
自衛隊、離島奪還訓練を実施
2012年10月14日(日曜日)読売新聞朝刊2面
日米両政府は、11月に沖縄県那覇市西方60キロにある無人島で離島奪還訓練を実施する方向で調整に入った。訓練は、「特定の島」を想定したものではないとしている。米海兵隊と離島奪還の訓練するなら、それこそ太平洋の島で実施すれば薀蓄を吸収できる。そうはいかぬのは中国軍に尖閣諸島を占領された場合を想定したからだ。中国軍は米軍は手強いと見ているが、米軍の支援を受けない自衛隊は一部、優秀な兵器を装備しているが、所詮、“張子の虎”との見方をしている。当面は時期が熟すのを待ちながら日米離間を図り、孤立した日本を“料理”すればいいのであり、息の長い長期戦を仕掛けている。自衛隊の“勇ましい”訓練も一応、訓練にはなるが、中国の戦略、戦法を変えることはなさそうだ。軍事作戦には素人に過ぎない長島昭久の思い付きなのであろう。10月13日の東京新聞によれば首相は慎重であったが最終的には了承したとある。野田首相の考えの無さも明らかだ。
勇ましいだけで領土・領海は守れるのか
①「国土の11倍、世界6位の排他的経済水域を持つ日本にとり海洋の安全は何より重要である。太平洋戦争での日本の敗北の理由の一つは連合軍による通商破壊だった。現在も日本の貿易の99・6%が海上輸送に頼る。今後とも海上保安庁、海運業界、各国海軍と協調して海洋の安全に努力していかねばならないが、国内外の体制は大丈夫なのか。
②尖閣、北朝鮮、海賊など自衛隊と海保の分担が分からない問題が増えている。海保の現有勢力で中国の挑発に対処するためには能力の限界がある。自衛隊と海保の役割分担、連携は国を守るため十分な体制になっているのか。
③海上自衛隊はアフリカ近海で海賊に対する警備行動を行っている。海賊に対抗するため外国は商船に海賊ガードを乗せているが、日本は乗せていない。日本船も海賊に対抗する手段が必要だ。
④尖閣諸島防衛のため戦後、日本が初めて軍事衝突を経験するかもしれない。海上自衛隊は中国軍に対抗しうるのか。戦は勝つために行うべきであるが、平素から人・物・カネを有効に使い、防衛力を整備しているのか。政治家は予算を10年以上連続削減して国の防衛が出来るとでも考えているのか。
⑤中国海軍は第2列島線への進出を目指している。中国海軍が太平洋に出て、そこで何をしているのか、常時監視できる態勢が整備されているのか。
⑥尖閣諸島を巡って、現在、日中は消耗戦に入っている。海保はこの先半年、1年と対処できるのか。今後、日本の政治が機能しない時を・・・・・国会の解散などで・・・・・狙って中国の魚船等が100隻、数百隻と来て、日本が海上警備行動を発令すれば、中国の海軍艦艇がやってきて戦争になる。このような事態を政治家は考えているのか。日本政府は機能するのか?日本は戦えるのか?
⑦日米で侵略に対処すると仮定しても集団的自衛権を行使できるよう法律も改正されていな状況下で、日米共同作戦が円滑に出来るのか。また、防衛予算が毎年削減されている。海・空自衛隊を増強するため高額な兵器・装備品を購入すれば、陸上自衛隊に配分される予算は年々減少することになる。 表面的には“勇ましい”離島奪還作戦を訓練しても、“本番”で奪還作戦を実施する陸上自衛隊は、戦力の“厚み”がないため、1ラウンド、1回戦の戦いは可能であっても、何回戦も続く戦いに堪えうる継戦能力が無い。これをどのように考えているのか。
⑧日本が海洋立国であることを日本人は・・・・肝心の政治家が・・・・・知らない。国民は関心が無い離島で“戦争”することに堪えられるのか。海洋の自由航行の価値観を中国と共有できるのか。出来なければ武力衝突にいたる可能性がある。自衛隊の活動は国民に見えにくい。海で今何が起きているか、国民は事態を正しく理解しているのか。
国民が離島奪還作戦の必要性を理解し、支持するための教育や広報は実施しているのか。国民が戦うのを “やめたら” というような風潮の中で自衛隊だけに「身の危険を顧みず」戦えと誰が要求するのか。自衛隊に、これを求めるのは誰だ。逃げずに責任を取る覚悟を持った人物が日本にいるのか。
かっこいい離島奪還訓練も現実を直視しない、防衛オタク・・・・たぶん防衛副大臣に就任して嬉しさ百倍の長島昭久あたりの考えだろうか・・・・・の“お遊び”、見世物に過ぎない。
日中の戦争遂行の体制、準備状況をざっと見ただけでも、“離島奪還”を叫ぶ前にやるべきことが山積している。“お遊び”をしている暇は無い。
島嶼奪還を言い出す前に宣伝戦はどうなっているのだ!
