Tomotubby’s Travel Blog

Tomotubby と Pet の奇妙な旅 Blog。
でもホントに旅 Blog なんだろうか?

Bootsy Collins Tribute to the Godfather of Soul って

2008-07-27 | Japan 非日常生活 遠征篇
7/25日、フジロックフェスティバル'08 White Stage。GALACTIC の MC 付きのステージ、特に Boots Riley のノリノリのステージの後、21:10、いよいよ Bootsy のステージが始まります。裏の Green Stage では KASABIAN の後、少し遅れ 21:30 からは、活動再開中の MY BLOODY VALENTINE が出演。White なのか Green なのか、このへんは音楽に対する嗜好で観客がはっきり二分されるんでしょう。

開演前から気になっていたのが...
①今回のステージが「Bootsy Collins」名義ではなく「Bootsy Collins Tribute to the Godfather of Soul」というタイトルであること。 FUJI ROCK FESTIVAL のウェブサイトのアーティスト情報を見ても、最後まで、右のようなまんま。 仮にも初日のトリのステージというのに、Member も Profile も明らかにされていません。「the Godfather of Soul」が故 James Brown であることは間違いないだろうから、JB に見出されたといってもいい Bootsy がJBへの追悼公演をするのでしょう。そうなると再結成 JB's をバックに Bootsy が JBナンバーを演奏することも十分ありえます。

それから...
②タイムテーブルを見ると 21:10 ~ 23:10 といつにも増して公演時間が長いこと。因みに裏の MY BLOODY VALENTINE の公演時間は、21:30 ~ 22:50 です。Bootsy のコンサートを何度か経験済みの Pet 氏に聞いてみても、Bootsy が2時間ぶっ続けでライブを行ったことは無かったとのことです。前座でラッパーが出てきたりして煽っておいて、Bootsy がなかなか出てこないパターンじゃないかとも申しておりました。 GALACTIC のライブ終了後、Bootsy をかぶりつきで見ようと、ステージ近くまで移動しました。最前列は既に熱心なファンに占拠されていまして、かぶりつきは諦めましたが、三列目あたりで開演を待ちました。あと45分。ステージは裏方のスタッフが忙しくセットの準備に追われていまして、これを見ているだけでも、高揚感を抑えられなくなってきます。

気になったのが...
③Bootsy のシンボルともいえるド派手なスペース・ベースがいつまで経っても出てこないこと。Bootsy のベースソロでは欠かせないエフェクタやワウワウも全く用意されず。いったいどうなってるの? ヤな予感のまま開演。


Bootsy のベースソロ。これが聴きたかった。

開演最初に、誰かよく知らない外人、要は主催者側の人から、これから行われる「Bootsy Collins Tribute to the Godfather of Soul」なるパーティーが三部構成であると「流暢な日本語」で説明がありました。外人(Bryan Burton-Lewis という人らしい)の説明の後、なんと普段着の赤いツナギで決めた Bootsy がPファンクのアルバム・ジャケに出てきそうなアフロ女性と日本人女性に連れられて、いきなりの登場。ここで、棒立ちの Bootsy を尻目にアフロ女性が英語で説明した後、日本人女性がそれを「丁寧な日本語」で通訳。第一部が Public Enemy の元バックバンドのなんとか、第二部は Fred Wesley のバンドで、最後の第三部に Bootsy がやっと登場するとのことです。なるほどステージにスペース・ベースが見当たらないのはそのせいなのか。やはり Bootsy による2時間ぶっ続けの出演は期待できないらしい。はぁ~本人まだ普段着で寛いでるものな。そうなると気になるのが時間配分。第一部30分、第二部30分、第三部60分なら許せるが...合間にはステージの準備に10分くらいかかるだろうから、前座は20分ずつ、20分で Bootsy 60分でお願いしたい。最後に Bootsy が挨拶、JBのことを話して、第一部開幕。こうしている間にも既に10分経っているではないか。第一部15分、第二部15分、第三部60分でお願いしたい。

