外圧を受ける格好で8月に5%切り上げるより、自ら言い出して7月に2%・・・・これが中国流の面子の保ち方なのかどうかは判りませんが、中央銀行の声明見ると、「人民元の完全フロート制への移行は今後もやりたくありません」というのが本音のようですね。
さて、19日の国防総省の年次報告が上がってきていますが、
◆国際 中国は周辺諸国の脅威 各種軍事作戦可能に 米国防総省(産経)
◆台湾対岸にミサイル最大730基=軍事バランス、中国有利に-米国防総省報告(時事)
◆中国国防費は10兆円=米国防総省推計(東京)
◆中国は長期的な脅威 米報告、軍拡を警戒 (共同)
◆中国の軍事力、長期的には脅威となる可能性=米国防総省(ロイター)
◆China not capable of Taiwan attack: US report(Reuters)
~~~(邦文訳)~~~
時事通信は台湾の対岸のミサイルの数と中台の軍事バランス、東京新聞は国防費の額をタイトルに付けていますが、面白いのはロイター。日本のタイトルが「中国の軍事力、長期的には脅威となる可能性=米国防総省」なのに対して、米国のそれは"China not capable of Taiwan attack: US report"(中国に台湾攻撃の能力なし:米報告書)となっています。まぁ、現時点ではこうだ、というのと将来的にこうなるだろうはコインの両面のような物言いではありますが、記事の内容的にも後者が一番「一見」柔らかい感じなのは興味深いですね。対中脅威論を強攻しようとする国防総省を、国務省が「まぁまぁ」と諫める場面はたまに見受けられますが、マスコミの報道にも、対中面での米国流バランシング感覚が垣間見えるようです。
打てば響くように、中国はこのペンタゴンの報告書に早速噛み付いてきています。
◆中国、米国防総省の報告書に抗議 「脅威ではない」と (CNN)
◆中国、国防総省の年次報告で米政府に交渉を申し入れ(China radio international)
南京30万人大虐殺じゃないんだから、いくら何でも「事実無根だ」「何の根拠もなく」ということはないでしょう。さらに、他国が国内向けに分析・発表したレポートに対して「断固反対する」というのは意味がわからないし、「アメリカ政府に厳正な交渉を申し入れ」という行為こそが、あなた方が言うところの「内政に乱暴に干渉」ということではないのか?
先日の「対米先制核攻撃も辞さず」発言に対しては、「個人的な見解であり、そのような見解を中国政府は了承していない。核の先制使用はしないという中国政府の政策に変わりはない」と言い訳してきましたが、「台湾海峡の問題はあくまで平和的解決を目指す」国家がなぜ対岸に向けてミサイルを3日に1基のペースで増備しているのか?
「反国家分裂法」とか制定する以前に、分裂している頭の中身を整理したらどうなんでしょうね。
さて、米国のロイターの記事では、「まだ確固たる方向付けがなされているわけではない」としながらも、「中国が3つの道へと至る戦略上の岐路に立っている」と指摘しています。
[One path is peaceful integration and benign competition in the world or China would exert dominant influence in an expanding sphere. A third path sees China as a less confident, inward-looking state focused on challenges to national unity and the Chinese Communist Party's claim to legitimacy.]
