俘虜關係の陳述の訂正
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俘虜に関連して私が検事の質問に答へて記録が多数証拠として提出されて居ります。
その中私の記憶の錯誤に依って著しき間違いを犯した点を訂正いたします。
(一) 法廷証一九八号中に俘虜に関する規則は
軍務局長と参謀本部との協議の結果出来たものであるとの一節がありますが、
俘虜に関する規定は陸軍省で定めますが、
その起案は、その内容如何に依り各種の局部の所管に分属します。
軍務局長と限定したのは誤りであります。
(二) 法廷証一九八四中に各俘虜収容所長にその取扱に係る
俘虜の健康、食事、労働等につき軍務局長に月報を出すことになって居つたとかの
検事の問に対し之を肯定した答をして居ります。
又栄養不良其他の原因に依る死亡率についても其の所管は現地軍司令官にありますが
しかし軍司令官が責任を果たし得ないときは陸軍省に要求することになつて居る。
此の要求は軍務局長の所に来て、軍務局長と現地司令官と協議の後陸軍省は食料を送るとか、
その他の処置を採ることになつて居ると答へて居ります。
然し乍ら(a)俘虜の食料に関する事務の処理は経理局の任務でありまして
軍務局と言ったのは誤りでありました。
又(b)俘虜に関する月報が提出されるのは軍務局長でなく
陸軍大臣と俘虜情報局長官であります。
(法廷証第一九六五俘虜取扱細則第十八)
月報が軍務局に提出されるといつたのは、是亦私の錯誤であります。