私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

台湾海峡波高し?~ペンタゴンも中国をファシスト国家と認定

2005年07月02日 | 極東情勢(日本とその周辺)

ローカル・ニュースを見るたびに、ダムの貯水率が気になって仕方がない今日この頃・・・・台湾の中南部や新潟などでの豪雨の被害は耳にしておりますが、もう少しバランスが取れないものだろうかと思います。こちらは今日は恵みの雨ですが、〝有事体制〟を念頭において節水に努めたいものです。水がめの危機は一時的なもの(であって欲しい・・・・)ですが、米中両国という二つの変数はこのところずっと動きっぱなしで、その振幅の幅が拡大している感は否めません・・・・

 ◆中国軍の拡大・増強 2年以内の「台湾制圧」能力保有目指す 米紙報道(産経)
◆沖縄海兵隊の戦闘部隊、米「移転困難」(読売)

産経の記事は、何とも衝撃的な見出しです。米国は「台湾関係法」で台湾(中華民國)を武器輸出のお得意さんとしてキープしており、〝商売〟のために不安を煽るような物言いをしがちですから、多少割り引くとしても、やれ空母だミサイルだと中国の軍拡のペースが加速しているのは否めない事実であり、中国の新型SLBM発射実験のわずか一週間後に、台湾側に対し、早期警戒レーダーを提供する意向をペンタゴンが表明するなど、キムチ臭い、否、きな臭い動きは見受けられますね・・・・
産経の記事には、「その一方、米国側の国防総省ではいまの中国が経済力の強さや民族主義の過熱、軍事志向、独裁政治などの諸点で、第二次大戦前のドイツに酷似しているとの見方が広まっているとしている」とありますが、その部分 The Washington Times, America's Newspaperにはこう書かれていますね・・・・(昨日知人からしょうもない電話が掛かってきたので、適当にあいづち打ちながら邦文訳しておりました。2時間近く話していたのか?)

 [The combination of a vibrant centralized economy, growing military and increasingly fervent nationalism has transformed China into what many defense officials view as a fascist state.
"We may be seeing in China the first true fascist society on the model of Nazi Germany, where you have this incredible resource base in a commercial economy with strong nationalism, which the military was able to reach into and ramp up incredible production," a senior defense official said.]
(厳格に中央集権化された経済、増大する軍事力、そして、ますます加熱する民族ナショナリズムが組み合わさり、中国は、多くの国防総省職員がみなすところの、ファシスト国家へと変貌を遂げた。
「我々はナチス・ドイツに倣った最初の真のファシスト社会をこの中国に見ていると言えるかもしれません。」と、国防総省高官は言う「強固な民族ナショナリズムに裏打ちされた市場経済の中に信じ難い源泉を持ち、軍拡も恐るべき勢いに達しました」)

 ・・・・古森さん、もっとずばっと書かないと、平和ボケした日本人や利敵行為に走る政治家は気づかないと思いますよ!
 さて、産経の記事では「大規模な攻撃」、読売の記事では「小規模な攻撃」を想定した内容が書かれていますが、何れの場合にせよ、米軍がどの段階で、どう動くか、が鍵になります。(The Washington Timesの記事では、米中衝突の場合、米国軍が石油やガスといったエネルギー資源を締め上げる手段に出ると指摘されており興味深いです)
 米国側が露骨に台湾側を引き寄せて、対馬海峡~台湾海峡の〝アチソンライン21〟といった対中封じ込め体制(日米台、安保トライアングル体制)を敷くことは、台湾(中華民國)の国家(独立)承認、つまり米国から進んで中国に喧嘩を売ることを意味しますので、ちょっと想定しづらいシナリオです。米国にとっての台湾は、あくまでも対中牽制カードであり、
「中国の武力侵攻には反対するが、台湾の独立も支持しない」
が朝鮮戦争以来一貫して変わることのない、掛け値なしの本音でしょう。何れの場合でも、中華民國(台湾)軍の反撃を陰で支援し(これまた、〝援蒋ルート21〟みたいですが・・・・)、中華民國軍の形勢がかなり不利になった段階(因みに、国防部は中台の軍事バランスが、中国2.87対台湾1に開いた場合、上陸を許せば持ちこたえられるのは二週間と試算しています)で米軍が動くという構図を取る可能性が高いように思います。そう考えると、中国側からの軍事攻撃までは少なくとも〝二つの中国〟体制が続き、台湾の西岸地域を中心に少なからぬ被害が及ぶ(勿論、中国の沿岸部もかなりの被害を覚悟せねばなりません)ことが予想されますから、ちょっと戦慄を覚える次第ではあります。