(その道の一つが世界平和の流れに溶け込んで穏やかな競争力を発揮する道であり、2番目の道が勢力を拡大し、支配的影響力を強める場面だ。3番目の道は、中国の自信のなさの表れ、即ち、国内を展望して国家の結束を脅かす挑戦への対処に焦点を合わせ、中国共産党が合法性を主張する局面だ)
中国が過去やってきたこと、今やっていること、これからやろうとしていることを考えれば、1番目の選択肢は速攻で〝消し〟ですね。2は経済成長の持続が前提、3は経済が失速した場合の想定でしょうか。経済成長がある程度持続しつつも民族ナショナリズム鼓舞や体制維持強化に走る2+3の局面も考えられそうです。
ペンタゴン内部では、中国の軍拡の規模は台湾攻撃を想定する域を超えるものという認識に立っており、私も中国の軍拡に関する報道に関しては、正直今更驚かなくなってきた感はありますが、官民問わずこの期に及んで「日中友好」とかほざいている連中はどういう現状認識をしているのやら・・・・先刻挙げた中国人の分裂した脳内構造と五十歩百歩ですね。
地図を見てみると石垣島から台湾の基隆までは直線距離で200キロ余り。戦闘機なら10分かからない距離でしょう。「対岸の火事」という訳にはいかないのです。連中の頭からは96年の海峡危機何て忘却のかなたどころか、全人代で3月14日に成立した〝台湾攻撃予告法〟の存在すら知らないのではないかと思います。
ちなみに中華民國国防部の演習の動きを見ると、中台危機は96年の海峡危機の延長、即ち、軍事施設や空港等にミサイルを撃ち込み西岸域から揚陸してくると想定しているようです。空港が破壊された場合を想定して高速道路からミラージュを離発着させる訓練をやっていたのが目を引きました。
軍拡とは別の側面で、今後の展開として注視したいのが、共同通信の記事にある、
「報告書は、中国がエネルギー資源確保に向けて中南米や中東、ロシアへの急速な接近を図っていると指摘。エネルギー資源の確保問題が中国の戦略決定上の大きな要素となっていると述べている」
という件でしょう。軍拡に反対は出来ても、「エネルギー資源確保」を反対というのは、さすがの中国に対しても言えないですからね。米国がその辺の舵取りと封じ込めをどうやっていくか。
朝鮮半島~台湾海峡~カシミール~イラン~イラク~パレスチナ・イスラエルへと至る『不安定の弧』からますます目が離せません。
※写真・・・・米国国防総省(ペンタゴン)
中国人は宇宙人がやってきても、「~を要求する」とか言い出しそうですね。
さて、19日の国防総省の年次報告が上がってきていますが、
◆国際 中国は周辺諸国の脅威 各種軍事作戦可能に 米国防総省(産経)
◆台湾対岸にミサイル最大730基=軍事バランス、中国有利に-米国防総省報告(時事)
◆中国国防費は10兆円=米国防総省推計(東京)
◆中国は長期的な脅威 米報告、軍拡を警戒 (共同)
◆中国の軍事力、長期的には脅威となる可能性=米国防総省(ロイター)
◆China not capable of Taiwan attack: US report(Reuters)
~~~(邦文訳)~~~
時事通信は台湾の対岸のミサイルの数と中台の軍事バランス、東京新聞は国防費の額をタイトルに付けていますが、面白いのはロイター。日本のタイトルが「中国の軍事力、長期的には脅威となる可能性=米国防総省」なのに対して、米国のそれは"China not capable of Taiwan attack: US report"(中国に台湾攻撃の能力なし:米報告書)となっています。まぁ、現時点ではこうだ、というのと将来的にこうなるだろうはコインの両面のような物言いではありますが、記事の内容的にも後者が一番「一見」柔らかい感じなのは興味深いですね。対中脅威論を強攻しようとする国防総省を、国務省が「まぁまぁ」と諫める場面はたまに見受けられますが、マスコミの報道にも、対中面での米国流バランシング感覚が垣間見えるようです。
打てば響くように、中国はこのペンタゴンの報告書に早速噛み付いてきています。
◆中国、米国防総省の報告書に抗議 「脅威ではない」と (CNN)
◆中国、国防総省の年次報告で米政府に交渉を申し入れ(China radio international)
南京30万人大虐殺じゃないんだから、いくら何でも「事実無根だ」「何の根拠もなく」ということはないでしょう。さらに、他国が国内向けに分析・発表したレポートに対して「断固反対する」というのは意味がわからないし、「アメリカ政府に厳正な交渉を申し入れ」という行為こそが、あなた方が言うところの「内政に乱暴に干渉」ということではないのか?
