Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

秋の森に眠る

2017-11-01 | 

 

秋の深まる森に眠りたかった。

雨上がりの森は、凛とした寒気が降り、冴えざえと星も瞬く。

森の際、湿原の畔に建つ山小屋で夜の囁きに耳を澄まそう。

カタカタカタ…風鳴りが窓を揺すった。

三角屋根の吹き抜け天井まで延びた縦長の格子窓についた水滴が、

薄っすら凍結しようとしていた。

木枯らし一号の吹いた夜だった。

戸外に出ると雲が流れ、月明かりが森の中の湿原を照らしていた。

ざわざわ草叢が波立ち、風鳴りの狭間にくぐもった夜の声が聴こえる。

なんだろう?梟の声とは違う…何か?

深夜に、もう一度目覚めると、

月は沈み、森の中にぽっかり開けた湿原は、降るような満天星だった。

これから深まりゆく季節の中、しんしん寒気の降りる森に散りばめられた

氷の結晶のような綺羅星の夜を想うと胸がときめく。

街から、そう遠くない場所に、こんな森のオアシスがある僥倖に感謝したい。

翌朝の気温は0℃。

この秋一番の寒気到来に湿原を覆う真っ白な霜化粧を期待した。

残念。薄っすら日蔭に霜の降りる朝だった。

この朝、石鎚山系では初霧氷を観測したそうです。

ここも間もなく森を輝かせる霧氷の季節がやって来る。

そうしたら、またホカホカ身体が暖かくなる食材を担いで氷の森へ眠りに行こう。

 


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4 コメント

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らしさ (鬼城)
2017-11-02 09:43:29
秋の森の静けさ。
喧騒の世俗を離れ、自分を見つめ直す場。
好きな読書を邪魔されずに熟読する場。
最後に書かれていたように、暖かい食材を食べながら考える。
こんな場所が在ることが不思議です。
ブナ林、深まる秋、訪れる冬。
湿原から目が離せませんね。
返信する
湿原の朝を夢想 (ランスケ)
2017-11-02 10:04:27
鬼城さんも通われた皿ヶ嶺竜神平の愛大小屋です。

なぜ今まで一度も、ここに泊まらなかったのか?不思議です。
街から近いので日帰りの山という固定観念があったのかもしれません?
それと、ここ数年で老朽化した山小屋を、外見はそのままの状態で建て替えましたからね。
内部は以前と較べると、ずいぶん綺麗になりました。
そういう意味では、鬼城さんが通っていた頃と較べると変わったかもしれません?
縦長の格子窓は以前のものをそのまま再利用しているようです。
この山小屋らしい古風な格子窓の存在が、ここの魅力です。

これから気温が下がって来ると湿原に放射冷却の朝霧が立つと思います。
霜や霧氷の降りた森の湿原に射す朝陽と霧の風景を思うとわくわくします(笑)
また天気予報を見ながら、森のオアシスに通ってみます。
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favorite-place (misa)
2017-11-04 22:16:16
伊予は良いですね
皿の様に一年を通してお手軽に楽しめる
現実逃避できる場所が有る
私が知らないだけなのかもですが
土佐には無いですね

休みと紅葉が天気とかみ合わなかった今秋
山には行くなと言うことなのか・・・

ちょっと日本海の波でも見に行きますか(笑)
返信する
楽園は何処に? (ランスケ)
2017-11-05 00:30:15
misaさん、無いものねだりをしてもしようがありませんよ(笑)

世界中に目を向ければ、観てみたい楽園の風景はたくさんあります。
でも、それを追いかけていると限(キリ)がない。
人の欲望は果てしないですからね(笑)
だから楽園は自分で見つけるものだと、ある時期から悟りました。

風景写真を撮り始めた最初の頃は、関東周辺や信州、東北と有名な撮影地を巡っていました。
でも結局、地の利を生かしたその土地に住むカメラマンには敵わないことを自覚しました。
帰郷して石鎚山へ通うようになって、それを一層強く意識しました。
それから10年以上通っていると、石鎚でも誰も見たことない風景を追い求め始めました。
だってみんな同じ写真ばかり撮っていたら、つまらないじゃないですか。
堂ヶ森に楽園を見つけたのもそうだし、
今回の皿ヶ嶺も多くの人が撮る風景とは別の視点を探しています。
私のブログは、ずっと見慣れた風景や自分の暮らす風土の中に「楽園」を発見する作業だったと思っています。
青い鳥の寓話のように、探し求めた「幸せ」は、意外と自分のすぐ側にあるものですよ(笑)
土佐には伊予には無い楽園がいっぱいあります。
misaさんは自分自身でそれを探してください。
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