声が多く聞かれるようになり、結構なことだとは思いますが、アジア・オセアニア地域に民主主義連合を結成し、「万里の長城」の向こうを張って民主主義による「億里の長城」でかの国を取り囲むべきとおもいます。そのためにはインドも大事でしょうがオーストラリア、ニュージーランドがまず先に来るべきと思います。東アジア共同体に担ぎ出され、危うく中国と「みこし」を担ぎそうになった我が日本はかろうじて当該三国を担ぎ出し難を逃れかかっていますが、それで安心してはなりません。大きな輪、億里の長城で、中国を包み込むことが重要です。
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オセアニアは昨年の動きが功を奏した感アリ (tsubamerailstar)
2006-01-03 18:58:15
>杉並の純一郎様



オセアニア、特に豪州との戦略的協調体制の構築については、昨年の↓辺りから目を見張るものがありました。GWの大野・町村コンビの動きが、6月の「アジア安全保障会議」への連携、そして東アジア会議へと結実しましたね。



http://blog.goo.ne.jp/tsubamerailstar/e/316bc100ecaecd42c0010aeb518ff733

http://blog.goo.ne.jp/tsubamerailstar/e/8badbd1488c009cc98d528eeee3a3f41



大中華共栄圏への阻止という形での環太平洋連合の構築(貴殿のお言葉を拝借すれば「海の億里の長城」といったところでしょうか)という海洋国家としての戦略を確固たるものにすべきだと思いますね。

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カモシカも雪崩に遭うそうです (ボッケニャンドリ)
2006-01-04 09:13:35
 風の息づかいを感じろ記事、道路のあちこちにある「余所見するな、注意しろ」的な標語レベルの記事なら誰でも書けますね。



 例えば物を作った事が無い人が書いてるんじゃないのかなぁ、と思うような記事をたまに見ます。もう少し色々な経験をしてから記者になれば役に立ちそうな記事になるんじゃないかと思います。
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遅ればせながら、本年もどうぞよろしくです。 (A/T)
2006-01-04 10:26:25
「犬」は放って置くのが一番こたえる(笑)確かに。

日本の金で軍事施設作ろうとしている「デカい方」はどうしたら良いでしょう。



遅れましたが、本年もまた、内容ぎっちりのブログ、楽しませて下さいませ。

よろしくお願いいたします!

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こちらこそ遅くなりまして! (tsubamerailstar)
2006-01-09 11:58:24
>A/T様



こちらこそ本年度も宜しくお願いいたします。

・・・・シナって何か散々甘やかして人間様と同じだと勘違いしている犬レベルですよね。吠えるだけしか能がないならまだしも、噛み付かれたらたまりませんから然るべき手段を粛々と進めねばなりません。



今年もネタは尽きないかと思いますが、お互いあれこれ考えていきたいものですね!

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