第一部は、やはり前座です。PEはJBをネタにしていたからJBはリスペクトの対象だったのでしょうけど、その元バックミュージシャンがここで貴重な時間を使って演奏する必然性はまったく感じられません。早く終わらないかな、早く終わらないかな、いつ終わるのかな、いつ終わるのかな、いつまでやるんだろ、いつまでやってるんだろ。と、ずーっと思いつつ聞いていたのでまったく集中できず。スピーカーからの低音が風圧を体感できるくらいで、鼓膜が痛いだけでした。結局この方々、3、4曲、25分くらい演っていたと思います。続いてステージの準備があり、第二部開始時点で 21:50。残すところ80分で MY BLOODY VALENTINE の公演時間とおんなじになりました。

第二部は、JBのバックで演ってた Fred Wesley だから、Maceo Parker が出ていないけど、まぁ許せます。第一部がなしだったら良かったのにな。と思いつつも、ベースが Bootsy でないのはどうしても許せません。そのベーシストが超絶テクニックを見せつけたりするものだから、どうしてあなたは Bootsy でないの? と心が千々に乱れました。結局40分くらい演っていたと思います。第二部終了時点で 22:30。残すところ40分。 

第三部のステージのセッティングが行われる間も、無情にも時間は過ぎていきます。ステージ前方に何やら滑り止めテープのようなものを貼るのに時間がかかっているみたい。ようやく Bootsy の弾くベースも準備され、女性スタッフによって音あわせされています。気になるのは、いつもほどベースが派手でないこと。そしてベースの置かれた場所、つまり Bootsy の立つ位置が中央最奥らしいこと...

第三部開始。時刻は 22:40。残すところ30分。ここで Bootsy がすぐ出てきてくれたらいいんですが、不在のまま、前座バンドをバックにピンクのドレスの小柄な女性がソロで歌います。JBが「Sex Machine」を歌うとき合いの手を入れていた故 Bobby Byrd 未亡人にして、Carleen Anderson の母上でもあり、自身、JBにフィーチャーされて歌っていたキャリアもある、Vicki Anderson でした。でも音声コンディション悪し。可愛そう。彼女が2曲歌っていよいよ Bootsy が登場、背中を向けていますが、立つ位置はやはり最奥、衣装はいつもとは違って、みんなと同じ軍服みたいなので、これはもう JB's をやるのに違いありません。既に時刻は 22:50。残すところもう20分しかありません。


Live at the Olypmia, Paris, 1971 のときのJB、Bobby Byrd も Bootsy も写っています

前方を向いた Bootsy が、やっとJBナンバーを演り出します。最初誰か判らなかったのですが、左に立つのは、兄上 Phelps "Catfish" Collins です。Fred Wesley も加わり、ドラムは John Jab'o Starks と、布陣はまさに JB's です。JBのMCだった Danny Ray と大柄な白人女性シンガー(この方は誰でしょ? JB未亡人?)も登場。待ちに待ったこの瞬間。目頭が熱くなりました。そして興奮が絶頂に達したとき、Danny Ray が JBの名を呼びました。そこに登場したのは、唖然、呆然、JBに扮した Tony Wilson。この方、JBの若かりし頃の物まねでは定評のようでNYハーレムのアポロ劇場の映像があります。ムーンウォーク、独楽のようなスピン、爆宙はいいとして、頭スリスリの逆立ち歩行をやり過ぎたせいで禿になった筈ですが、今回はしっかり前髪があったように見えました。横髪を上にあげてジェルかなんかで固めていたのでしょうか。


Tony Wilson のアポロ劇場でのパフォーマンス


7/16日 Paris Bataclan での Tribute to the Godfather of Soul のライブ。来日直前なので、今回のステージに近いです

ここから Tony Wilson のJBの物マネ芸が続きます。JBになりきっています。会場では大いにウケているのですが、これが続けば続くほど、ワタクシは複雑な心境になってきました。物マネ芸と峠を過ぎたミュージシャンの演奏で満足していていいのでしょうか? ソロで客が呼べる現役ミュージシャン、Bootsy のプレイを少しでも聞きたい!!


