私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

NYフィル、平壌から「新世界」

2007年12月12日 | 極東情勢(日本とその周辺)

昨年の11月、大分全日空ホテル近くのラーメン屋に入ったところ、外人客が占拠していて〝Occupied Japan〟な感覚に陥ったことがあります。ニューヨーク・フィルハーモニックの楽団員らが、公演前にラーメンやら餃子やらを食べていたのですが、餃子も含めてきっちり割り勘で代金を支払っていたのは何だか可笑しかった・・・・

◆Philharmonic to Perform in North Korea(New York Philharmonic)
◆New York Philharmonic to Play In N.Korea: Paper(New York Times)

<On December 11 the New York Philharmonic announced that it will give the first-ever performance by an American orchestra in the Democratic People's Republic of Korea, on February 26, 2008. The concert — the centerpiece of a 48-hour visit that will include master classes and a rehearsal open to music students — will immediately follow Asia 2008, a tour to Taiwan, Hong Kong, and China. Following the historic North Korea performance the Orchestra will travel to Seoul to give a companion concert on February 28 before returning to New York.>
(ニューヨークフィルハーモニックは、2008年2月26日に朝鮮民主主義人民共和国でアメリカ初のオーケストラ公演を行うと11日に発表した。平壌公演(48時間の滞在中の音大生への指導やリハーサル公開も特記すべきものである)は、アジア2008(台湾、香港、中国を訪問)の後に行われる。歴史的な北朝鮮公演を終えた2月28日、同楽団は合同演奏会を行うために、ニューヨークに戻る前日ソウルを訪問する)

<Our Music Director, Lorin Maazel, will conduct a program that will include Gershwin's An American in Paris and Dvořák's Symphony No. 9, From the New World, of which this Orchestra gave the world premiere in New York in 1893. The concert will commence with the national anthems of the Democratic People's Republic of Korea and of the United States of America. During our 48-hour visit, February 25–27, 2008, we expect to welcome students to an open rehearsal, and we are working on arranging for New York Philharmonic musicians to give master classes at the music conservatory in Pyongyang.>
(音楽監督のロリン・マゼールは、ガーシュウィンの「パリのアメリカ人」や、当楽団が1893年にニューヨークで世界初演を行ったドヴォルザークの交響曲第九番「新世界より」等の演目を指揮します。コンサートは、朝鮮民主主義人民共和国、ならびにアメリカ合衆国の国歌で始まります。2月25日から27日迄の48時間の滞在の間、公開リハーサルに学生を迎え入れたり、楽団員が平壌の音楽学校の学生を指導することも計画しています)

10月頃でしたか、楽団事務局筋が平壌の宿泊施設やらホールやらを調査に赴いていましたので、あらま本気でやる気なんだなとは思っていましたが、演目は平壌公演のみ別仕立てのようです。(北朝鮮は「新世界」というより、「別世界」という気がしますけど・・・・)
NYフィルの「亜州2008」ツアーも、台北(11~12日)、高雄(13日)、香港(15~18日)、上海(20~21日)、北京(23~24日)公演に、平壌(26日~27日)、ソウル(28日)が加わり、随分大掛かりなものとなりますが、日本を絡めない極東ツアーというのも隔世の感が・・・・(同楽団は昨年東京、神戸、大分、ソウルを訪問)
指揮者のロリン・マゼール氏は「国連平和友好大使」だかの称号を持っているので、大役(?)
に適任であるとは思います(本人も、まんざらでもないでしょう)が、今回の北朝鮮訪問の費用はいったいどうやりくりしたのやら。ただでさえギャラの高いオケなのに、平壌の1回の公演のためにチャーター機(アシアナ航空とは!)を仕立てて北京からソウルまで移動するわけですから、相当なもんだろうという気がします。同楽団のソ連訪問時(59年)と違い、国務省は費用面での助成は行わないようですけどね・・・・
平壌公演の実現に際し、楽団側は合衆国国歌の演奏とTV中継(ステレオ放送ではないんだろうな)を条件としたようですが、実際問題平壌の演奏会場に足を運べるのはどういう〝階層〟なのやら。平壌でのチケットの価格は不明ですが、

・北京:30000円~4200円
・台北:42000円~5400円
・東京:29000円~9000円(06年)
・大分:20000円~9000円(06年)
北京や台北のチケット代もとんでもない価格ですから、平壌も推して知るべしといったところですね。(そもそも一般発売があるのか?)

<"It would signal that North Korea is beginning to come out of its shell, which everyone understands is a long-term process," Christopher Hill, the Bush administration's lead negotiator with North Korea, told the newspaper."It does represent a shift in how they view us, and it's the sort of shift that can be helpful as we go forward in nuclear weapons negotiations.">
(「対北交渉は時間がかかると思われていますが、(平壌公演の実現は)北朝鮮が殻から抜け出し始める兆候となるでしょう」と、クリストファー・ヒル氏(ブッシュ政権での対北交渉の主導者)は報道陣に述べた。「(公演の開催は)北朝鮮の合衆国に対する見方に変化をもたらすでしょうし、それは核問題の協議を推進するうえにおいても有益な類のものです」)

ヒル次官補は平壌の演奏会場への臨席も予定しているようですが、公演の開催も後戻り出来ないタイミングとなり、2月26日まではそれなりに胃が痛い日々が続くのではないでしょうか。
音楽が平和に結びつくのであればご同慶の至りですし、中台問題も含め、NYフィルの「亜州2008」が<不安定の弧~極東の火薬庫ツアー>とならないよう祈りたいと思います。(私自身は台北か高雄公演を聴きに行ってみようかと・・・・)
 
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