<ホクテンザ1>
大阪での長い生活も終わろうとしているので、最後っ屁をかまそう。この映画に関する記事は、ほとんど書いていないです。ご了承を。
私は、ビデオのディレクターとして、たくさんの作品を完成させたが、この11月14日に、久しぶりに自分の作品と言えるものができあがった。出来が良いからと、放映以後、いっぱいのDVDの注文がきた。撮影は素人だが、脚本、編集、資料集め、編集、MAV、そしてなんと、私の声がナレーションとし出来上がった。最後の最後で、自分そのもののビデオが出来上がったことも、運命の何らかで、そういう場を与えたのだろうと思う。これまで、たくさんのビデオを制作してきたが、そのほとんどは、私の作品とは言い難い。9月に仕上がったン周年記念ビデオは、寄ってたかって無茶苦茶になり、誰が作ったのか、誰のためのビデオか、私はわかりかねている。長くなるけれど、企業ビデオとは誰のための作品なのか、私の視点で書き残しておこうと思う。
一度、編集したオフライン(仮編集)を根底から覆される意見が出てくると、企業ビデオを制作しているディレクターは、あからさまに不機嫌になる。オフラインでつながったそれが私の作品だが、ここから打ち合わせによっていろいろと変化する。まったく変えない、あまり変えないオフラインは、ディレクターとしても後々の作業が楽になるけれど、これが私の作ったもので、本編集のとき、もっと凝ってやろうと踏ん張る。丹念に時間をかけて編集する。一日でできる編集でも、二日かけたり、徹夜も惜しまない。私を尊重してくれた敬意のようなもので、音楽もSEも時間をかけて挿入する。お金をいただいておいて、平等ではないと叱られそうだが、長い間、この仕事をしてきて、ほぼ100%に近いディレクターがそうだろうと感じている。
相手の組織の為に作っているのだけれど、しかし私も人で、相手も人で、人と人の信頼関係や気持のよさによって、凝るか凝らないかを知らずうちにやっている自分に気づく。一生懸命に誠意をもって接してくれる人。私は会社に対してより、その人のために作っている気がする。態度も言葉もいい加減で、下に見ていて、こちらの考えに文句ばかり言ってくると、私はアイデアを出すのを途中でやめる。ここで、この人にアイデアを出すのがもったいないと思ってしまうのだ。時間をかけるのも惜しんで早く片付ける。相手とは、直接の会社の社長や担当者であったり、広告代理店の担当者だったりする。良い方へ変えようとする場合は、その熱意が伝わってきて、懸命に頭をひねくりまわすけれど、自分だけが満足いくように変えようとする場合は、頭を使うのがもったいないと、何も言わなくなる。ビデオは、ビデオを見る者のことを考えて作るべきであって、相手の自己満足のためだけではない。
つまりは、人と人との関係で、それによってビデオ作品の出来上がりが大きく変わるのだ。ディレクターという人間は、我が儘で、身勝手なものだから、へそを曲げてしまったら、もういい作品はできないと諦めた方がいい。細かく指示されはじめたら、私はディレクターがもう一人現れたと一歩も二歩も下がる。ディレクターは一人でいい。二人、三人と素人がディレクターの顔をしはじめたら、言われたとおり、指示されたとおりに作る。作るのは、素人に近い、いや素人だから、そんなに優れたものはできない。そんなことはわかっているだろうに、言われたままに作ると満足している。本来ならば、このビデオ作品を見たい人が満足するべきである。それなのに、担当者が満足している。違うと私は心の中で思う。私がこれまで制作してきた400本以上のビデオのうち、私が作ったと言えるものは20本くらいだろう。
そういうわけで、8月から9月にかけて、大きなその状態があった。オフラインをたくさんの人で寄ってたかってバラバラにした。20人はいたろう。20人の相手がいると、20作品必要だが、最後は1作品にせねばならない。20人のバラバラの意見をまとめるのがディレクターの仕事かもしれないが、かけ離れた意見の数々をまとめるのには限界がある。1度目の打ち合わせでは、間違いの箇所だけを修正する予定だったが、数日経って行くと、20人以上の相手が待ち構えていて、出来上がったオフラインを粉々にしようとした。私はそれでも良い作品をと、踏ん張って意見を言って、なんとかその場は落ち着いたが、オフライン2回目を編集中、そこ(会社、学校、団体・・・)から、なんじゃこりゃ?と愕然とするような修正箇所の細かい指示書が届いた。ここをカットしろ、ここを増やせ・・・シーンによっては、ナレーションが長いのに、画だけをカットしろというものまである。真っ暗闇で画面を出したままナレーションだけをいれるわけにはいかない。新しい資料や写真も届く。私の頭をもっとも悩ませたのは、アップ部分をなるべくカットしろということだった。脚本段階、もしくは撮影中に言われればよいけれど、撮り終えた素材からでは無理な注文だ。私はカメラマンに、場所場所でアップを要求した。アップの画が多い。撮りなおすしかないけれど、一日分のロケ費も出るわけがないし、今からそんなことをしていたら、納期には到底間に合わない。