同じく 7/16日 Paris Bataclan でのライブ。くたびれきって Danny Ray にケープをかけられるお決まりのシーンを演じる Tony Wilson

Tony Wilson が引き上げたところで、時刻は 23:15。既に終了予定時刻を回っています。Bootsy は依然ステージ奥でひっこんだまま。このまま、ソロでベースは弾かず一曲も歌うことなく、公演終了? ブゥッイィィィ。そりゃないよ~。と、こちらの想いが、神に通じたのか、巨人 Bootsy Collins がステージ前方へ。でもベース置いたまんま。ここで Parliament の「Tear The Roof Off The Sucker (Give Up The Funk) 」をコール&レスポンスで歌ってくれました。いつもの Bootsy を期待して苗場を訪れた一部のファンの不満を彼は感じ取っているようにも見えました。そして、いつもなら終盤にファンとの触れ合い「Touch」がある筈なのですが、代わりに「We want the funk. Give up the funk. We need the funk. We gotta have that funk. La la la la la. Doo doo doo doo doo doo doo, owwwwwwww!」と歌いながら、フェンスを乗り越えて観客の中に乱入してくれました。Bootsy イイ奴です。



こうなると強面巨体のSPも無用の長物。カメラ撮影しないかと見張っていたSPは、ファンを懐柔すべく人の波をものともせず進む怪獣 Bootzilla の前に手も足も出せません。苦々しい表情で見守っていました。こうしてワタクシも怪獣にタッチし、貴重なショットをモノにすることができた次第です。因みにこちらに向かってガン飛ばしまくっていたSP君、公演中暫く姿を消していたと思ったら、耳栓だけでなく鼻栓までして帰ってきました。きっと鼻血出してたに違いない。ワハハ

終演時刻は既に 23:30。Tony Wilson が挨拶に出てくるも、アンコールはなし。

で、結論。このステージを「Bootsy Collins Tribute to the Godfather of Soul」というには、やはり看板に偽りがあるでしょう。Bootsy Collins はコンサートのプロデューサーなのかも知れませんが、このステージでは主役ではなく脇役です。ファンは正直呆れていると思います。ステージ最後の Bootsy の行動で懐柔されたせいで腹まで立ちませんが、「羊頭狗肉」と言われても仕方がありません。この点、主催者は有耶無耶にせず、猛省すべきです。

左はさっき見つけた同じツアーの海外公演のポスターなんですが「Bootzilla Productions: Tribute to the Godfather of Soul」とありまして、出演メンバーが並んでいます。これだと Bootsy がプロデューサーで、このツアーの仕掛人であることがよく理解できます。フジロックはどうしてこのように情報を開示できないのでしょうか。Bootsy Collins がソロでプレイしなければ、客が集まらないとでも考えたのでしょうか? 最終日のトリの忌野清志郎が癌再発でキャンセルになったのは仕方ないにしろ(→リスク管理に問題がありそうですが)、「出演者変更に伴うチケットの払い戻し等は一切行いません」と言い切る前に、出演者と公演の内容を明らかにすべきです。音楽業界にもいま流行の「偽装事件」が波及したようで、少し悲しくなりました。

第三部の set list:-
Soul Power
Super Bad
Give It Up Turn It Loose
Lost Someone
I Don't Want Nobody
May Be The Last Time
Brother Got The Rap
Sex Machine
Talking Loud And Saying Nothing
Please, Please, Please
Get Up, Get Into It, Get Involved
Tear The Roof Off The Sucker


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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これは…。 (sika_50)
2008-07-27 23:55:25
tomotubbyさんには残念な結果でしたね。迫真、怒りのライヴレポといった感じでtomotubbyさんの歯軋りが伝わるようです(申し訳ないですがその点では面白かったです…)。
なんかでもやっぱりか、という気がしました。タイトルから気配がありました。Bootzilla暴走があってよかったですね。。。

それにしても時は残酷というか。JB、Bobby Byrd 、Bootsy それぞれ来日を見に行ってますが、2人はあの世。残るBootsyがバチバチベースを弾きまくらんでどうするのか。妙な昔のスターみたいな「企画」を演るより、本来のBootsyのステージを演ったほうが余程あの世のファンカーに対する供養になるってもんです。

お疲れ様でした!
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同意です (YA)
2008-07-28 03:15:04
mixiから来ました。
誰に聞いても「最高だった!」としか言いませんが、ほぼ同じ意見です。

