Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

軽い車両と重い車両

2007-12-09 13:20:46 | つぶやき
 毎朝乗車するクハ312系の電車は、飯田線にしてはめずらしくお払い箱ではない車両である。座席の数からすると、従来のものより少し少なめなのかもしれない。だからといって座れる客が少なくなるというわけではない。松本市域の電車に乗っていると、混雑していれば空く席がないほどみな詰めて乗車してくれるが、飯田線あたりでは高校生が多いからなかなかそうもいかない、などということを前にも触れた。ようはたとえ席が空いていても、その空いた席が埋まることは必ずしもないということなのだ。その要因のひとつとして、相向かいの4つの座席、1人座っていてもそこへ見ず知らずの人がさっと座るとは限らない。2人座っていたら、さらに2つの空席が埋まりにくくなる。4つもあってもせいぜい2つともなると、その着席率は低いことになる。ところがこの車両、座席を裏表にして向きを変えることができるから、相向かいではなく、2人がけ座席を増やすことができる。不思議なもので、あい向かいの4座席の空白には入りにくいのに、2人がけの空白ひとつには入りやすいのだ。

 車掌さんは、乗客が少なくなると、あい向かいになっている座席を進行方向に向けて直してゆく。できるだけ2人がけ状態の空間作りをしているわけで、もともとのこの車両の意図するものは多くの乗客に利用してもらうという意図があったに違いない。

 新しい車両だけに、乗客が少ない状態で駅に停まり、1人の乗車客でも車両がけっこう揺れる。車体が軽いのだろう。例のJR福知山線の脱線事故でもわかるように、事故では跡形もなくつぶれてしまうかもしれないが、もともと電車での事故は少ない。守られた空間を走っているということもいえるのだろうが、こうした軽量化は、山間の、またカーブの多い路線ではメリットが多いのだろう。従来の重そうな電車に比較すると、ずいぶんと動きがスムーズである。わたしが乗車して駅を出ると、しばらくは上り坂となる。ところがその上り坂を、自動車でいえばターボ車に乗っているように背中を押される雰囲気で加速してゆく。明らかに、従来型車両ではない走りである。ということで乗っていて快適な空間ではある。しかし、休日の乗客の少ない際には、従来型の重そうな車両がまったくのローカルイメージを醸し出す。わたしはまだ特急「伊那路」というやつに乗ったことはないが、おそらく観光客向きなのだろうが、やはりこのとんでもなく鈍い路線には、そんな従来型の車両が似合う。

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