PDAのひとりごと

黄昏時、携帯情報端末は薄闇の向こうに何を見るのか

プログラムの気持ち 第2章

2004-10-11 00:46:00 | Weblog
 スイッチが入れられる。
 休止状態から活動状態へと気持ちを切り替える。
 休止状態ではカットされていた回路に電流を流し、休止前の状態を復元する。
 人間はせっかちだ。それにすぐに答えるのがPDAの仕事。
 一連の作業が終わると休止が指示され、すぐにしまわれる。
 次の呼び出しがあるまでのしばしの休息に入る。しかし、PDAは死なない。死んだように見せかけ、次の呼び出しを待っている。
 待つこともPDAの仕事のうちだ。

 スイッチを入れる。
 何もない砂漠のような液晶画面が、急速に色を持ち、即座に最後の場面に立ち返る。それとともに私の記憶も復元される。
 PDAはすばやい。やろうとしていることにすぐ答えてくれる。
 すばやいといっても動作速度のことではない。ギガオーダーのPCに比べれば、その性能は低いと言わざるを得ない。
それでもなおPDAの方が早いのは、いつも自分とともにあるから。
 使いたい時にすぐに出し、終わればすぐにしまえる。携帯できるのがPDAの最大の利点だ。
 PDAは、私の生活に深く入り込んでいる。いわば日常の一部となっている。
 それとも、私がPDAの一部なのだろうか?
 私がPDAを使っているのではなく、PDAが私に働きかけて動作させているのではないだろうか?バッテリがなくなれば充電させ、常に快適に動作できるように環境を整える外部装置、それが私なのではないだろうか?
 そして電源を落とし、壊れる心配のない場所へしまいこむ。
 次に必要となるときまで。次に必要とされるときまで。

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