私は、細かく書かれた指示書のまま、オフライン2を作った。オフライン1とは大きく変わっているので、私は休日を返上して作業をした。よくしようなどとは考えなかった。指示に従って編集するだけで、3倍以上もの時間を要したからだ。出来上がったオフライン2を見て、オフライン1が、見てもらえる作品だと確信できた。どんどん悪くなっていく。オフライン2は、自己満足だ。あなたは満足できるだろうが、これを見る者は退屈だろう。言いなりはよくないけれど、企業ビデオのディレクターは、そうやって諦めながら仕事をしている人が多い。限られた制作費の中で、1日の撮影費だけしかもらっていないのに、3日も行ったら、営業は怒るし、赤字が出て、会社が潰れる。写真一枚撮って、テープにつり上げるだけでも費用がかかるのだが、打ち合わせに行く度に写真や資料を出してくる。写真を撮って、つり上げるのも無料だと思っているらしい。料金のことは言いたくないので、タダで、追加することにかる。
無から有を作る。そこからタダだと思っている人も少なくない。頭から出るアイデアは無料らしい。脚本も、用紙とインク代だけで、コストがないと思っている人も意外に多い。脚本は、建物の設計図と同じで、お金はかかるのだ。時々、あまりにも馬鹿らしい打ち合わせに、黙りこくってしまうこともある。言われるとおり、はいっと、その通りにする。大人のなりをして、妻子もいて、家庭を築き、子供を成長させ、しっかり稼いでいるのに、私の幼稚な頭よりも、目の前のあなたは子供すぎる。そう思いながら、打ち合わせをする。そんなわけで、1日の編集が3日かかった。ここに私のアイデア、感情を入れ込んだら5日もかかるだろうけれど、苦労して魂を削っても、相手の思いではないから、一言で切られてしまう可能性は高い。残りの2日の苦労が一言で切られる。無意味な苦労だったことになる。ディレクターは、好き勝手に生きていて、好き勝手に行動している特殊な人物なので、杓子定規に動きはしないのである。以上の私の文章も、我が儘極まりないことはわかっているけれど。
11月14日に、ある会場で放映された50分のビデオ作品は、私の作品である。好き勝手に脚本を書き、添削もなく、好き勝手に編集し、そのままOKとなった。だったらそれで完成だが、45分と制限がつけられていたので、はしょっていく作業に入った。言われてやったわけではない。もっと良い作品に仕上げていこうというサービス精神が、私を行動させたのである。徹夜も2回した。そこまでしなくていいけれど、自分の作品ができるなと思うと、もっとよくしたいというだけで、時間を惜しむことなど考えなかった。魂を削る場所は、いまここにあった。3回目で本編集し、放映の前日に完成した。「いいものを作っていただいてありがとうございますす。みんな、喜んでいます。」という言葉だけで、私はすべての疲れがとれる。たくさんのDVDコピーの注文がきた。全国に送ろうと話し合ったらしい。大阪での最後の最後の大きなビデオ作品が、自由に私の考えで制作できたことに、何かの意味があるような気がしている。
さて・・・「鬼の花宴」だが、この手のポルノ映画を、よくもまあ一般の劇場でかけたなと思う。新東宝の名前も懐かしいけれど、昨年の「花と蛇」が頭に残っているので、私は観に来たけれど、昔の新東宝の3本立の添え物映画を1本立で観ているような気がした。団鬼六の原作は読んだことはないけれど、映画の魅力を超える作品なのだろうか。はっきり書くけれど、本
作は、昔のポルノの中でも下に入る。主演女優も素人臭い喋りで台詞を棒読みする。濡れ場が多く、AV化したポルノ映画を観ているようだった。何もないのに、90分という短い上映時間が長く感じた。 <20点>
ハシゴで、落ちてきた「グッド・シェパード」を隣のホクテンザ2で観る。大作で、主演級がこぞって出ているのに、あっという間に終わってしまって、観ていない。ところがこの映画、3時間近く、どうしようかと思うくらい長い。はじまって2時間が意味なく長い。私は本当に頭が悪いのか、わけがわからなかった。番館落ちしてきたのもわかるような気がした。ラストの30分、目が覚めるように面白くなるけれど、いったい何をみせたいのか私にはわからない。観終えて劇場を出た瞬間、物語も、目が覚めるように面白くなった箇所も忘れてしまった。 <30点>
今日は早く終わったが、映画のハシゴで、最終電車に乗る。もう忘年会がはじまっているのだろう。酔ったサラリーマンがあちこちで口をあけて寝ている。ドアに頭をこすりつけて苦しがっている若者もいる。久しぶりに時間ができたので、少しは映画を観歩こうと思う。一人旅もしたいが、我慢我慢。
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