遠野なんだりかんだりⅡ

遠野の伝承芸能・民俗・歴史を書きたい時に思いついたままに

教えて!ししの人

2024-07-02 10:56:09 | 郷土芸能

これは難しい・・・遠野のしし踊りについて。

太鼓系鹿踊にふれた当初、そのしし踊りに対する思いが、演じ手も見る側も

遠野のそれとは、かなり違うことに衝撃を受けたものです。

衣装について論じる人、演目について話す人、伝承経路を訊ねる人などなど全国的。

遠野では、これらの切口でしし踊りを論じる人は滅多にいません。

と云うことで、遠野文化友の会主催で郷土芸能講座「教えて!ししの人」が

6月29日に開催されました。

昨年10月の「教えて!神楽の人」に続き、郷土芸能の第二弾です。

 

主催者の挨拶に続き、板澤しし踊り保存会の佐々木会長から、遠野幕踊り系しし踊りの事や

板澤しし踊りの由緒等の説明をお聞きし、

 

ししの衣装を着けるところから見学です。

板澤さんの腰差しには紙垂(しで)が取り付けられています。

青笹・上郷以外では、かんながらの割合が多い腰差しです。写真左側にある九曜紋の

風呂敷みたいなのが、しし頭と幕で、コンパクトに納められています。

 

風呂敷包みたいなものを解き、しし頭を頭に載せ、かんながらを解いていきます。

しし頭を頭にひょいと載せるシーンが面白いのですが、取り損ねました。汗

 

最後に、ロングヘアーみたいに両側に分けられたかんながらを解いて変身完了。

 

入端・誉め唄・草入れ・もみあわせ・小切り・

刀かけの踊り(山の神・廻り入端・御神楽)・小切・雌じし狂い・

之の御坪・礼太鼓・後誉め・引端

と云う順番で踊るという案内でした。

(私自身、もみあわせと之の御坪という踊り方名は初めてです)

 

きっかたかっと!で始まり。

この日、お集まりの皆さんの顔ぶれを写真を撮りながら見ていましたが、

市外の方々が一定数いたようで、反応が気になりました。

 

太鼓系しし踊りでは、礼庭や案山子と云うように一演目一踊りの形態がメインなので、

レジメなどにある演目の趣旨を確認しながら、観ることができますが、

 

県内の幕踊り系しし踊りの多くは、複数の踊り方(演目)の組み合わせなので、

メインの演目以外は何をやっているのか理解できない場合が多いのではないでしょうか?

ああ、この両側に手踊りが附いて真ん中にシシ、そして、ジャンプ!

神社に奉納する時に、やっているやつだ! なんて具合で、観ることが多いはずです。

でも、これって何という踊りなんでしょう?

 

太刀(刀)を持った人とシシとのバトルシーン、これも格好いいけど、

何と云う踊り?

 

しし踊りの皆さんには普通のことでも、格好いいと思いながら、ただ見ている私たちには

疑問は多々あります。

 

今回のメインは雌獅子狂い

 

遠野ではメインに柱がかりを演じることが多いですが、他地域の幕踊り系では

今のところ柱がかりは観ていません。(遠野縁のものは除いて)

一方の雌獅子狂いは、他地域にもある演目です。

歌詞については、細かな言葉の違いはありますが、関東以北の三匹獅子舞・しし踊り系には

類似点が多くあります。

 

遠野では雌獅子狂いは、雌獅子を取り合う雄獅子の争いがあることから、

例祭などでは好ましくないと云われています。

 

変わったメイン演目を観るチャンスがあるとすれば、遠野まつりの一日目の夜が

お勧めかもしれません。また、二日目の八幡宮では境内で飲食する場所での

余興的な踊りもなかなか面白いですよ!

但し、遠野まつりが昨年のような流れで開催される場合の話ですが。

 

踊り終了後に質問コーナーがありました。

どのような気持ちで踊り、また、続けているのか?と云ったものから、

何という歌詞なのか?とか、踊りの演目についてと云ったものがありました。

 

しし踊り関係者には疑問でないこと、興味のないことも素人には疑問。

案の定と云った感じでした。

 

先にも触れましたが、何という踊りで、何を意味しているのかわからない。

太鼓の人が歌っているけど、訛っているのか、よく聞き取れない。

 

演目については、一部の団体の動画でテロップ付のものがユーチューブにあり、

参考になるかと思います。

但し、団体によって踊る順番や演目の呼び名が異なっているものもあり、

どこでも当てはまるとは限りません。

なので、私も、よくわかりません。笑

理解度アップのためにやるべきことは、まだまだありそうですね!

 

例えば、太鼓、笛、ししなどのパートを比べて見ていると、団体で違うことがわかります。

 

最近、市内郷土芸能団体の笛の寸法を確認していますが、

同じもの、全く違うもの、似ているものと様々なことに気が付きます。

いくつかの地域に伝承した元なのに、そこだけが変わってしまっていることもあります。

 

あと30分ぐらいあれば、参加者からもう少し本音のトークを聞き出せたかも・・・。

 

手足の所作の統一感を誉めるお客さんもいました!

これは、手踊りの人達だけに限らず、ししの頭の向きや角度まで含めて

お客さんは観るものなんですねえ。笑

 

今回で郷土芸能は二回目の講座でしたが、しし踊りは切口が多様なので、

申し込み前に質問をとって頂ければ、参加者にも芸能関係者にも良かったかも?笑

また、しし踊り関係者にとっても、会長さんだけでなく、他の人達も参加者の生の声を

聞く良い機会になったのでは?汗

 

遠野文化友の会さんのこのような取り組み、あるようでなかなか無い企画、

次回も楽しみにしています!

芸能だけでなく、歴史も含め、文化に値するならなんでもござれ!のようです。

コメント (2)
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