(その1)尖閣 日中「宣伝戦」、国有化1ヶ月
2012年10月12日(金曜日)読売新聞朝刊3面
日中の宣伝戦、中国は米国主要紙への意見広告や国連総会で日本が尖閣諸島を「盗んだ」、「第二次世界大戦後の国際秩序への挑戦」と位置づけ第二次世界大戦中同じ連合国側にいた米国をはじめとする国際世論を日本から離れせるための演説を行った。
これに対し、日本は「関係国へ説明検討」する段階で、これから“宣伝”するらしい。日本は中国との宣伝戦で、宣伝する“場”の選択でも、対象選びでも出遅れ、泥縄の対応を迫られている。
(その2)中国、IMF・世銀総会を欠席は「尖閣」に対抗と明言
2012年10月11日(木曜日)読売新聞朝刊2面
中国はIMF・世銀総会に欠席することにより参加183カ国に尖閣諸島を巡って日中間に領土問題が存在することがアピールできただけでなく、世界経済に占める中国の重要さ合わせて印象付けることができた。
(その3)中国、日中韓の中銀シンポ欠席、城島財政相 「尖閣は領土問題」
2012年10月11日(木曜日)読売新聞朝刊2面
中国は日中韓3カ国のシンポジウムも欠席した。総会をボイコットする中国のやり方に「大国らしくない」、「英国や他の国が100年前行ったのと同じことをしている」等の批判がでた。
当の中国は、そのようなことには無頓着だ。”戦争”は体裁の問題ではない。中国は米国の識者らに対し日本が譲歩するよう、米国からも促してもらいたいとの狙いで「このままでは日本との衝突も辞さない」という主旨のメッセージを送り続けている。
ところが、IMF・世銀総会の主役、城島財政相は「尖閣は領土問題」と発言した。「領土問題は存在しない」という政府の見解と逸脱しているが、素人大臣の“面目”躍如である。
野田内閣の領土問題に対する組みは、内閣としての一体性、一貫性が欠けていることを参加183各国に “アピール” できた。日本の政治家が主権や領土について真剣に考えていないことを曝け出した、“オウンゴール”とはこのことをいうのだろう。
(その4)この副大臣もドジだ! 「竹島 提訴慎重対処」
2012年10月12日(金曜日)読売新聞朝刊3面
副大臣吉良州司は商社マン出身であるから、外交問題を経済のそろばん勘定だけでとらえて発言している。TPPはメリットだけを述べる人物だ。国家の主権や領土を守るということは埒外なのであろう。経済的関係を優先したいということか。
(参照)どうなっているのだ、外務副大臣「竹島単独提訴見送りも」と勝手発言、内閣の体をなさず辞職すべきだ! (2012-10-12 23:47:58
(その5)首相はもうギブアップ、 鷲尾政務官を尖閣発言で注意
2012年10月11日(木曜日) 読売新聞朝刊4面
野田首相は石原慎太郎に煽られ尖閣諸島を「国有化」したが、中国の反発に為す術なく、ギブアップの体たらくだ。 外交安全保障について“会議”で談論風発、好き勝手なことを言っても、城島財政相、吉良外務副大臣、鷲尾農水政務官も皆、外交経験はおろか省庁勤務の経験もないので、自己の立場、影響を考えた行動ができない。 政務三役の職務をこなすことで精一杯、国益を考えた分別ある行動は期待できない。
(参照)The Economist IMF総会、お粗末な主催国 ...
(参照)鷲尾農水政務官 尖閣「中国所有でもいい」、IMF世銀総会前の財政相交代、これはないだろう野田内閣 2012-10-10 09:19:50
(その6)IMF総会閉幕、招致した日本の成果は?
2012年10月14日(日曜日)読売新聞朝刊1面
IMF・世銀総会は10月14日、共同声明を採択して閉幕した。共同声明の中で日本に対して「今年度予算の財源確保」を取り上げた。赤字国債発行のための特例公債法案が政争の具と成り続ければ、日本経済の先行きは不透明化するとの警告を発した格好となった。
換言すれば、与野党とも瑣末なことで言い争っていないで、まともな政治をしたらどうかとイエローカードを突きつけられた。
“勇ましい”訓練よりも先にやるべきことがある
IMF・世銀総会はエジプトは「アラブの春」の混乱で開催が危ぶまれたのを急遽、日本が招致して実現したが、参加183カ国に向かって日本は何をアピールしたかったのか。ただ単に会議の場所を提供し、中国が参加各国に尖閣諸島の領有権を巡って日中間に問題が存在することをアピールさせる機会を提供した結果に終った。
日本は関連イベントが仙台市で開催され「復興する日本を評価された」が、他に何があったか。98億円の経費をかけたが、直前に主役である財務大臣を交代させ、この間、大臣、副大臣、政務官が領土に関して自分勝手な発言をし、更に特例公債を政争の具にしている 政治の貧困 を各国に印象付けることになった。内閣の構成員が主権や領土について自分勝手な発言をせぬよう大臣以下各政務官に対する “教育” を徹底するとともに、中国との持久戦のどのように対処するか戦略を持つことが不可欠である。
防衛省は日米共同の離島奪還訓練を実施する予定だが、国として、その前に為すべきことが山積している。 ところが肝心の野田内閣は、頭の無い生き物のようなもので、頭が無く手足だけが勝手に動いている。
これでは、戦はできない。
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