活動写真放浪家人生

活動写真を観ながら全国放浪の旅ちう

ピラニア(2010) <3D・字幕版>

2011年08月31日 23時00分00秒 | は 行 (2008.2009.2010.2011)

Photo_5 <シネプレックス小倉>

 テレビをつけると、北杜夫が亡くなったとニュースが報じている。大事件がなくてよかった。長く、北杜夫という人物を見せている。知らない人も、この作家を知っておくべきだろう。今日10月26日、私は北九州空港近くの「スカイホテル苅田」に投宿した。門司から近いと思って、携帯で、じゃらんnet予約したのだが、カーナビで検索すると20キロ先と出た。近場にしたいけれど、予約決定ボタンを押して、予約済みメールも着信してしまった。キャンセルすると100%なので、貧乏な私は行く・・・渋滞して40分以上かかって到着。なかなかきれいな、結婚式場まであるシティ型ホテルである。夕方に投げ出した3,500円現金のみOK版で、私はポイントを使って3,000円。部屋も広く、家具やテレビも新しく大きい。風呂も清潔で、湯の出もガッツリである。なんだか、一流ホテルに泊まっている感じ。

 明日の朝、チャチャタウンのシネプレックス小倉へ向かう。このブログだけ読んでいると、いつもどこかへ泊って、映画を観て、世の中に愚痴をたれて、まるで遊び人のように思われるだろうが・・・それもある。間違いではない。最近、なかなかいいなあと思った映画は『モテキ』『スマグラー』『HAYABUSA はやぶさ』・・・よく観ている。遊び人だわ、こりゃ。いやいや、やるべきことはいっぱいあり、ちゃんとやっていますぞよ。ここのところ、観たい映画が多くて、睡眠時間がとても少ない。昨夜は平凡な景色が続く中国高速道路で目がシボショボし、ウトウトしかかった。はっと気づいて、ドキドキした。・・・言い訳ですが。はい、遊び人でございます。

 『スマグラー』は絶対に面白いと思って期待感バリバリで観に行って、バリバリに期待以上の映画だった。さすが石井克人監督。とんでもない描写もあるからムカムカする人もいるだろうけれど、他の日本映画なんて寄せつけない出来栄え。鮫肌男の空気をまだ失っていない。全国公開してくれて、うれしい。これは後日、記事にしようと思っている。

 つまんないよと観るつもりではなかった『モテキ』が抜群の出来。深夜ドラマの映画化らしいけれど、そのドラマを観ている人も面白い!と言わせている。私は映画しか知らないが、今という時代をトップセンスな演出で魅せる。ツイッターは出会い系サイト化しているのねー。この映画は、ツイッターなしでは成立しない。ツイッターで出会い、ツイッターで話し、ツイッターで別れる。だが、人間的ぬくもりもちゃんと入っているから、心地よい映画となっている。麻生久美子の上手いこと!長澤まさみと一緒のときは脇だから抑えているけれど、一人になったら長澤まさみなど比にならない大女優っぷり。

 お勉強なんてしたくないと思って、それでも観た『HAYABUSA はやぶさ』。観てよかった。こういう映画もたまにはいいね。130分まったく飽きずに最後まで観客を引っ張る。テレビ監督、なかなか映画らしい映画を撮るようになった。人間が作った機械なのに、感情もなにもないはずなのに、なんだか生きてて、心をもっているように思えてくる不思議さ。いとおしく思えるHAYABUSA。結果は知っているけれど、うぅ頑張れと唸ってしまう。あの難しい世界を面白いトコだけ引っ張り出して、観客にわかりやすいように映像化。脚本、大変な苦労だったろうと思う。1000を学び、知り、1を私たちに教えてくれているハズ。残りの999はわかりやすく解説されても、面白くない物語だろう。1のいいところだけ教えてくれる。いい映画を観た。

  「スカイホテル苅田」から、シネプレックス小倉へは30分ちょっとらしい。上映1時間前には走っていなければならないだろう。「苅田」は「かんだ」と読む。九州ではなくて、読めた人は・・・「復讐するは我にあり」を思い出したのではないだろうか。あの事件は、苅田からはじまるのです。包丁を買って、二人を殺す。その地で、今夜は寝る。

