起業時のネットワーク

今、創業支援の追い風もあり「起業をしたい」という方々は多い。起業支援セミナーや異業種交流会があちらこちらで行われ、リクルートさんの『アントレ』という起業応援雑誌は相変わらずの人気ぶりだ。先日、私が出席した起業したい女性の交流会でも「ひとりでは大変。ネットワークが必要ですね」という話しが出た。なるほどー。

さて、起業時のネットワークについて。

ひとりでは仕事はできない。たくさんの方々の力を借りて仕事は作っていく。私も多くの方々との関わりの中で仕事を進めている。例えば、こんなふうに。法人化するまで私は営業をしたことがなかった。誰かが「とんさん、こんな仕事があるんですけど」と、仕事を持ってきてくれたのだ。どうしてこんなネットワークが作れたのだろう。

起業時、私は起業セミナーに参加したり、異業種交流会に参加したことなど一度もなかった。実は交流会が大嫌い。できたら人が大勢いるところは避けたいと思ってる。（うそでしょ～、と友人らは言うけどほんとのことだい。一人で静かにコツコツ何かを作っているほうが好きなのさ。）

こんな私がどんな風にネットワークを作ったのか。それは当たり前のことをしただけ。

１．こだわりを持って自分の仕事をきちんとした
２．その自分の仕事に対するこだわりを周りに伝え続けた
３．人を当てにせず、すべきことについて自分で決め自らの責任で行動した

つまり、誰かを当てにするようなものの考え方をしなかった。「自分はこれができます」がまず先。仕事をするのは自分の責任だ、と明確に意識した。そうして全力を尽くし最高の仕事をする。自分にリスクもなく（実はメリットがあり）満足してくださった「紹介者」は、また、次のお客様を紹介してくださる。「それだったらとんさんに相談してみたら？」と気楽に。これができたら、仕事はある程度（！）回る。

起業時。まずは自分が誰にも負けない仕事を作ることだろうなー。そこをじっくり作りこむのが第一だということを忘れないようにしたい。作りこめないうちはいろいろな角度でひとりで勉強したほうがいい。起業時にネットワークを作るなら、そんな学びからくるサークルで良いと思う。そこに仕事を絡めずに、失敗や悩みを語りあったり励ましあったり。お友達を作るのが目的でいいと思う。自分がどのような経験をし、どのような価値観を持っている人間であるか、それを伝えるのはとても大事なこと。

仕事を絡めたネットワークは恐ろしいものと認識しよう。
空っぽに近い状態の自分でも何かができる気にさせる。だいたいそういうネットワークには事業の先輩がいて、その方々のお力で本当に仕事が動いてしまうことが多い。これって、すごいこと。自分が仕事ができる人のような気になる。お金も動く。しかし、忘れちゃいけない。事業は自己責任。自分がやるのだ。自分と付き合うメリットがなくなった時に、その人たちはスーッとどこかへ消えて行く。それどころか、手のひらを返されることだってある。お客様も「そのネットワークの紹介だから」自分に声をかけてくれているのかもしれない。

それに気がついた時には何もない自分が多くの負債を抱えてしまったという起業家も見てきた。自分がそのネットワークを離れようと思ったとき、自分に力がなければネットワークを離れることすら難しい。それも経験した。入るのは簡単。でも、しっかりした自分がいなければ、抜け出すのは大変だよ～。

起業時のネットワークづくりや参加。相手は人。だからこそ慎重にいきましょう。特に、仕事につなげるために作るネットワークは自立した自分があってこそ入るべきものだと私は思っています。

【写真】リクルート社 独立・開業雑誌『アントレ』100号記念号にて、記事「SOHO最前線」の中でとんさんが紹介されたページ。

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