日本の心

激動する時代に日本人はいかに対処したのか振りかえる。

大東亜戦争の責任は我にあり 東條英樹 「宣誓供述書」(全文)その27 摘 要 

2023-12-25 23:44:05 | 東條英機  

                 パル判事の碑文 (靖国神社)


東條英機 宣誓供述書 

 
                        

摘要 

 

156  

 本供述書は事柄の性質が複雑且重大なるよりして相当長文となりました。
ただ私は世界史上重大なる時期に於て、日本国家がいかなる立場に在ったか、
又同国の行政司掌の地位に撰ばれた者等が、国家の栄誉を保持せんがため真摯に、
その権限内に於て、如何なる政策を樹て且之を実施するに努めたかを、
此国際的規模における大法廷の判官各位に御諒解を請はんがため、
各種の困難を克服しつつ之を述べたのであります。


 斯の如くすることに因り私は太平洋戦争勃発に至るの理由及原因を描写せんとしました。

 私は右等の事実を徹底的に了知する一人として、
我が国に取りては無効且惨害を〇(一文字、判読不明)した所の1941年(昭和16年)12月8日に発生した戦争なるものは
国を欧州戦争に導入する為の連合国側の挑発に原因し
我国の関する限りに於ては
自衛戦として回避することを得ざりし戦争なることを確信する
ものであります。

 尚東亜に重大なる利害を有する国々(中国自身を含めて)が何故戦争を欲したかの理由は他にも多々存在します。
これは私の供述の中に含まれて居ります。
我国の開戦は最後的手段として且緊迫の必要よりして決せられたものである事を申し上げます。

 

 満州事変、支那事変及太平洋戦争の各場面を通して、
其の根底に潜む普段の侵略計画在りたりと為す主張に対しては
私はその荒唐無稽なる事を証する爲め、最も簡潔なる方法を以て之を反証せんと試みました。

 我国の基本的且不変の行政組織に於て
多数の吏僚中の内少数者が、長期に亘り、数多くの内閣を通じ、
一定不変の目的を有する共同謀議(此の観念は日本には存在しないが)を為したなどいふ事は
理性ある者の到底思考し得ざる事なることが直ちに御了下さるでありませう。
私は何故に検察側がかかる空想に近き訴追を為さるかを識るに苦しむので有ります。

 日本の主張した大東亜政策なるものは侵略的性格を有するものなる事、
これが太平洋戦争開始の計画に追加された事、
尚ほこの政策は白人を東亜の豊富なる地帯より駆逐する計画なる事を証明せんとするため
本法廷に多数の証拠が提出せられました。
之に対し私の証言はこの合理にして且自然に発生したる導因の本質を白日の如く明瞭になしたと信じます。


  私は国際法と太平洋戦争の開始に関する問題とにつき触れました。
又日本に於る政府と統帥との関係殊に国事に関する天皇の地位に言及しました。
私の説明が私及私の同僚の有罪であるか、無罪であるかを御判断下さる上に資する所あらば幸であります。


 終りに臨み、恐らくこれが当法廷の規則の上で許される最後の機会でありませうが、
私は茲に重ねて申し上げます。

 日本帝国の国策乃至は当年合法に其の地位に在った官吏の採った方針は、
侵略でもなく、搾取でもありませんでした。

 一歩は一歩より進み、又適法に選ばれた各内閣はそれぞれ相承けて、
憲法及法律に定められた手続に従ひ之を処理して行きましたが、
ついに我が国は彼の冷厳なる現実に逢着したのであります。
当年国家の運命を商量較計するのが責任を負荷した我々としては、
国家自衛のため起つといふ事が唯一つ残された途でありました。

 我々は国家の運命を賭しました。
而して敗れました。
而して眼前に見るが如き事態を惹起したのであります。


 戦争が国際法上より見て正しい戦争であったか否かの問題と、
敗戦の責任如何との問題とは、
明白に分別の出来る二つの異なった問題であります。

 第一の問題は外国との問題であり且法律的性質の問題であります。
 私は最後まで此の戦争は自衛戦であり、
現時承認せられたる国際法には違反せぬ戦争なりと主張します。


 私は未だ曾て我国が本戦争を為したことを以て
国際犯罪なりとして勝者より訴追せられ、
又敗戦国の適法なる官吏たりし者が国際法上の犯人なり、
又条約の違反者なりとし糾弾せられるとは考えた事はありませぬ。


  第二の問題、即ち敗戦の責任については当時の総理大臣たりし私の責任であります。
 この意味に於ける責任は私は之を受諾するのみならず真心より進んで之を負荷せんことを希望するものであります。

右ハ当立会人ノ面前ニテ宣誓シ且ツ署名捺印シタルコトヲ証明シマス

  同日同所

                       立 会 人   清 瀬 一 郎 

 

  宣 誓 書 

    良心ニ従ヒ真実ヲ述ベ何事ヲモ黙秘セズ付加セザルコトヲ宣ス 

                    署名捺印  東 條 英 樹

 

    昭和22年(1947年)12月19日 於東京、市ヶ谷

                      供 述 者  東 條 英 樹 


       



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