 ピラニアを書こうと思ったのは、スプラッター・パニックの割に、出来が抜群だったから。善と悪のはっきりした筋書きも、ピラニアには通じない。みんな食ってしまう。そりゃそうだ。ピラニアなんて、二昔前なら沸いたかもしれないタイトルも、今は古くさく思える・・・なのに、映画そのものはいろんな試み満載で新鮮だった。CGも、これがCGだぜなんていうイヤミがなくて、ちょっと手作り感あっていい。スプラッター・ホラーだから、飛び出す飛び出す!3Dやるなら、これくらい頑張らねば。3Dブームは3回目らしいけれど、私の知っているのは「ジョーズ3D」や「13日の金曜日3D」以来、二度目。やはり、3Dを楽しませるのは、ホラー、スプラッター、パニックといった徹底娯楽映画だろう。考えない映画の方が楽しめる。

 この映画、70年代に作られた同タイトルのリメイクで、当時、話題になったのは、映画そのものより、日本人女性がスタッフにいるということだった。今は日本人がスタッフロールで流れるのが当たり前になっているけれど、30年前は記事になることだったのだ。いや、ジェームス・キャメロンの初監督の方だったかな?・・・世界的に大ヒットした30年前のピラニアと比較にならないパニックぶりだ。また、残酷度も比ではない。曲芸のような殺され方する・・・ピラニアが食うだけでは面白くないから、小道具いっぱい。楽しませたい、そして恐がらせたいスタッフの気持ちがわかって楽しい。本作は来年早々、『ピラニア3DD』として続編の公開が控えている。日本ではピンとこないお魚さんだけど、見せ方が上手いので、本作を観た人は舞い戻ってくるかもしれない。

 あ、一本、忘れていた・・・『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』、素晴らしい。十代、二十代で満員の土曜日だったけれど、40年前の第一作を知っているのかしら?知らないと、エンディングを見て、パート2があるんだな!と思うだろうが、ないのです。40年前の映画につながるのですぞ。この映画だけでも面白いけれど、本作から第一作を観るより、古い映画「正」「続」「新」たちを観て本作を観たほうがずっと楽しめるように仕掛けている。シリーズ化され、その前の物語は多く作られ、ハズレが多いけれど、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』は見事なパート0だった。新作の猿の惑星は90点。ピラニア3Dは・・・ <80点>


スーパー!

2011年08月30日 23時00分00秒 | さ 行 (2008.2009.2010.2011)

Photo_4 <小倉コロナシネマワールド>

 普通じゃない!普通じゃない人!って面白い。面白がっていればいいけれど、マジメくさって自分を主役にさせすぎて生きている現代の日本人、ムキになって怒ったりして、つまんない。きついジョークが通じなく、ちょっとしたことでも怒ったり沈んだりする。だから、映画もテレビも公平な路線になってしまう。日本映画、日本のテレビがつまらないのは、そういう人に合わせているからだろう。テレビ制作人が狂人すれすれの頃が、テレビは面白かった。見たきゃ見ろのような番組がたくさんあって、批難されるとなおさら楽しがって作り手は増長した。批難される番組ほど、面白いのだ。PTAがムキになるのを喜んだ。それは間違いなかった。番組だけではなく、人もそうである。普通に生きてても、普通じゃないことを考えて、言って、書いていたりする人の方が、接していて楽しい。毎日、違うことを伝えてくる。刺激が濃い。生活に関係なくても、やはり、奇想天外な毎日の方がワクワクする。なので、普通人に生きたかったとする私の一方の頭もあるけれど、普通では生きたくないという頭の方がでかい。

 そんなに特別なことではないと私は思っているが、今日もビジネスホテルに泊まって、これを書いている。「小倉西鉄ホテル」で、大浴場がある。北九州のビジネスホテルの大浴場で最も広く、清潔感がある。ここをビジネスホテルではなく、普通じゃなくて商人宿としたいところだが、じゃらんnetに商人宿はない。いくつかあたりをつけているので、次回、電話してみようと思っているが、LANケーブルをブラブラさせて、今のようにブログを書くなんてことはできないだろう。宿に日常のノートPCを持ってくるのもどうかと思うが・・・。