先日の「対米先制核攻撃も辞さず」発言に対しては、「個人的な見解であり、そのような見解を中国政府は了承していない。核の先制使用はしないという中国政府の政策に変わりはない」と言い訳してきましたが、「台湾海峡の問題はあくまで平和的解決を目指す」国家がなぜ対岸に向けてミサイルを3日に1基のペースで増備しているのか?
「反国家分裂法」とか制定する以前に、分裂している頭の中身を整理したらどうなんでしょうね。
さて、米国のロイターの記事では、「まだ確固たる方向付けがなされているわけではない」としながらも、「中国が3つの道へと至る戦略上の岐路に立っている」と指摘しています。
[One path is peaceful integration and benign competition in the world or China would exert dominant influence in an expanding sphere. A third path sees China as a less confident, inward-looking state focused on challenges to national unity and the Chinese Communist Party's claim to legitimacy.]
(その道の一つが世界平和の流れに溶け込んで穏やかな競争力を発揮する道であり、2番目の道が勢力を拡大し、支配的影響力を強める場面だ。3番目の道は、中国の自信のなさの表れ、即ち、国内を展望して国家の結束を脅かす挑戦への対処に焦点を合わせ、中国共産党が合法性を主張する局面だ)
中国が過去やってきたこと、今やっていること、これからやろうとしていることを考えれば、1番目の選択肢は速攻で〝消し〟ですね。2は経済成長の持続が前提、3は経済が失速した場合の想定でしょうか。経済成長がある程度持続しつつも民族ナショナリズム鼓舞や体制維持強化に走る2+3の局面も考えられそうです。
ペンタゴン内部では、中国の軍拡の規模は台湾攻撃を想定する域を超えるものという認識に立っており、私も中国の軍拡に関する報道に関しては、正直今更驚かなくなってきた感はありますが、官民問わずこの期に及んで「日中友好」とかほざいている連中はどういう現状認識をしているのやら・・・・先刻挙げた中国人の分裂した脳内構造と五十歩百歩ですね。
地図を見てみると石垣島から台湾の基隆までは直線距離で200キロ余り。戦闘機なら10分かからない距離でしょう。「対岸の火事」という訳にはいかないのです。連中の頭からは96年の海峡危機何て忘却のかなたどころか、全人代で3月14日に成立した〝台湾攻撃予告法〟の存在すら知らないのではないかと思います。
ちなみに中華民國国防部の演習の動きを見ると、中台危機は96年の海峡危機の延長、即ち、軍事施設や空港等にミサイルを撃ち込み西岸域から揚陸してくると想定しているようです。空港が破壊された場合を想定して高速道路からミラージュを離発着させる訓練をやっていたのが目を引きました。
軍拡とは別の側面で、今後の展開として注視したいのが、共同通信の記事にある、
「報告書は、中国がエネルギー資源確保に向けて中南米や中東、ロシアへの急速な接近を図っていると指摘。エネルギー資源の確保問題が中国の戦略決定上の大きな要素となっていると述べている」
という件でしょう。軍拡に反対は出来ても、「エネルギー資源確保」を反対というのは、さすがの中国に対しても言えないですからね。米国がその辺の舵取りと封じ込めをどうやっていくか。
朝鮮半島~台湾海峡~カシミール~イラン~イラク~パレスチナ・イスラエルへと至る『不安定の弧』からますます目が離せません。
※写真・・・・米国国防総省(ペンタゴン)
中国人は宇宙人がやってきても、「~を要求する」とか言い出しそうですね。
国防総省の年次報告と中国の反応に関して、楽しく読ませて頂きました。
RSSさせていただきますので、今後ともよろしく。
エネルギーに比べると、食料の面はまだあまり出ていません
よね。
いろんな意味で食糧問題の先行きを楽しみにしていたりしま
す。w
中国の存在が原油高の一因でもある訳ですが、下手すると日本の10分1程度かもしれませんね。(汗)