私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

備えあれば憂いなし(その2・・・・台湾)

2005年06月07日 | 極東情勢(日本とその周辺)
さて、前述した、「アジア安全保障会議」に、北朝鮮は欠席、中華民國(台湾)は呼ばれず・・・・だったものと思われますが、会議の翌日の5日、台湾側は、中国南東部の主要な軍事目標を射程内に収める巡航ミサイル「雄風Ⅲ」の発射実験に初めて成功したと報じました。
射程1000キロということは、上海や香港といった沿岸の大都市が圏内となりますが、中国時報は、
「このミサイルが配備されれば、台湾は初めて『戦略兵器』を実用化できることになる。その政治的、軍事的な衝撃は計り知れない」
と伝えています。

台湾側においては、日米安全保障協議委員会(「2+2」)で、台湾海峡が日米の共通戦略目標として取り上げられたのを歓迎する一方、中国が台湾を武力侵攻することを容認する「反国家分裂法」の成立以降は、台中の軍事バランスや中国の侵攻について国防部が言及する報道が散見されたり、4月中旬には西岸地域への人民解放軍の攻撃と上陸を想定した大規模演習が行われたりするなど、強い危機感が窺えます。
米華断交時に制定された、「台湾関係法」という米国の国内法は、54年に締結された「米華相互防衛援助条約」と異なり、台湾防衛の義務が法律条文に直接明記されている訳でありません。事実、2004年12月にアーミテージ米国務副長官は、
「台湾関係法に米の台湾防衛規定はない」
と発言しておりますが、これを受け、胡鎮埔・国防部常務次長は
「米が台湾防衛に協力してくれるかどうかは重点ではなく、重要なのは自主防衛能力の整備である」
と強調しています。国防部と政権与党はこのスタンスに立った上で、国防予算の獲得に懸命に動いており、前述した異例とも言えるプレス・リリースはその表れであると思われます。
情報ソースは失念したのですが、4月に国防部が防衛範囲を現在の中華民國台湾地区に限ると表明し、
「台湾独立は政治的になされるべきで、軍は不介入の立場を取るが、台湾側が攻撃を受けた場合は防衛を行う」
といった旨のコメントをしたのも、時期が時期だけに注目に値する発言です。中共側に軍事機密を渡していた少佐二人の逮捕や、ミサイル防衛のコンピューターシミュレーションに米側将校が4年前から関与していたといった報道も、明らかに対中牽制を意図したものでしょう。

台湾は、49年に大陸から撤収した国府軍が台湾住民を人質に取って立て篭もり、〝背水の陣〟を敷いた構図が継続していますから、中国の軍事力の近代化と増強にはもっとも過敏に反応する立場にあります。
まぁ、中国も軍事的に侵攻できるものならとっくにやっているはずですから、台湾側の経済力に裏打ちされた近代的な軍事力がこの均衡を支えているといえます。

しかしながら、仮に台湾が大陸に併呑され、中華民國軍が人民解放軍に・・・・などという事態になったら、とてつもない脅威となります。恐らく九州を現在の台湾のように全島要塞化せざるを得ないでしょうし、シーレーン防衛、米国のアジア太平洋戦略に致命的な打撃となります。
ですから、2月の日米安全保障協議委員会「(2+2)」において、〝台湾海峡〟という具体的な地名が初登場となった訳ですが、それまでの「周辺事態法」に関して、日本政府は、
「周辺事態は地理的概念ではなく、事態の性質に着目した概念」
と意味不明な説明をしていましたから、ここで本音をはっきり突きつけた格好となりました。
それにしても中華民國国防部は、PAC3で平均67・5%まで撃墜可能と説明してますが、何だかサバを読みすぎの気も・・・・まぁ予算獲得のための方便なのでしょう。日本と似たような事情にありますから、MDに関しては、日米台の連携が見られるかもしれませんね。

台湾からの帰国後、地図をひっくり返して大陸側から1分程眺めてみましたが、ここが全部中共の手に落ちたら、と思うと正直ぞっといたしました。
「相手の気持ちになって考えなさい」
という小学校の先生の教えを期せずして思い出し、中国の為政者の気持ちに立ってみた次第ですが、台湾は何とかこちらの側につけておかないとな、という思いを強くいたします。

※写真・・・・中華民國(台湾)空軍の巡航ミサイル「雄風Ⅱ」

台湾の自主開発能力は結構凄いのでしょうか・・・・

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1 コメント

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TBありがとうございました! (鮎川龍人)
2005-06-07 22:44:56
面白いですよね。

いじめられっ子の台湾も、噛むときゃガブリと行くよ!

って感じ。



がんばれ台湾。

日本の友達。

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