 私のブログは随分と変わった。たくさんの映画ブログを読ませてもらって、自分だけの映画ブログを書こうとしているうちに、ストーリーを省き、監督がどーした、俳優がどーしたと書かなくなって、評論でも感想でもなくなって、ついには映画ブログではなくなっていっている。少しは映画ブログらしく戻そうかと思っている。ということで、ここ数日、みんなの映画ブログをたくさん読ませてもらった。その中で、私だけのブログにするにはどうすればいいか・・・とりあえず面倒なストーリーは書かない。書きたいときだけにしよう。みんな冒頭に書いているし、上手くまとめたチラシの裏でいい。だが、読み集めていくと、その隙間というのが見つからない。二人で喋りながらなんていう独自の世界を展開している方もいらっしゃるので、私もと思うが、新しい手法は難しい。思い浮かばない。普通ではなく、ありたきりではなく、しかし、映画評となっているには?極端な話、いつも言っているけれど、投げ出してしまったらいいという意見もある。

 今日は、 『小倉昭和館』で、再上映の「ダンシング・チャップリン」を観るためにやってきたけれど、二本立ての「ブラック・スワン」の方がずっと楽しめた。実は2回目の映画館鑑賞である。1度目も面白い映画だなと記憶に残ったけれど、今回の方がもっと楽しめた。つい先ごろに書いた、2度目なのに・・・である。知っているほど楽しい。知らないであろう観客との心の共感、共有なのかもしれない。ただ、「八日目の蝉」と違って、「ブラック・スワン」は映画としての質がとても高い。これはきっと、何度観なおしてみても楽しめる作品のような気がする。主人公の肉体と精神のバランスの崩壊をこれほどスリリングに見事に描写した映画も少ないだろう。主人公が本当か、映し出されたソレが本当か、どれも信じていると観客はすっかり騙されてしまう。

 演出の冴えもさることながら、ナタリー・ポートマンの成長ぶり・・・いや、化けっぷりはどうだろう。「レオン」いや、「スターウォーズ」と見比べてみたらいい。ほとんど同じ顔だよ、スタイルも。でも、まったくの別人。ナタリー・ポートマンがそこにいるのはわかるけど、化けた化けた。女は化けるなあ・・・男優が化けることは少ないけれど、女優は化ける。化けるのいっぱい見てきた。現実の世界でも・・・。女は、物心ついたときから死ぬまでずっと女優をやっているのよ、女を演じているのよ・・・ある映画の女優の台詞である。にしても、ナタリー・ポートマンはすっごい女優に化けた。まだまだ若いけれど、そんじょそこらの女優陣を寄せつけない程だ。バレエダンサーの主役なんて役だけでもシコミ含めて大変だろうに、か弱い精神を抱えた堂々たる女優っぷり。

 あ、これは「スーパー!」のタイトルか。スピルバーグ製作の「SUPER8(スーパーエイト)」ではない。でも、今やさっぱりになったスピルバーグ監督のスピルバーグ製作「SUPER8」も悪くはなかった。前半部分は、若いころのスピルバーグ作品に似ている感じがして好き。自分が監督すればいいのにと思いながら観た。列車事故あたりまで、スピルバーグ作品を意識した演出になっているのかしらん?大人が寄ってたかって子供の言うことなど!としているトコなんて、じれったくていい。これ、後半部分は印象薄くて忘れてしまったけれど、もう一度観てみたい。燃え上がっていた時のスピルバーグの香りがプンプンした。あ、これは「スーパー!」のタイトルだわ(-_-;)

 R指定を受け、残酷な描写が多いのに、コメディで、進んでいくうちにセンチメンタル。脚本では理解できないとしてなかなかGOが出なかったらしい。というわけで、なんとか制作費250万ドル、日本円で今は1億8千万円くらい。制作費だけではアングラ並みである。全米公開とほぼ同時にオン・デマンドで流したらしく、興行収入はン千万円くらいになっている。映画館で儲けるつもりない映画だ。もしかしたら、日本での公開の方が稼いだかもしれない。なのに、リブ・タイラー、ケビン・ベーコンといった大物俳優を出している。大物俳優にこだわったらしいけれど、一人もギャラ払えないじゃないか・・・。一人ン億円級の俳優にどう支払う?このあたりの事情がわからない。

