生産技術科の一日

設計・製図・加工・制御・・・メカニカルエンジニア達の記録。現在名・・・メカニカルエンジニア科

価値生産方式(20)現場での価値生産

2006年01月16日 | 2005
それでは製造現場での指標の具体的な使い方を紹介します。

私たちが野菜の直売を行っても、種を買って、肥料を作り、草をむしって、収穫して、箱につめて、運送し消費者に買ってもらいます。

たとえば、100本のダイコンを100円で売っても、運送費や種代(材料費)を払えば、いくらも残りません、その残りが実はダイコンを作るためにかけた作業時間の報酬になります。

100円でダイコンを売るか、300円で出荷できるダイコンを作るか、人によって方針は様々です。

ところが100円で出荷するダイコンの場合は作業時間を少なくして大量に作ることで何とか利益がでます。

利益を出すためには、計算が必要です、また出荷の度に損益を計算する事になります。ところが細かい計算は作業をする人には、あまり関係がありません。

でも100本では赤字になり、200本では4000円の利益があるとわかれば
人は200本を継続して出荷するように労力や知恵を使います。

指標は現場の作業者がわかりやすく、達成度がわかる方式を採用する必要があります。

一般の工場では、生産性という(出来高/投入工数)を使って管理していますが、形骸化して、単に製造原価管理の労務費の根拠として活用され、作業者には良く理解されないまま運用される場合が目立ちます。

昭和50年頃までは、造船所や重機、電気メーカーなども日本能率協会などの指導のもとに、こうした生産性を積極的に評価していました。

私も昭和60年頃に日本生産性本部で1年間のコンサルタント養成で診断指導の実習をしている頃には、そうした管理指標をもつ会社も少数ですがありました。

ところが、その後、多品種少量生産が全盛期となり、工数のベースとなる標準作業時間の設定と運用が困難となり、そうした指標で生産性を評価するよりも、原価管理を中心とした管理運用が工場では一般的となって行きました。

その後、コストセンターといった、製造のラインの一つ一つを、あたかも商店のようにその日の出来高(売り上げ)と原価を計算して、利益を管理するような擬似的なコスト管理などを採用する企業もありました。