あと、集まったお客さんも「GIVE UP THE FUNK」はおろか、JBの曲すら多くの人がイントロで反応出来ていないのがもどかしかったです。

ブーツィー本人もちょっと戸惑ったんじゃないでしょうか。

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レポ面白かったです (船堀)
2008-07-28 15:44:24
苗場から先ほど帰ってきました
はじめまして
最前列確保してたひとりです
私もステージ内容に大いに不満がありましたが
ブーツィーさまが柵に乗り出すときに私の肩に
捉まっってくれたので懐柔されてしまいましたw

上の方(YAさん)
>>あと、集まったお客さんも「GIVE UP THE FUNK」はおろか、JBの曲すら多くの人がイントロで反応出来ていないのがもどかしかったです。

これはしょうがないですよ
フェスの宿命といいますか
何年か前のGクリントンもかぶりつきで見ましたが、大きなステージの深い時間になればなるほど、コアなファンの濃度は下がりますし、知ってても恥ずかしくて出来ないって人も含まれてると思います。
 
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皆さま、コメントありがとう (tomotubby)
2008-07-30 22:50:41
会場の盛り上がりに妙に違和感を覚えたのですが、他にも同じように感じられた方がいたことで少しほっとしています。ブーツィーのファンなら、誰しもが不完全燃焼のまま朝を迎えられたのではないかと思います。

思えば冒頭のブーツィーの顔見せも、入念な日本語の説明も、ファンを宥めるためのものだった気がします。

第一部がなくて最後にブーツィーの現在形のライブ演奏が観れたらどんなによかったことか。実は彼が体を壊していて長丁場のステージができなくなっていたなどということはないか、心配になりました。
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Unknown (Unknown)
2008-08-01 15:11:03
心の狭い人
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Unknown (より)
2008-08-24 22:06:18
 なんとなく検索からたどり着きました。
自分はけっこう楽しめましたよー。
「ブーツィー単品」だったらあのステージは悪いかもしれませんが
「Tribute to the Godfather of Soul」
ということで、あえてJB’sのバックに徹していたのは良いと思いました。
生前の最後のほうですが、JBのステージも見に行きましたが
バックバンドは超適当で、そういう意味では今回のステージのほうが断然豪華でしたよ。
そしてそれはブーツィーだからできたのでは。
(メイシオも欲しかったですけどねw)

「物マネ芸と峠を過ぎたミュージシャンの演奏で満足していていいのでしょうか?」
というのも分かりますが、タイムマシーンでもない限り全盛期のJB&JB’sを見ることは出来ないので
現在の自分たちは、現在できるものを楽しめばいいのでは。
もちろんそれを楽しむかは人それぞれだろうけど。

そんなわけで、自分は東京JAZZのスライも見に行くわけですw
特にフェスなんて楽しんだもん勝ちですよ!
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Unknown (tomotubby)
2008-08-24 23:10:41
よりさん

おっしゃるとおり人それぞれでしょう。
たぶん Bootsy を目当てでなくフジロックに来て、
たまたま初めてああいうのを見た人は楽しめたのかもしれませんね。

事前に公演内容が開示されていたなら、
私は16800円も払ってチケットを買ってまでわざわざあんな山奥まであれを観に行くことはなかったです。
峠を過ぎたJBと、あれを比較して満足する気も毛頭ないです。

未だに正体をはっきりさせてもらえないそっくりさん Tony Wilson も憐れに思います。

MUSIC MAGAZINE のBootsy の インタヴュー記事(「」内が彼が話していたことです)を引用しておきます。どうやらブーツィーも確信犯だったようです。

Pファンクの曲を歌いながら、ブーツィーのショー恒例の観客席練り歩きを敢行したのは、ブーツィーも自覚しているように、JBのショーでのブーツィーが見たかったわけではないファンへのサーヴィスの意味も含んでいたのかもしれない。
「みんなは僕のバンドのショーしか見たがらない。それがこのツアーのハードルだ。このあとアメリカではクリスマスまでブッキングされているけど、これはブーツィーのショーでもパーラメント/ファンカデリックのショーでもなく、ジェイムズのためにやっているトリビュート・ショーだっていうことを、みんなが受けいれてくれることを祈っているよ」
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