 レイン・ウィルソンが、不細工で超不器用に生き、ヒーローに憧れ、超現実的なヒーローとなる主人公を演じる。地味な俳優。45歳とは思えない、まだ若く見える。レイン・ウィルソンと結婚する女性が、美女のリブ・タイラー。とても釣り合いがとれない画としているところに映画の行く末がわかるようにしている。リブ・タイラーも34歳になったけれど、どんどん輝いている。45歳と34歳。日本では歳の差だと言われるけれど、アメリカではこれくらいの年齢差は、まったく歳の差に入らない。ブ男と美女に重きがあるのだ。ここで、連れ去るいけてる兄ちゃんがケビン・ベーコン53歳。えっ!53歳?とてもとても、日本では53歳で若い遊び人を演ずる俳優はいそうにない。ケビン・ベーコンは、俺に明日はない遊び人を楽しんでいる。レイン・ウィルソンの前に現れるかわいい女の子エレン・ペイジ24歳。レイン・ウィルソンからすれば親子ほど歳が離れているけれど、スーパーヒーローの相棒となる。また、中年男を本気でケロッと誘惑もしたりする。面白い役者を揃えて、とてもとても普通とは言えない、しかし真面目な映画を撮ったものだ。ジャンルとしては、ブラック・コメディらしいが、ヒューマン・コメディと言った方がいいかもしれない。私としては楽しめたが、つまらないと一蹴する人がいても気持ちはわからんでもない。

 人は誰でもコンプレックスを持っている。それが大きいか小さいか、多いか少ないかはそれぞれだが、なんとか頑張って人並みの暮らしを保っているのだろう。なにもない暮らしの中で、かけがえのない人をみつけ、夢が叶って、幸せの欠片をみつけたとき、それが消えたら・・・誰にでもある不安なトコロを衝いている。どうにでもなれ!という気持ちと、それを取り戻そうという気持ちが交差する。レイン・ウィルソンは、悪をやっつけるスーパーヒーローへと化けようとする。悪に妻を取られてしまったからだ。映画やテレビでは、ヒーローが美女を助け出すことになっている。空想と現実の交差。しかし、自分は善ではないとも思っていて、ここが単におとぎ話のような物語にしていない面白いところ。リアルに描いている。悪をやっつけて、失敗もするし、やりすぎてグチャグチャにもしてしまう。手加減もわからない。手加減してたら自分がやり返されるかもしれないのだ。

 暴力シーンは痛々しく描かれ、やられたら本当に痛い。小さな傷でも痛いものは痛いのが現実で、足なんて撃たれたら歩けないに決まっている。まだ歩けるのがドラマだけれど、この映画では歩けないのが本当だとしている。笑えそうな予告だったが、勇気湧きつつシュンとなる映画だった。エレン・ペイジの最期なんてあっけない。必要以上にキャピキャピして元気だったから、画面が寂しくなる。話しが進んでいくうちに、善対悪の構図が、どうも悪対悪のような感じがしてくる。人は歩くたびに、喋るたびに複雑な道に入り込む。気づいて引き返そうとしてももう過去は振り向かない。振り向くから、私たちは小説を読み、テレビを見て、映画も観るが、この映画は現実を知らせてくれる。残酷描写が多いけれど、全体を通しても今を生きる人には残酷な映画かもしれない。

 明日はまた「午前十時の映画祭」である。毎週だと、毎週のビジネスホテルになってしまう。ではいかんので、しばし明後日以降は休憩。稼ぎに追いつく貧乏なしであるから、せいぜい頑張らねばなるまい。追いつくと言えば、9月から書きはじめた2011年も、10月半ばで追いついてきた。書きたいものだけ書いたからで、2011年までのようにすべてではないから、偉そうには言えないけれどネ。

 このブログは友達、知人に知られていないブログ。つまり、6年も続いているのは、会ったことも見たこともない人たちに支えられたおかげ。エンディングタイトルにはちと早いかもしれないが、special thanks なのであります。2011年12月31日にマイベスト10を記すことができそうです。  <80点>