夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

2連詩100題vol.7-6~10

2007-12-05 | poetry
今回は下手な詩にさらに下手な写真がつくという念の入ったものになっています。
関係がありそうな・なさそうな、意味がありそうな・なさそうな代物ですが、全部モノクロ写真になったのは偶然です。


066 根回し

こうしたいって言うと
あちこちでいちゃもんがつく
どうしたらいいんでしょうって訊くと
自分のやりたいようにやればいいって言われる

反対はしないけど、賛成もしない
責任は取らないからねと煤けた顔に書いてある
お互いさまでいこうよと
粘っこい糸でぐるぐる巻きにされる




067 儚くて

今年もいろいろあったなって思いながら
手帳をあれこれ見たり
年賀状どうしようかなって思ったり
毎年似たようなことを考えている

地平線の向こうに沈んでしまった日々
もう2度と思い出すことのない人たち
そうしたものをあたしはなくしてしまったのか
あたしの身体のどこかに積もっているのか




068 羽衣

実家の押入れの隅っこの長持の中に
ふわふわしたきれが入っていた
蝉の羽根のように透き通って
猫の和毛のようにやわらかい
触ると背中に陽が射している気がした

この間、里帰りしたときに探したけれど
長持は見つからなかった
台所にいる母に訊いたら
そんなものは知らないわと
振り返りもせずに答えた




069 派手

夢の中で見た君は
とてもお化粧が派手で
大きな目でぼくをじろじろ見ている
「どうしたの」って訊いても返事がない

不安になって君に会ったら
やっぱりぼくの顔をじろじろ見て
「どうしたのその顔」って言いながら
頬を触ったら指先におしろいがついていた




070 母と娘

あたしたちはとてもよく似ているらしい
学校で声を掛けられたと母は喜び
スーパーで声を掛けられてあたしは凹んだ
お風呂から声を掛けると父だって間違える

東京に出てきてから時々電話で長話をする
そっちは寒いの?雪は積もった?とあたしが訊き
風邪ひいてない?年末はいつ帰るの?と母が訊く
お互い似た声でしゃべってるとは思わない




*************

なんかいろんなものがあるサイトです。

なんかいろいろしゃべります。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
写真としては (夢のもつれ)
2007-12-10 21:47:50
66のがいちばん芸術的ですね。技術的には下手ですけど、そんなもんでしょうw

今回の作品はお題に合いそうな写真を選んで、そこから詩を作ったんで、詩同士のつながりはないはずなんですが、母親が何回か出てくるのは言われて始めて気がつきました。なんだか自分で自分を分析してるのかなって思いました。なるほどねぇ。
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写真は… (ぽけっと)
2007-12-09 11:49:50
66がなんだかコワ明るくてちょっとギョッとしますね。
タイトルも知らないけど黒沢映画のすごい緊迫シーンに武満徹がサンバの音楽を充てたのを思い出しました。(単にサボテンだからかも知れないけど)

67と68は連作のようですね、68のお母さんは67で出てきた心の中のどこかに積もったものを取り出す苦労を避けているのか、または敢えて見ないようにしているのでしょう。
そして70の娘さんが母になったとき、やっぱり「知らないわ」とちょっぴりにがい思いをしながら我が子に答えるのかな。

…なーんて
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