 The Washington Timesの記事中では、中国の軍拡が台湾攻撃を想定した規模をはるかに凌駕しているという米側の分析が書かれていました。「台湾関係法」の第二条B項(2)には、
「平和手段以外によって台湾の将来を決定しようとする試みは、ボイコット、封鎖を含むいかなるものであれ、西太平洋地域の平和と安全に対する脅威であり、合衆国の重大関心事と考える」
とありますが、「合衆国の重大関心事」というのは、結局のところ、

 [to reach out and touch parts of the United States -- Guam, Hawaii and the mainland of the United States]
 (グアムやハワイといった米国の一部に達し、ひいては米国本土に達すること)

 というヘスター司令官の言葉に収斂されるように思います。

 PS:おっと、ここまで書いたところで、
◆中露が来月合同軍事演習、台湾武力行使を想定?(読売)
沖縄の件は、「海兵隊移転が困難」ということを説明するために、取ってつけたように台湾を持ち出したような印象を受けましたが、やはり海上での大規模軍事演習の装いで戦力を集結させて・・・・という人海戦術揚陸作戦か?
◆中国、第4四半期に石油備蓄を開始=国家発展改革委(ロイター)
「備えあれば憂いなし」ということか・・・・

※写真・・・・二二八和平公園から新光摩天楼展望台を望む

この構図が何だか気に入りました。


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6 コメント

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Unknown (月影)
2005-07-02 21:26:54
トラックバックありがとうございました。

アメリカのどっちつかずの対応は気になりますね。日本は独自の外交路線を取らなければならないのですが、現状では何もかもアメリカ頼み。本当にもどかしいです。

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Re: 台湾海峡波高し? (遊爺)
2005-07-02 23:34:22
 トラックバックをありがとうございました。

 丁度、中台問題について考える機会に遭遇したところでした。

 長くなりますので、トラックバックさせていただきます。

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月影様 (tsubamerailstar)
2005-07-03 00:31:25
79年の米華断交後も米国は「台湾関係法」という国内法で、ご都合主義的な二重外交を堂々とやっていますが、台湾側からそれを謝絶するわけにもいかない、つまり、米国に依存せざるを得ない構図というのは、戦後一貫しているんですよね。勿論日本とて他人事ではありませんが・・・・

穿った見方をすると、MD構想も、日本の防衛、また防衛予算をそこに向けさせることで、米国の核の傘からの離脱を防止するという深謀遠慮が働いているような気もします。

実際問題、4割程度の負担をして開発に携わっても肝心の技術面はブラックボックスのまんまだろうと思います。昔付き合わされたSDI構想も結局雲散霧消でしたねぇ・・・・

と、言うより素朴な疑問として、MDって気休めにしかならんような気がするんですよね。

成層圏で迎撃し損ねたミサイルを地上付近で撃ち落すPAC3だって、カバーエリアは大都市に限られるでしょうし、ホンマに当たるんかいな???

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はじめまして ()
2005-07-04 22:12:32
TBありがとうございました。

3つもいただき、非常に参考になりました。

お時間がございましたら、他の拙文もご覧ください。
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台湾への攻撃可能性 (蓬莱の島通信ブログ)
2005-07-13 12:21:36
コメントありがとうございます。日本から帰って今日13日からPCを開きました。ご指摘の読売の記事を日本に帰ったとき読んで、中国による巡航ミサイル開発からいえば、台湾沖縄などへの通信施設などへのピンポイント攻撃と空挺部隊や工作員などによる奇襲攻撃を、今後10年は最も警戒する必要があるかもしれないと思いました。台湾の総督府も防禦を真剣に考えないといけないかもしれません。今後、戦争の危険性は、ますます高まりますね。
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切り札はイージス艦 (tsubamerailstar)
2005-07-18 13:12:36
蓬莱の島通信ブログ様、よい休日を過ごされましたでしょうか?



>台湾沖縄などへの通信施設などへのピンポイント攻撃と空挺部隊や工作員などによる奇襲攻撃を、今後10年は最も警戒する必要があるかもしれないと思いました。台湾の総督府も防禦を真剣に考えないといけないかもしれません。今後、戦争の危険性は、ますます高まりますね。



96年のミサイル危機時に中国が何を想定していたのかをよく検証する必要がありそうですね。

中華民國国防部も四月に西岸地域に人民解放軍が上陸したことを想定する大規模演習を実施しました(ミラージュ2000を高速道路から離発着させたのもこの時でしたっけ?)が、この地域の被害はある程度覚悟しておく必要があると思います。それと金門・馬祖ですね。

ここは米華相互防衛援助条約時代から、米国は防衛対象から外しておりました。台湾有事の際の米軍の動きはかなりグレーで実際その時まで読めないと思いますが、金門・馬祖に対しては動かないものと思われます。



いよいよ米国がイージス艦を売る段階に入ってきたかな、と思います。米第七艦隊との共通運用やデータシェアリングも可能ですから次のお買い物はこれに尽きると思いますね。

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