「男のロマン」に寄り添う

有限会社メディパス様が弊社にWebサイト制作のご相談にいらしたのが2005年暮れも近い頃。それから私たちは全力をあげてサイト展開のために動き回る。サイトの内容・規模等を伺い、埼玉県創業・ベンチャー支援センターが行う「～マイクロソフト・インキュベーションプログラムによる～ チャレンジ・ITベンチャー支援プログラム」への応募を勧めた。（有）メディパスの中島社長は年末年始を企画書作りに費やし提案書を提出。見事「登録企業者」に選ばれて、いよいよ制作・開発とあいなった。

私はこの大きなプロジェクトのために小さな会社を営む優秀な専門家を集めた「ITドリームチーム」を結成。中島社長を全面的にバックアップすることにした。

情報技術はとても専門的で、かつそれを利用者に向けて展開するには必要とされるスキルの幅が広い。小さな会社がWebによる事業展開に大きな夢を持ったとしても、資金力のある大きな会社には勝てない。制作や運営にお金がかかりすぎるのだ。だから、資金力のない中小の事業者が効果的なWebサイトを展開するのは現実、とっても難しい。

インターネット元年と呼ばれた1995年。それから私は研修事業やらWebサイト制作やらメールマガジンのライティングやらと、インターネットによる情報発信に関わってきた。インターネットは、いつでも、誰もが安く情報を提供できる夢の技術のはずだ。事業者がそれを有効活用しないなど私には考えられないのだが。日本の情報化はとても遅れている。そもそも自分が情報の発信者となることに慣れていない国民性。そんな文化的・教育的背景もあいまって、まだまだインターネットの技術を有効活用できていないのが現状だ。

それに挑む。

そのために私は、企画・コミュニケーション担当（総括）、マーケティング支援担当、開発担当、デザイン担当、全て一流の職人を揃えて今回のプロジェクトチームを結成した。大手企業が1000万円規模の仕事で「うちのスタッフです」と使っている技術者ばかりだから仕事に間違いはないだろう。何より、これは私の夢でもあった。私が心底惚れこみ、一緒に仕事をしてきた職人たち。私にとってこの仕事は、最高に楽しいのだ。そこにマイクロソフト社さん、埼玉県さんが力を貸してくださる。言うことはない。

1時間。私たちは食事をしながらも、かなり有益な打合せをした。その場でポイントをまとめて全員にメール配信。無駄はない。あとはそれぞれゆっくり、自分の感性を磨き、技術を磨き、集中して作業をするのみ。

最初に中島社長が弊社にいらした時。彼が言った。
「この仕事に人生かけてます。」
そ、か。

どうしても私はそんな男たちの言葉の裏についつい妻や子どもを見てしまう。この人が「夢にかけて」いい人なのか。それともさっさとやめたほうがいい人なのか。男の夢やロマンは分かるけれど、その男性の周りの人の人生も大事だから。少なくとも私は、認めるべきではなかった自分の夫の起業を認めてしまった。その後悔からか、現実的に男の夢にはちょいと慎重。だから仕事を断ったり厳しいことを言わせていただくこともある。人には適正と運（タイミング）があるのだから。

この時私は、決めた。
「本気で応援します」。何の根拠もない。直感的に、本気で応援しようと思った。今の彼はタイミングと力がピタリと合っている！彼の足りない部分を補えたとしたら、彼は大きな仕事をするはずだ！私は彼の夢に賭けてみようと思った。男のロマン。彼の夢に寄り添う。

【写真】本日打合せでのとんさんのランチ「ペスカトーレ」。評価：B。あー、私のお気に入りだった宇都宮にあるスパゲティやさんのパスタが食べたい～。

とんさんちへ