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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

西春近小出1区上村の道祖神

2022-03-24 23:03:16 | 民俗学

小出1区上村の道祖神

 

 伊那市西春近の小出1区は、小黒川の南側すぐの集落である。広域農道にある「山本」信号の南東にある小さなまとまりがその小出1区の上村である。その四辻の一角に石神を祀った空間がある。目立つのは昭和の「庚申」と「甲子」である。昭和55年の庚申年と同59年の甲子年に建てられたもので、上伊那の特徴ある風景であるが、それを知っている人もだいぶ少なくなった。以前にも触れたとおり、昭和55年は1980年。次の庚申年は2040年となる。このまま令和のまま進めば令和22年がその年にあたる。すでに20年を切っている。果たして次の庚申年はどうなるか、あと10年もすると世間は騒がしくなるのかもしれない。建てるのか、建てないのか、と。

 それら昭和の造塔碑の前に控えめに建てられているのが道祖神である。向かって右端にはっきりしないが、ずんぐりむっくりした石は双体道祖神である。像容も風化によってはっきりしないが、幣束を持っているようだ。年銘はなく、その造立年ははっきりしない。向かって左側にごろごろしている石が、いわゆる自然石道祖神、奇石である。まさに「ごろごろしている」という感じで、知らない人はこれを道祖神だとは思わない。どのような石が「道祖神」に昇格するのか、この石を見ていると何とも言えないが、いずれにしても「ごつごつしている」石が好まれるようだ。

 祀られている石の手前にも敷石のように石が見えるが、これは境界石にあたるのか、今でいうなら車道と祭祀空間を分けている石になるが、車のなかった時代ならもう少し違う意味があったのかもしれない。


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